第50話 荷物、多すぎ。計画、なさすぎ。
― 母の誕生日、めいのパーティー、そして車が静かに死んでいた件 ―
母の誕生日まで、あと二日!!
なのにプレゼントが決まらない!!
「服?」→多すぎる。
「香水?」→二十年同じやつ。
「アクセサリー?」→絶対「いらない」って言う。
詰んだ。
さらに思い出される、超重要イベント――
めいちゃんのお誕生日会問題!!
子どものパーティー!?
テーマ!?
飾り!?
はるみ、完全に未知の世界へ突入!!
だが救世主・いずみがひらめく。
『ぴぽ&ゼリーぷらねっと』作戦、始動!!
カラフルな飾り!
風船!
かわいいグッズ!!
そしてなぜか増えていく謎の出費!!!
だが――
楽しい買い物の終わりに待っていたのは……
完全敗北したタイヤだった。
日曜日、平和そうに見えて、まったく平和じゃない――!!
車。
停止。
いずみ。
降りた。
ドア閉めた。
二歩。
歩いた。
止まった。
振り返る。
車。
じーっ。
さらに。
後部座席。
ガチャ。
開けた。
沈黙。
「……なにこれ」
世界だった。
生活感。
限界まで詰まってた。
リュック。
上着。
壊れた傘。
鍋。
なぜ。
米。
なぜ。
謎の袋。
さらに。
ぬいぐるみ。
そして。
奥。
カップ麺。
「……はるみちゃん」
「ん?」
「車の中で人生営んでる?」
はるみ。
普通の顔。
「だってもう半分倉庫だし」
「意味わかんない」
いずみ。
米袋持ち上げる。
「これなに」
「緊急用」
「どんな緊急事態で米必要なの!?」
「誰かお腹空くかもしれないじゃん」
「戦時中!?」
はるみ。
肩すくめた。
「家持って帰ると部屋埋まるし」
いずみ。
数秒黙る。
そして。
ドア。
バンッ!!
閉めた。
「変わらないよ」
「え?」
「もう十分散らかってる」
「ひどい!!」
「事実!!」
いずみ。
深呼吸。
真顔。
「社会現象だよあんた」
「ありがと」
「褒めてない」
そして。
歩く。
目的。
母親の誕生日。
二日後。
九月九日。
「九が並んでる……」
はるみ。
感動。
「強そう」
「なにが?」
「数字の圧」
意味不明だった。
でも。
いずみ。
慣れてる。
「で?」
「プレゼントどうする?」
「服?」
「増えると怒る」
「キッチン用品?」
「“気使わなくていいのに”って言う」
「香水」
「二十年同じやつ」
「アクセサリー」
はるみ。
少し考える。
「“こんなの高かったでしょ”って言う」
「でもあとで隠れて使う」
「わかる」
姉妹。
完全一致。
店。
入る。
見る。
悩む。
「若すぎ」
「地味すぎ」
「これ義母感ある」
「それは嫌」
結果。
決まらない。
何も。
一時間後。
ベンチ。
二人。
ぐったり。
「なにも決まってない……」
「でも感情は消費した」
「たしかに……」
沈黙。
「お母さん難しすぎる」
いずみ。
ぽつり。
はるみ。
即答。
「遺伝」
「否定できない」
その時。
いずみ。
突然止まる。
「……で」
「次」
「本題」
はるみ。
嫌な顔。
「なに」
「芽衣ちゃんの誕生日」
静止。
時。
止まる。
「……あ」
「やっと現実見た?」
「わたし子供の誕生日わかんない!!」
突然パニック。
「なにするの!?」
「ピエロ!?」
「飴!?」
「爆音音楽!?」
いずみ。
真顔。
「それ昭和?」
「わたし子供の頃変だったし!!」
「今もだよ」
「否定できない!!」
いずみ。
腕組む。
考える。
そして。
閃いた。
「……テーマパーティー」
「テーマ?」
「芽衣ちゃんが好きなやつ」
はるみ。
数秒。
停止。
そして。
「ぷよぷよ星人!!!」
大声。
通行人。
見た。
でも。
気にしない。
始まった。
ぷよぷよ星人計画。
丸い。
カラフル。
変な星行く。
友情で全部解決する。
あと。
おやつ食う。
芽衣。
超好き。
「絶対喜ぶぅぅ……」
はるみ。
もう泣きそう。
いずみ。
冷静にメモ。
「風船」
「紙皿」
「コップ」
「飾り」
「衣装!!」
「子供用ね」
「……はい」
数十分後。
カート。
限界。
風船。
山。
皿。
大量。
よくわからない飾り。
あと。
絶対いらないけど。
かわいかったもの。
会計。
金額。
死亡。
はるみ。
遠い目。
「分割……できます?」
「五回です」
「やります」
いずみ。
止めようとした。
無理だった。
結果。
はるみ。
超貧乏。
でも。
顔。
めちゃくちゃ幸せ。
「……宝くじ当たった気分」
「感情だけね」
帰り道。
いずみ。
先頭。
「わたし居なかったら今頃迷子だよ」
「迷ってないもん!!」
「雑貨屋を本屋だと思って入ったでしょ」
「細かい!!」
その時。
はるみ。
突然。
爆発。
「いずみちゃん聞いて!!」
「なに」
「タケルくん!!」
「友達できたの!!」
「えっほんと!?」
「しかも!!」
「“大沢さん”って呼んだ!!」
沈黙。
姉妹。
停止。
そして。
「きゃあああああ!!」
小声絶叫。
ぴょんぴょん跳ねた。
通行人。
また見た。
でも。
気にしない。
「成長してる!!」
「進化だよこれ!!」
「泣きそう!!」
「わたしも!!」
三秒後。
いずみ。
真顔戻る。
早い。
車。
到着。
荷物。
大量。
「……そういえば」
いずみ。
ぽつり。
「全部払わせたね」
「え?」
「財布忘れた」
「知ってた」
はるみ。
ドア開ける。
その瞬間。
いずみ。
止まった。
「……はるみ」
「ん?」
「入らないで」
「え?」
指差す。
タイヤ。
ぺちゃんこ。
完全敗北。
終わってた。
沈黙。
はるみ。
じーっ。
「……前からこんなんだっけ?」
「違う」
「そっか」
いずみ。
腕組む。
ため息。
「やっぱ遺伝だね」
「なにが!?」
その頃。
未来のどこかでは。
ぷよぷよ星人の巨大着ぐるみ二体が。
静かに。
出番を待っていた。
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