第40話 — その日であってはいけなかった日
――大沢はるみ、ついに「運命の文書」を発見!?安堵と絶望が入り混じった感情が彼女を襲う!!――
一見すると、家は以前と変わらず静かだ。
しかし、その裏では――
はるみは精神の限界まで追い詰められ、文書を探し始める!!
「見つけた!」→「よかった!」→「えっ?」→「どうして同じ日付なの!?」→「違う!!」→「待って、もっと悪い!!」
止まらない感情のジェットコースター。
双子への疑念はたちまち崩れ去る。
思いがけない罠!
そして――
真の恐怖が迫る。
誕生日まであと数日。
平和?計画?信頼?
最初からそんなものは何もなかった!!
はるみの人生は再び混沌へと突き進む!!
ハルミの家は――
いつも通り……に見えた。
祖父の家への「ちょっとした訪問」から帰ってきた直後とは思えないほど静か。
もちろんその訪問は、
ちょっとでもなければ、
効率的でもなければ、
感情的に安定していたわけでもなかった。
ハルミが先に入る。
バッグを床に落とす。
まるで白旗。
— よし。今度こそ。今度こそいける。
— 今日それ三回目。— いつきが後ろから入ってきながら言う。
— 今回は違うの。書類はここにある。感じる。
彼女は一直線にリビングのテーブルへ。
中身を全部ぶちまけた。
フォルダ。
封筒。
バラバラの紙。
古い手帳。
そして、なぜここにあるのか誰も説明できない物たち。
— ヨシ!!
腕を組んで宣言。
周囲がキラキラしている気がする。
たぶん気のせい。
いつきが瞬きをした。
— …で、何を解決したの?
— 精神的に。— 真顔。
彼は聞くのをやめた。
慣れた動きでキッチンへ行き、冷蔵庫を開ける。
子ども用の紙パックジュースを一本取る。
— 借りるね。
— それ子どもたちの。
— いないじゃん。
— …まあいいか。
その間にハルミは完全発掘モード。
紙が飛ぶ。
フォルダが開く。
何かが落ちる。
— これ違う…
— ハルミ、それ五年前の電気代。
— 分かってるけど!万が一!!
「整理」と呼ぶには危険すぎる時間のあと、
ハルミがピタッと止まる。
— …いつきくん。
— ん?
— 見つけた。
小さくて少しボロいノート。
表紙にシンプルな文字。
タケル
いつきが近づく。
— 母子手帳っぽいね。
— ぽいよね…
ハルミは慎重に開いた。
最初のページ。
足形。
小さい。
ちょっと歪んでる。
信じられないくらい可愛い。
— なにこれぇぇぇぇ!!!可愛すぎ!!!— 小声で絶叫。
— 手のひらに乗るサイズじゃん…
ページをめくる。
名字。
ちゃんと読まない。
そのまま――
恐怖のページへ一直線。
誕生日。
— 待って。— ハルミは手で日付を隠した。
— 一緒に見て。
— なんで?ただの日付でしょ—
— そんなわけないでしょ!!こんなタイミングで“今月です”とかありえる!?!?
いつきが笑う。
— 早く見なよ。
深呼吸。
指をゆっくり開く。
沈黙。
— …遠い。
— ほら。2月27日。余裕。
— やったああああ!!!
テーブルを叩く。
— 私、運ある!!!
勢いよく次へ。
— 次はメイちゃん。
— 頑張って。
— 頑張らない。
五分後。
— …あった。
もう一冊。
小さめ。
カラフル。
表紙にぐにゃぐにゃの絵。
ハルミの顔が一瞬で緊張。
— これは…やばい可能性ある…準備とか買い物とか計画とか…
— だろうね。— いつき、わざと煽る。
— やめて。やめて。やめて。
また日付を隠す。
— 二回も運いいわけない…
空気が重くなる。
ハルミの脳内ではすでに
56748個のやることリストが爆誕している。
— ハルちゃん…長くなりそう。
— 統計的に無理。
指を離す。
沈黙。
— …これも遠い。
一気に力が抜ける。
— よかったあああああ…
瞬き。
もう一回。
— いつきくん。
— ん?
— 日付…
— 何?
— 同じ。
沈黙。
— どういう意味で?
— 同じ日。同じ月。
ハルミ、崩壊。
— えええええええええ!?!?同じ日に生まれたの!?!?
— 双子?
— 違う!!
— 偶然?
— 罠でしょこれ!!
部屋をぐるぐる歩き始める。
— 近くないのはいいけど同じ日ってなに!?!?
いつきは冷静に二冊を見比べる。
止まる。
— …ハルミ。
— なに!?まだ何かあるの!?
— これ、違う。
ハルミ、フリーズ。
— えっ…やったああああ!!!やっぱり運ある!!
ジャンプ。
ドンッ。棚にぶつかる。
— いっった!!
— まだ分かってないでしょ。これ、子どもたちのじゃない。
— え?じゃあ誰の!?私、他人の家入った!?
— 母親の誕生日。
完全沈黙。
— …
— …
— あの日本一冷たい女の!?!?
— それ。
二人、顔を見合わせる。
同時にページをめくる。
ハルミの目が開く。
— …あと数日。
— ああ、数日。
ハルミ、床に崩れる。
— ハハハハハハハハハハハハ
— なんで笑ってるの?
— だってさ!!当然でしょ!!当然20日後にメイの誕生日だよね!!10月13日!!
天井を見る。
いつき、冷静な顔。
— ハルミ、計算おかしい。
— 分かってる!!でも30日なんてすぐ!!
— 32日。
— 32でも一緒!!一週間後には「まだ余裕」って思えるし!!
— 二週間だし、それ普通やらないからね。
ハルミ、完全に危ない顔。
— わ、私おかしくない…セルフサポートしてるだけ…
沈黙。
いつきの視線。
「うん、おかしいね」
— パーティー準備しないと。
— 二回分?
— 正気を試すな。
いつき、ジュースをもう一口。
— でも知れたじゃん。
— 知っても意味ない。
— あるよ。計画的にパニックできる。
ハルミ、目を閉じる。
泣きそう。
— 書類、嫌い…
外から見れば静かな家。
でもその中では――
次のカオスが、すでに準備されていた。
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