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ようこそ、ハルミのカオスな日常へ!  作者: あじせ
家庭内混乱マニュアル:初心者版!
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第56話 失われたパスワード裁判所

【悲報】パスワードを忘れただけなのに!?大沢ハルミ、深夜二時に人生を試される!!


―― パスワード一つでここまで苦しむ!?大沢ハルミ、深夜に限界突破!! ――


ログインしたい。


ただそれだけ。


なのに――


進まない!!


通らない!!


終わらない!!


次々襲いかかる謎の壁に、


ハルミの理性が崩壊寸前!?


平和な夜のはずだった。


たぶん。


きっと。


おそらく――!!

暗い。


静寂。


室内なのに意味不明なほどドラマチックな風。


 


ハルミ。


 


ゆっくり目を開けた。


 


「……んん?」


 


立っていた。


 


真っ白な場所。


 


壁なし。


 


天井なし。


 


常識なし。


 


見渡す。


 


「……法廷?」


 


目の前。


 


カウンター。


 


ハルミ。


 


首をかしげる。


 


「こんな時間に裁判って……みんな暇なの?」


 


その向こう。


 


男。


 


黒スーツ。


 


オールバック。


 


半目。


 


そして。


 


出勤前から全人類を嫌ってそうな顔。


 


胸の名札。


 


そこには書いてあった。


 


【パスワード忘れました係】


 


ハルミ。


 


固まる。


 


そして。


 


思い出した。


 


あのサイト。


 


あの地獄。


 


あのログイン画面。


 


「!!」


 


希望。


 


爆誕。


 


「すみません!!私のパスワードって何ですか!?」


 


男。


 


無視。


 


そして。


 


超不機嫌な声。


 


「メールアドレスは?」


 


「え?」


 


「メ・ー・ル・ア・ド・レ・ス。」


 


「それくらいは覚えてますよね?」


 


「それともそれも忘れました?」


 


「覚えてます!!」


 


ハルミ。


 


即答。


 


メールアドレスを言う。


 


男。


 


キーボードを叩く。


 


ものすごい勢い。


 


CLAC CLAC CLAC CLAC


 


顔。


 


完全に。


 


「面倒くさい客が来た」


だった。


 


数秒後。


 


「送った。」


 


ポン。


 


ハルミの手。


 


突然紙が出現。


 


「来た!!」


 


紙を見る。


 


「B4DXYです!!」


 


沈黙。


 


男。


 


停止。


 


ゆっくり。


 


顔を上げた。


 


細くなる目。


 


指差し。


 


「お前。」


 


「はい?」


 


「ロボットだな。」


 


「は???」


 


男。


 


立ち上がる。


 


「みんなーーー!!!」


 


「ロボット発見ーーー!!!」


 


「違いますってぇぇぇぇ!!」


 


その瞬間。


 


赤色灯。


 


点滅。


 


警報。


 


PI PI PI PI PI


 


「私は人間です!!!」


 


「証明しろ。」


 


「どうやって!?」


 


男。


 


机を叩く。


 


ドン。


 


巨大スクリーン。


 


出現。


 


「横断歩道を選べ。」


 


「なんで!?」


 


「選べ。」


 


「信号機でもいい。」


 


「だからなんで!?」


 


九枚の画像。


 


浮かぶ。


 


道路。


 


車。


 


犬。


 


電柱。


 


木。


 


木。


 


木。


 


ハルミ。


 


汗。


 


だらだら。


 


「ちょっと待ってくださいよ!!」


 


「そんな怒鳴らなくても――」


 


ポチ。


 


木。


 


沈黙。


 


男。


 


顔を覆った。


 


深呼吸。


 


そして。


 


「…………」


 


「…………」


 


「違う。」


 


「え?」


 


「木だ。」


 


「え?」


 


「それは木だ。」


 


「え?」


 


「横断歩道じゃない。」


 


「え?」


 


「木だ。」


 


「木ですね……」


 


男。


 


激怒。


 


「木が信号機に見えるロボットがどこにいる!!!」


 


「だから人間ですってぇぇぇぇ!!」


 


「友達を呼ぶ。」


 


「友達!?」


 


地面。


 


揺れる。


 


新しい画面。


 


出現。


 


ぐにゃぐにゃ。


 


線。


 


波。


 


謎の文字。


 


いや。


 


文字なのかも怪しい。


 


男。


 


腕組み。


 


「読め。」


 


ハルミ。


 


見る。


 


見る。


 


見る。


 


「……何も書いてません。」


 


「書いてある。」


 


「ありません。」


 


「ある。」


 


「ない。」


 


「ある。」


 


「ない!!」


 


「読め。」


 


「無理です!!」


 


男。


 


目を細めた。


 


「怪しい。」


 


「どこがですか!?」


 


「非常に怪しい。」


 


「だから私は――」


 


ハルミ。


 


爆発。


 


「子供二人の書類が必要なんです!!」


 


「そのためにログインしたいんです!!」


 


「お母さんの情報も調べたいんです!!」


 


「学校の手続きもあるんです!!」


 


「だからお願いだから――」


 


「うるさい。」


 


「え?」


 


「うるさい。」


 


「え?」


 


「耳が死ぬ。」


 


男。


 


こめかみ押さえる。


 


ストレス。


 


限界。


 


「最後。」


 


「最後ですか?」


 


「これ。」


 


新しい画面。


 


パズル。


 


穴。


 


ピース。


 


ハルミ。


 


ごくり。


 


持つ。


 


動かす。


 


震える手。


 


ゆっくり。


 


ゆっくり。


 


カチ。


 


沈黙。


 


……


 


……


 


……


 


【認証成功】


 


光。


 


爆発。


 


神々しい。


 


ハルミ。


 


膝から崩れ落ちた。


 


「やったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 


「入れたぁぁぁぁ!!!」


 


男。


 


もう疲れていた。


 


「行け。」


 


「ありがとうございます!!」


 


前方。


 


巨大なパソコン。


 


出現。


 


ハルミ。


 


近づく。


 


震える指。


 


キーボード。


 


触れる。


 


画面。


 


読み込み。


 


くるくる。


 


くるくる。


 


くるくる。


 


そして。


 


表示。


 


【セッションの有効期限が切れました】


 


【再度ログインしてください】


 


沈黙。


 


ハルミ。


 


停止。


 


ゆっくり。


 


振り返る。


 


男。


 


すでに指差していた。


 


「メールアドレスは?」


 


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 


 


ハルミ。


 


飛び起きた。


 


机。


 


よだれ。


 


パンダのTシャツ。


 


ぬるくなったスムージー。


 


パソコン。


 


まだ固まっている。


 


沈黙。


 


「……ボタンに負けた……」


 


後ろ。


 


リビング。


 


ゲーム音。


 


そして。


 


タケルの声。


 


「寝言で」


 


「『私はロボットじゃない』って言ってた。」


 


沈黙。


 


ハルミ。


 


顔を覆う。


 


「……聞かなかったことにして。」


 


「無理。」

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