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ようこそ、ハルミのカオスな日常へ!  作者: あじせ
家庭内混乱マニュアル:初心者版!
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62/63

第62話 一週間後、全部おかしくなり始めた

【事件】ついに父親発見!!→なお、逃亡犯のため会いに行けませんでした


―― 普通なら諦める。大沢ハルミは諦めなかった ――


手続きは進まない。


学校も決まらない。


お金も飛んでいく。


それでも少しずつ前進――


していたはずだった。


しかし。


見つかった父親は、


まさかの指名手配中!?


常識なら終わり。


でもハルミは違う。


「じゃあ私が行きます」


逃亡犯より危険な人物がいるとしたら――


たぶん大沢ハルミです。

 


もし誰かが。


 


はるみに聞いたら。


 


「いつから全部おかしくなったんですか?」


 


たぶん。


 


はるみは答える。


 


「大丈夫そうだなって思った瞬間です」


 


それだった。


 


完全に。


 


なぜなら。


 


人生には法則がある。


 


「もう安心」


 


そう思った瞬間。


 


だいたい終わる。


 


一週間。


 


それはもう。


 


芸術的だった。


 


問題。


 


問題。


 


問題。


 


さらに問題。


 


おまけに問題。


 


まず最初。


 


学校。


 


はるみ。


 


学んだ。


 


優しさだけでは入学できない。


 


残念ながら。


 


とても。


 


書類。


 


必要。


 


戸籍。


 


必要。


 


健康保険。


 


必要。


 


過去の記録。


 


必要。


 


全部必要。


 


何もない。


 


結果。


 


学校。


 


全滅。


 


「なんとかしてくれるかも」


 


という学校も。


 


なんともしてくれなかった。


 


現実だった。


 


厳しい。


 


そして。


 


第二の問題。


 


名前。


 


子供たちを正式に自分の保護下に置くためには。


 


必要なものがあった。


 


とても簡単。


 


そして。


 


とても残酷。


 


両親の署名。


 


沈黙。


 


ここで。


 


現実が笑った。


 


タケルの父親。


 


存在している。


 


少なくとも。


 


書類上では。


 


遠い。


 


いない。


 


でも存在する。


 


一方。


 


芽衣の父親。


 


存在していなかった。


 


いや。


 


正確には。


 


存在することになっていた。


 


芽衣の母親。


 


名前を少し知っていた。


 


苗字は知らなかった。


 


だから作った。


 


誕生日も途中までしか知らなかった。


 


だから埋めた。


 


結果。


 


完成。


 


公式登録済み架空の父親。


 


はるみ。


 


人生の勉強をした。


 


大事な勉強。


 


過去は必ず利子付きで請求してくる。


 


しかも。


 


分割払いは受け付けていない。


 


怖かった。


 


とても。


 


さらに。


 


第三の問題。


 


お金。


 


親族調査。


 


過去の記録。


 


住所。


 


関係者。


 


行方。


 


全部調べる。


 


専門会社。


 


必要。


 


そして。


 


高い。


 


ものすごく高い。


 


はるみ。


 


請求書を見た。


 


見なかったことにした。


 


無理だった。


 


現実だった。


 


その間にも。


 


時間は進む。


 


止まらない。


 


待ってくれない。


 


芽衣の誕生日まで。


 


あと三日。


 


三日しかない。


 


そして――


 


その日の夜。


 


はるみ。


 


仕事から帰ってきた。


 


もう限界だった。


 


普通の疲れじゃない。


 


魂だけ少し遅れて歩いている感じ。


 


頭も遅い。


 


足も遅い。


 


思考も遅い。


 


バスを降りる。


 


かばんを引きずる。


 


歩く。


 


のろのろ。


 


のろのろ。


 


その時。


 


見つけた。


 


家の前。


 


誰かいた。


 


スーツ姿。


 


綺麗な靴。


 


綺麗な髪。


 


綺麗すぎる。


 


この住宅街に。


 


全然馴染んでいない。


 


はるみ。


 


停止。


 


「……え?」


 


一瞬。


 


幻覚だと思った。


 


疲れすぎたのかもしれない。


 


立ったまま寝たのかもしれない。


 


でも違った。


 


男はそこにいた。


 


本当に。


 


動かず。


 


真っ直ぐ立っていた。


 


そして。


 


口を開く。


 


「大沢はるみさんですか?」


 


はるみ。


 


瞬き。


 


「たぶん……私です……」


 


「何度もお電話したのですが」


 


スーツの男性。


 


少し困った顔。


 


はるみ。


 


即答。


 


「知らない番号だったので」


 


沈黙。


 


「出ませんでした」


 


沈黙。


 


さらに沈黙。


 


