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ようこそ、ハルミのカオスな日常へ!  作者: あじせ
家庭内混乱マニュアル:初心者版!
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第59話 女一万人 VS 受付一人

【発見】ついに母親の連絡先ゲット!?なのに誰も安心できない件!!


―― 電話番号は手に入った。でも問題はそこじゃなかった ――


聞きたいことがある。


確認したいこともある。


だから電話したい。


そのはずだった。


なのに――


受付は大騒ぎ!!


女性陣は大暴走!!


そしてタケルがまさかの一撃必殺!?


ついに見つけた“最後の手がかり”。


でも。


本当に怖いのは――


その番号に電話をかける瞬間だった!!

ハルミ。


 


建物の前で止まる。


 


深呼吸。


 


一回。


 


二回。


 


三回。


 


ものすごく深呼吸。


 


発表前。


 


面接前。


 


あるいは。


 


人生を狂わせる決断の前。


 


そんな感じの深呼吸だった。


 


「……よし」


 


「大丈夫」


 


「わたしは大人」


 


「責任もある」


 


「ちゃんと話せる」


 


たぶん。


 


きっと。


 


おそらく。


 


自信はなかった。


 


でも。


 


ドアは開いた。


 


チーン。


 


中。


 


香水。


 


紙。


 


古いコーヒー。


 


そして。


 


効きすぎている冷房。


 


人。


 


たくさん。


 


電話。


 


鳴ってる。


 


誰かが歩いてる。


 


誰かが話してる。


 


忙しそう。


 


とても忙しそう。


 


ハルミ。


 


周囲を見る。


 


「……」


 


「今年の行きたい場所ランキングには入ってなかったな……」


 


数秒後。


 


「いや待って」


 


「偏見はよくない」


 


一人で反省した。


 


誰にも言われてない。


 


完全に自主反省だった。


 


そして。


 


受付へ向かう。


 


歩く。


 


止まる。


 


口を開く。


 


すると。


 


受付女性。


 


即答。


 


「求人募集はしてません」


 


ハルミ。


 


飛んだ。


 


「ひゃっ!?」


 


「ち、違います!!」


 


「そういうのじゃないです!!」


 


受付女性。


 


じーっ。


 


見た。


 


見たあと。


 


少し考えた。


 


「たしかに」


 


「そういう顔じゃない」


 


「ですよね!?」


 


安心した。


 


しかし。


 


受付女性。


 


さらに考える。


 


「じゃあ……」


 


「そういうサービスもやってません」


 


「違います!!」


 


「お金払うなら――」


 


「違いますってぇぇぇぇぇ!!」


 


受付女性。


 


眉をひそめる。


 


「じゃあ何しに来たの?」


 


ハルミ。


 


二回目のジャンプ。


 


今日よく飛ぶ。


 


「えっと!!」


 


「その!!」


 


「昔ここで働いてた友達を探してて!!」


 


受付女性。


 


パソコン触る。


 


興味なさそう。


 


「名前は?」


 


「小林みづきさんです!!」


 


カタカタ。


 


カタカタ。


 


カタカタ。


 


そして。


 


止まる。


 


受付女性。


 


ゆっくり顔を上げた。


 


「……」


 


「……?」


 


ハルミ。


 


首を傾げる。


 


受付女性。


 


怪しいものを見る目。


 


完全に。


 


怪しい人を見る目だった。


 


「……知り合い?」


 


「知り合い!?」


 


ハルミ。


 


身を乗り出す。


 


「もちろんです!!」


 


「超仲良しです!!」


 


「親友です!!」


 


「ずっと一緒でした!!」


 


受付女性。


 


さらに怪しい目。


 


心の中。


 


たぶん。


 


こうだった。


 


(みづきが?)


 


(友達を?)


 


(この人と?)


 


(本当に?)


 


信じてなかった。


 


全然信じてなかった。


 


それでも。


 


受付女性は聞く。


 


「……で」


 


「みづきは元気?」


 


ハルミ。


 


少し嬉しそうに答えた。


 


「病院にいるって聞きました」


 


「あ、でも元気になってきてるみたいです!!」


 


受付女性。


 


「あー」


 


納得。


 


すごく納得。


 


「薬やめろって言ったのにねぇ」


 


「聞かなかったんだよ」


 


「それでああなった」


 


ハルミ。


 


固まる。


 


「えっ」


 


薬?


