第42話 — 夏がパラシュートで降ってきた日
― 天気予報「寒いです」→ 現実「大ウソです」―
秋のはずなのに、まさかの真夏モード発動!?
ハルミは朝から環境災害ヘアで大混乱。
扇風機は歴戦の勇者(ほこり付き)、空気はほぼ敵。
一方その頃――
メイのミニ湖は蒸発。夢も一緒に蒸発。
しかし彼女は止まらない。「ミッション:湖を復活せよ」発動!
(※5分で失敗)
そして午後。
子ども、増殖。
家、集合所。
理性、消滅。
気づけば始まる謎の“ビーチ計画”。
場所:ハルミ家の裏(ほぼ無法地帯)
参加者:カオス製造機たち
これは冒険か、それとも事故の予告か――!?
夏は止まらない。
誰も止めない。
そしてこのあと、たぶん大変なことになる。
天気予報は言った:寒い。
現実は言った:ウソ。全部ウソ。
ハルミは布団に張り付いた状態で目を覚ました。
シーツは肌にベッタリ。
髪はもはや「環境問題」。
「……無理。」
片目を開けてつぶやく。
「無理無理無理、これ“10月の暑さ”じゃない、私準備してない――」
太陽は招待されたかのように堂々と窓から侵入。
ハルミは勢いよく起き上がった。
ゾンビモードで家中を歩き回り、
ドア、窓、全部開けて、ようやく見つけた。
扇風機。
古い。
黄ばんでる。
戦争帰り。
スイッチON。
ブオオオオオ…
1998年のホコリが魂に直撃。
「ゴホッゴホッ— 私はただ生きたかっただけなのに—!」
キッチンのドアにタケルが現れた。
皿を持ちながら、あの「関係ないけど関係ある」顔。
「……風と戦ってるの?」
「向こうから来たの。」
ハルミは咳き込みながら答える。
「私が遅れてるって知ってたのよ。」
彼女はコップを取り、
とりあえず全部ミキサーにぶち込み、
適当にボタンを押した。
完成したのは、
“存在してはいけないレベルの青白さ”のスムージー。
床に座り、テレビをつけ、ストローで吸う。
ズルルルル
ズルルルル
ズルルルル
空になっても音は続く。
タケルは眉をひそめた。
「……もうないよ。」
「分かってる。」
まだ吸いながら答える。
「これは心理的なやつ。」
ハルミは跳ね起きた。
「遅刻する!!」
バッグを掴む。
「何かあったら死なないで!夜には帰る!」
「安心できない。」
「遺言でもないから!!」
そう言って出て行った。
咳しながら。
元気に。
間違ったまま。
問題が本格的に始まったのは――
メイが裏口を開けたとき。
新しい水着でテンションMAX。
そして――
「にいちゃん……」
ゆっくり言う。
「湖が消えた!!!」
タケルが外に出た。
ミニ湖。
空っぽ。
悲しい。
完全に放置された夢。
「……ああ。」
彼は言った。
「そりゃそうだ。」
メイは腕を組む。
「そうじゃなーーい!!」
「そうだよ。暑すぎる。」
「でも今日だったの!」
「暑さは予定を気にしない。」
「私は気にする!」
彼女は立ち上がった。
「ミッション:湖を満たす!」
――5分後。失敗。
ホース短い。
水少ない。
太陽強すぎ。
メイはドラマチックに座り込んだ。
「にいちゃん、なんでホースから湯気出てるの?」
タケルはちょっと引いた顔。
「ああ……ほんとに暑いな。」
「夏に裏切られた。」
「まだ朝10時。」
タケルは言う。
「どうせもっと後で悪くなる。」
彼は知らなかった。
午後2時。
いつものように子どもたちが集まり始める。
1人。
2人。
5人。
7人。
ハルミの家、正式に集合所化。
靴は玄関に散乱。
カバンは投げられ。
上着は行方不明。
笑い声。カオス。
タケルはそこにいた。
自分の役目を理解している。
「事故を防ぐ係。」
「食べ物ある?」
「冷蔵庫。」
「食べていい?」
「全部なくならなければ。」
「保証はできない。」
食べて。
笑って。
そして――静寂。
気づいた時には、
リビングに水着の子どもがいた。
「……何してるの?」
「夏。」と誰かが答えた。
「湖、ないし。」
全員、同時に絶望顔。
一拍。
「じゃあ海行こう!!」
「……どこの。」
「俺たちの。」
“ハルミ家の裏”。
巨大な裏庭。
大きな湖。
大人が見ないフリをする場所。
タケルは目を閉じた。
「人数は?」
「8人。」
「年齢。」
「9歳から13歳。」
「本当の年齢は?」
「4歳から7歳。」
「……完璧。」
そこに現れた。
彼の友達。
ボサボサの髪。
軽い笑顔。
責任感ゼロ。
「タケル!行こうぜ!」
「親には言った?」
「俺が存在してるって知ってる。それで十分。」
タケルはため息。
「問題児。」
「知ってる。」
彼は笑った。
「でさ、ハルミさんには?」
ソラがニヤッとする。
「……」
(言うべきか?
大沢さん、よく分からないんだよな……
どうでもいいことでめちゃくちゃ心配するくせに、
大事な時は全然気にしないし……)
考え込む。
「だろ?」
ソラが自信満々で言う。
「女って難しいよな。」
タケルはいつもの顔。
(よく考えたら、こいつも同じレベルだな……)
――計画開始=ミスその1。
「俺、パラソル!」
「俺、イス!」
「食べ物持ってく!」
「ボール!」
「クーラーボックス!」
「プラスチックの魚!」
「……魚はいらない。」
タケルが訂正。
紙を取り出す。
「リスト。」
ミスその2。
「食べ物。」
「水。」
「日焼け止め。」
「タオル。」
「着替え。」
女子:食べ物。
男子:イス、パラソル、クーラー。
全部ハルミの家から。
あの家には何でもある。
常識以外は。
そして――
ハルミが知らないまま、
大人が気づかないまま、
計画もないまま、
その日、町は7人の子どもを失った。
代わりに手に入れたのは――
即席ビーチ。
確定したカオス。
そして、
「絶対に何か起きる」という確信。
でも――今じゃない。
今は夏だ。
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