男性。


 


一度だけ目を閉じた。


 


何かを飲み込んだ。


 


たぶん。


 


職業上の忍耐だった。


 


「……そうですか」


 


「はい」


 


堂々としていた。


 


全然褒められない。


 


でも堂々としていた。


 


しばらくして。


 


家の中。


 


いつもの騒がしさ。


 


タケル。


 


二階。


 


片付け中。


 


芽衣。


 


外。


 


虫を探していた。


 


たぶんいない虫。


 


はるみ。


 


テーブル。


 


スーツの男性。


 


向かい側。


 


そして。


 


大量の書類。


 


嫌な予感しかしなかった。


 


男性。


 


ファイルを開く。


 


話し始める。


 


「今回の調査結果ですが――」


 


早い。


 


とても。


 


「対象者の戸籍情報と過去の登録記録について確認したところ――」


 


速い。


 


もっと速い。


 


「住所履歴との照合を行った結果――」


 


もう無理だった。


 


はるみ。


 


瞬き。


 


もう一回瞬き。


 


さらに瞬き。


 


脳。


 


離脱。


 


完全に。


 


五分後。


 


男性。


 


まだ喋っていた。


 


十分快調だった。


 


はるみ。


 


手を上げる。


 


「すみません」


 


男性。


 


止まる。


 


「はい?」


 


「一回呼吸しません?」


 


沈黙。


 


「……呼吸ですか?」


 


「はい」


 


はるみ。


 


真顔。


 


「私の脳が追いついてません」


 


男性。


 


止まる。


 


考える。


 


そして。


 


初めて気付く。


 


この人。


 


普通じゃない。


 


少なくとも。


 


今までの依頼人とは違う。


 


彼はため息をついた。


 


少しだけ。


 


そして。


 


今度はゆっくり話し始めた。


 


「まず」


 


「芽衣さんのお父様についてです」


 


はるみ。


 


姿勢を正す。


 


今度は聞けた。


 


ちゃんと。


 


母親が協力したこと。


 


本名が判明したこと。


 


住所も確認できたこと。


 


記録も一致したこと。


 


全部。


 


問題なかった。


 


男性。


 


写真を見せる。


 


書類を見せる。


 


説明する。


 


はるみ。


 


見る。


 


聞く。


 


理解する。


 


そして。


 


肩の力が抜けた。


 


久しぶりだった。


 


本当に。


 


久しぶりだった。


 


「よかった……」


 


ぽつり。


 


自然に出た。


 


男性。


 


頷く。


 


「こちらは比較的順調でした」


 


はるみ。


 


感動。


 


比較的順調。


 


素晴らしい言葉だった。


 


その瞬間だけ。


 


世界は優しかった。


 


でも。


 


長くは続かなかった。


 


男性。


 


次の書類を取り出す。


 


少しだけ。


 


表情が変わる。


 


はるみ。


 


嫌な予感。


 


急成長。


 


「……?」


 


男性。


 


咳払い。


 


そして。


 


言った。


 


「問題は」


 


「タケルさんのお父様です」


 


沈黙。


 


空気。


 


重くなる。


 


一気に。


 


はるみ。


 


背筋を伸ばした。


 


男性。


 


慎重だった。


 


言葉を選ぶ。


 


とても。


 


「まず」


 


「現在使用している名前ですが」


 


「偽名です」


 


沈黙。


 


「……え?」


 


「本名ではありません」


 


「え?」


 


「身分も偽装されています」


 


「え?」


 


「複数の犯罪組織との関係が確認されています」


 


沈黙。


 


はるみ。


 


停止。


 


顔。


 


無になる。


 


完全に。


 


さっきまで生きていた魚。


 


今は違う。


 


完全に干物だった。


 


男性。


 


続ける。


 


「現在も警察が行方を追っています」


 


「接触記録はありません」


 


「公式な連絡手段もありません」


 


「面会は極めて困難です」


 


沈黙。


 


長かった。


 


とても。


 


はるみ。


 


考える。


 


三秒。


 


四秒。


 


五秒。


 


そして――


 


「なるほど」


 


男性。


 


少し安心した。


 


理解してくれた。


 


そう思った。


 


完全に間違いだった。


 


理解してくれた。


 


そう思った。


 


完全に間違いだった。


 


はるみ。


 


頷く。


 


真顔。


 


そして。


 


言った。


 


「じゃあ私が行きます」


 


沈黙。


 


男性。


 


瞬き。


 


一回。


 


二回。


 


三回。


 


「……はい?」


 


はるみ。


 


頷く。


 


もう一回。


 


「だから会いに行きます」


 


「いえ」


 


男性。


 


即答。


 


「そういう話ではありません」


 