 


薬?


 


でも。


 


話は合わせる。


 


とりあえず。


 


合わせる。


 


「そ、そうですよねぇ……」


 


「わたしも言いました……」


 


言ってない。


 


一度も。


 


ハルミ。


 


こっそり身を乗り出す。


 


「でも」


 


「なんか」


 


「病院好きそうですよね……」


 


受付女性。


 


数秒停止。


 


そして。


 


大爆笑。


 


「アハハハハハハハハハハ!!」


 


声が大きい。


 


ものすごく大きい。


 


周囲の人。


 


見た。


 


でも。


 


気にしない。


 


「それ!!」


 


「それ本当にみづきだわ!!」


 


ハルミ。


 


つられて笑う。


 


「ですよね!!」


 


知らないけど。


 


笑った。


 


勢いだった。


 


受付女性。


 


涙を拭く。


 


「ごめんごめん」


 


「わたし由美」


 


「受付やってる」


 


「大沢ハルミです!!」


 


「よろしくお願いします!!」


 


二人。


 


握手。


 


しかし。


 


由美。


 


握手したまま。


 


目を細める。


 


じーっ。


 


ハルミ。


 


嫌な予感。


 


「……?」


 


由美。


 


笑顔。


 


でも。


 


目が笑ってない。


 


「それで」


 


「ハルミさん」


 


「みづきに何の用?」


 


ハルミ。


 


心臓。


 


ドキッ。


 


ものすごくドキッ。


 


核心だった。


 


ついに。


 


本題だった――。

 


「みづきに何の用?」


 


由美。


 


笑顔。


 


でも。


 


目。


 


完全に本題の目だった。


 


ハルミ。


 


少しだけ姿勢を正す。


 


「実は……」


 


深呼吸。


 


少し迷う。


 


でも。


 


隠すことじゃない。


 


「今」


 


「みづきさんの子供たちを預かってるんです」


 


沈黙。


 


由美。


 


停止。


 


完全停止。


 


瞬きもしない。


 


「……」


 


「……」


 


ハルミ。


 


嫌な予感。


 


三回目。


 


今日は多い。


 


「えっと……?」


 


由美。


 


ゆっくり。


 


本当にゆっくり。


 


首を傾げた。


 


「……子供?」


 


「はい」


 


「みづきの?」


 


「はい」


 


「二人?」


 


「はい」


 


由美。


 


さらに停止。


 


脳みそ。


 


処理中。


 


たぶん。


 


すごい音してた。


 


ブオオオオオオオオ。


 


そして。


 


突然。


 


「えっ」


 


「タケルちゃん!?」


 


「はい!!」


 


由美。


 


立ち上がる。


 


勢いがすごい。


 


椅子。


 


少し後ろへ飛んだ。


 


「タケルちゃん元気なの!?」


 


「元気です!!」


 


「ご飯食べてる!?」


 


「めちゃくちゃ食べます!!」


 


「背伸びた!?」


 


「伸びました!!」


 


由美。


 


両手で顔を覆う。


 


感動。


 


ものすごく感動。


 


「よかったぁぁぁぁ……」


 


ハルミ。


 


ちょっと安心。


 


この人。


 


いい人だった。


 


そして。


 


その時。


 


後ろから声。


 


「え?」


 


別の女性だった。


 


書類抱えてる。


 


途中で止まった。


 


「今タケルちゃんって言った?」


 


由美。


 


振り返る。


 


「あっ」


 


「言った」


 


「元気らしい」


 


女性。


 


固まる。


 


「えっ」


 


「本当に?」


 


「本当」


 


「えっ」


 


「どこ!?」


 


由美。


 


ハルミを指差す。


 


最悪だった。


 


完全に最悪だった。


 


女性。


 


来た。


 


すごい速度で来た。


 


「タケルちゃん元気!?」


 


「はい!?」


 


「ご飯食べてる!?」


 


「食べてます!?」


 


「学校は!?」


 


「まだです!?」


 


「好きな食べ物は!?」


 


「えっ!?」


 


由美。


 


追加。


 


「今髪どれくらい?」


 


「知らないです!!」


 


パニックだった。


 


完全に。


 


そして。


 


さらに。


 


別の女性。


 


通った。


 


止まった。


 


振り返った。


 


「タケルちゃん?」


 


終わった。


 


完全に終わった。


 


「えっ」


 


「どこどこ?」


 


「えっ本当に?」


 


「元気なの!?」


 


「会いたい!!」


 


「写真ある!?」


 


「待って泣きそう!!」


 


増えた。


 


一人。


 


二人。


 


三人。


 


四人。


 


五人。


 


どんどん増えた。


 


ハルミ。


 


囲まれる。


 


完全包囲。


 


逃げ場なし。


 


「えっ」


 


「ちょっ」


 


「待ってください」


 


「押さないでください」


 


「近い近い近い!!」


 


由美。


 


なぜか一緒に混ざってる。


 


裏切りだった。


 


完全な裏切りだった。


 


「タケルちゃん今何センチ!?」


 


「知らないです!!」


 


「好きな色は!?」


 


「知りません!!」


 


「彼女いる!?」


 


「いません!!」


 


「なんで知ってるの!?」


 


ハルミ。


 


自分で言ってから気付いた。


 


確かに。


 


なんで知ってるんだろう。


 


怖かった。


 


すると。


 


一人の女性。


 


真顔。


 


真剣。


 


ものすごく真剣。


 


「ねえ」


 


「はい?」


 


「タケルちゃんのお母さん?」


 


沈黙。


 


ハルミ。


 


固まる。


 


数秒。


 


完全停止。


 


そして。


 


顔。


 


真っ赤。


 


「ちっ」


 


「違います!!」


 


全力否定。


 


女性たち。


 


「えー?」


 


「本当に?」


 


「怪しい」


 


「怪しくないです!!」


 


「でも顔赤い」


 


「暑いだけです!!」


 


暑くなかった。


 


冷房効いてた。


 


めちゃくちゃ効いてた。


 


その時――


 


後ろから。


 


静かな声。


 


「……大沢さん」


 


ハルミ。


 


振り返る。


 


いた。


 


タケルだった。


 


そして。


 


女性陣。


 


停止。


 


完全停止。


 


数秒後。


 


一斉に。


 


「「「タケルちゃーーーん!!!」」」


 


タケル。


 


固まった。


 


人生最大級に。


 


固まった。

 


「「「タケルちゃーーーん!!!」」」


 


タケル。


 


停止。


 


完全停止。


 


人生最大級に停止。


 


目。


 


ぱち。


 


ぱち。


 


一回。


 


二回。


 


三回。


 


そして。


 


後ろを見る。


 


誰か他のタケルがいるか確認した。


 


いなかった。


 


残念だった。


 


女性陣。


 


もう止まらない。


 


「大きくなったぁぁ!!」


 


「背伸びた!!」


 


「顔変わった!!」


 


「でもタケルちゃんだ!!」


 


「懐かしい!!」


 


「覚えてる!?」


 


タケル。


 


真顔。


 


「……」


 


覚えてない。


 


全然覚えてない。


 


でも。


 


言えない。


 


たぶん。


 


言ったら泣く。


 


誰かが。


 


なので。


 


「……たぶん」


 


嘘だった。


 


完全に。


 


女性陣。


 


大歓喜。


 


「覚えてるって!!」


 


「よかったぁ!!」


 


「成長したぁ!!」


 


「えらい!!」


 


何が。


 


えらいのか。


 


タケルには分からなかった。


 


その頃。


 


ハルミ。


 


押されていた。


 


後ろへ。


 


どんどん後ろへ。


 


「ちょっ」


 


「待って」


 


「わたし主役なんですけど!?」


 


誰も聞いてなかった。


 


完全に。


 


誰も。


 


聞いてなかった。


 


由美。


 


タケルの前。


 


しゃがむ。


 


目線を合わせる。


 


「元気だった?」


 


タケル。


 


少しだけ。


 


表情が柔らかくなる。


 


「……うん」


 


由美。


 


泣きそう。


 


早い。


 


涙腺が早い。


 


「よかったぁ……」


 


すると。


 


別の女性。


 


「今どこ住んでるの?」


 


「ご飯食べてる?」


 


「学校は?」


 


「友達できた?」


 


「彼女は?」


 