「でも会わないと署名もらえませんよね?」


 


「そうですが」


 


「じゃあ行くしかないじゃないですか」


 


男性。


 


停止。


 


何かがおかしい。


 


話が。


 


論理が。


 


世界が。


 


全部。


 


少しずつ。


 


おかしい。


 


「大沢さん」


 


「はい」


 


「相手は指名手配中です」


 


「知ってます」


 


「警察も追っています」


 


「そうですね」


 


「居場所が分かりません」


 


「探します」


 


沈黙。


 


男性。


 


人生で初めて。


 


頭痛を感じた。


 


早かった。


 


とても。


 


「そういう問題ではありません」


 


「じゃあどういう問題なんですか?」


 


はるみ。


 


本気だった。


 


心の底から。


 


だから余計に怖かった。


 


男性。


 


額を押さえる。


 


そして。


 


ゆっくり説明した。


 


危険なこと。


 


接触しない方がいいこと。


 


警察案件であること。


 


一般人が関わるべきではないこと。


 


全部。


 


丁寧に。


 


十分以上かけて。


 


説明した。


 


はるみ。


 


聞いていた。


 


真面目に。


 


最後まで。


 


そして。


 


説明が終わる。


 


沈黙。


 


男性。


 


少し安心する。


 


今度こそ。


 


理解してくれた。


 


そう思った。


 


また間違いだった。


 


「なるほど」


 


はるみ。


 


頷く。


 


「つまり」


 


男性。


 


頷く。


 


「はい」


 


「見つからないように探せばいいんですね」


 


「違います」


 


即答だった。


 


過去最速だった。


 


はるみ。


 


少し考える。


 


そして。


 


「あ」


 


男性。


 


希望を抱く。


 


理解した。


 


ついに。


 


ようやく。


 


「友達も連れて行きます」


 


「違います」


 


希望。


 


死亡。


 


男性。


 


もう何も言えなかった。


 


その時。


 


玄関。


 


ガチャ。


 


扉が開く。


 


「ただいまー」


 


イズミだった。


 


買い物袋。


 


両手。


 


いっぱい。


 


そして。


 


リビングを見る。


 


知らないスーツの男。


 


疲れ切った姉。


 


机の上の大量の書類。


 


数秒。


 


観察。


 


そして。


 


一言。


 


「またなんかやったの?」


 


「やってない!!」


 


はるみ。


 


即答。


 


イズミ。


 


男性を見る。


 


男性。


 


イズミを見る。


 


二人とも。


 


同じ顔だった。


 


「絶対やった」


 


「ですね」


 


初対面だった。


 


でも。


 


意見は一致した。


 


完璧に。


 


はるみ。


 


不満そう。


 


とても。


 


その後。


 


調査会社の男性は帰った。


 


何度も。


 


本当に何度も。


 


「探しに行かないでください」


 


と言い残して。


 


帰った。


 


玄関。


 


扉が閉まる。


 


静かになる。


 


そして。


 


イズミ。


 


すぐ聞いた。


 


「で?」


 


「何があったの?」


 


はるみ。


 


少し考える。


 


そして。


 


答えた。


 


「タケルくんのお父さん見つかった」


 


「へぇ」


 


「指名手配犯だった」


 


沈黙。


 


イズミ。


 


停止。


 


完全停止。


 


「……は?」


 


「私も同じ反応だった」


 


違った。


 


実際の反応は。


 


もっと酷かった。


 


でも。


 


今はそういうことにした。


 


イズミ。


 


ソファに座る。


 


頭を抱える。


 


「ちょっと待って」


 


「待つ」


 


「待って」


 


「待ってる」


 


「情報量が多い」


 


「わかる」


 


わかっていなかった。


 


全然。


 


そして。


 


数分後。


 


全部説明した。


 


学校。


 


書類。


 


戸籍。


 


父親。


 


逃亡犯。


 


全部。


 


イズミ。


 


最後まで聞いた。


 


黙って。


 


そして。


 


天井を見る。


 


長い沈黙。


 


さらに沈黙。


 


もっと沈黙。


 


最後に。


 


「で?」


 


「うん」


 


「どうするの?」


 


はるみ。


 


即答だった。


 


「木曜日だし」


 


「うん」


 


「探しに行こうかなって」


 


イズミ。


 


天井を見た。


 


もう一回見た。


 


さらに見た。


 


現実逃避だった。


 


完全に。


 


その頃どこかで――


 


逃亡中の男はまだ知らない。


 


自分を探そうとしている人間の方が、


 


たぶん危険であることを。





楽しんでいただけたら嬉しいです!


もしよければ、ポイントやブックマークをいただけると、とても励みになります!


また次回もよろしくお願いします!

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