「彼女はいません」


 


ハルミ。


 


即答。


 


なぜか。


 


誰より先に答えた。


 


女性陣。


 


じー。


 


ハルミを見る。


 


「……」


 


「……」


 


「……」


 


ハルミ。


 


嫌な予感。


 


本日七回目。


 


「な、何ですか?」


 


由美。


 


真顔。


 


「なんで知ってるの?」


 


「え」


 


「なんでそんな詳しいの?」


 


「え」


 


「怪しい」


 


「怪しくないです!!」


 


怪しかった。


 


かなり。


 


その時。


 


タケル。


 


ぽつり。


 


「大沢さんだから」


 


沈黙。


 


女性陣。


 


固まる。


 


「……大沢さん?」


 


「うん」


 


「大沢さん?」


 


「うん」


 


由美。


 


ゆっくり。


 


ハルミを見る。


 


もう一回。


 


タケルを見る。


 


さらにもう一回。


 


ハルミを見る。


 


そして。


 


「あっ」


 


全部理解した顔。


 


すごく嫌だった。


 


ハルミ。


 


ものすごく嫌な予感。


 


本日八回目。


 


由美。


 


にっこり。


 


「なるほど」


 


「タケルちゃんのお母さんか」


 


「違います!!!!」


 


即否定。


 


過去最速。


 


女性陣。


 


「えー?」


 


「ほんとにー?」


 


「怪しいー」


 


「違いますってば!!」


 


タケル。


 


ぼそっ。


 


「半分くらいそうだけど」


 


ハルミ。


 


停止。


 


女性陣。


 


停止。


 


由美。


 


停止。


 


数秒後。


 


「「「えっ」」」


 


ハルミ。


 


顔。


 


真っ赤。


 


「ちょっと待って!!」


 


「今のなし!!」


 


「なしだから!!」


 


タケル。


 


もう黙った。


 


逃げたかった。


 


本当に。


 


逃げたかった。


 


そして。


 


ハルミは思い出した。


 


目的を。


 


今日ここへ来た理由を。


 


「そうだ!!」


 


「番号!!」


 


「みづきさんの番号!!」


 


由美。


 


「あー」


 


思い出した。


 


完全に忘れてた。


 


さっきまで。


 


タケルちゃん祭りだった。


 


由美。


 


パソコンを開く。


 


カタカタ。


 


カタカタ。


 


そして。


 


止まる。


 


画面を見る。


 


数秒。


 


沈黙。


 


「……」


 


「?」


 


「……」


 


「??」


 


由美。


 


ゆっくり顔を上げる。


 


そして。


 


吹き出した。


 


「ぶふっ」


 


「え?」


 


「いや無理」


 


「何がですか!?」


 


由美。


 


笑いを堪えながら。


 


画面を指差す。


 


「みづきからメモ残ってる」


 


ハルミ。


 


固まる。


 


嫌な予感。


 


本日九回目。


 


由美。


 


読み上げる。


 


「もしハルミが来ても――」


 


ハルミ。


 


停止。


 


「……」


 


由美。


 


続ける。


 


「絶対に番号を渡さないこと」


 


沈黙。


 


女性陣。


 


爆笑。


 


大爆笑。


 


タケル。


 


目を閉じた。


 


分かる。


 


すごく分かる。


 


由美。


 


まだ読んでいる。


 


「あと――」


 


「その人たぶん勢いで何とかしようとするから」


 


「ちゃんと最後まで話を聞くこと」


 


「以上」


 


ハルミ。


 


震える。


 


「みづきぃぃぃぃぃぃ!!!!」


 


由美。


 


笑いながら涙を拭く。


 


「でも」


 


「番号は渡すよ」


 


ハルミ。


 


停止。


 


「……え?」


 


由美。


 


優しく笑った。


 


「だって」


 


「そろそろ話さなきゃダメでしょ」


 


ハルミ。


 


手の中。


 


小さな紙。


 


そこに書かれた番号。


 


ついに見つけた。


 


最後の手がかり。


 


でも――


 


その番号に電話をかける勇気は。


 


まだ。


 


どこにもなかった。



楽しんでいただけたら嬉しいです!

もしよければ、ポイントを入れていただけると、とても励みになります

また次回もよろしくお願いします!

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