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ようこそ、ハルミのカオスな日常へ!  作者: あじせ
家庭内混乱マニュアル:初心者版!
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第39話 大沢治美、軍事作戦モード突入

― 書類ひとつで人生が崩壊!?大沢ハルミ、ついに“責任”と正面衝突!!―


平和なはずの日常が、まさかの緊急事態へ!!


たった一つの“書類問題”が引き金となり――

ハルミの脳内は連日パニック状態!!


職場でも!家でも!逃げ場ゼロ!!


そして迎えた土曜日――

ついに彼女は“何か”に取り憑かれる。


その名も:

遅れてきた大人の責任感(+ちょっとの絶望)


完全装備で挑むのは、あのトラウマハウス――!?


笑ってる場合じゃないのに笑うしかない、

カオス×感情×暴走の神回、開幕!!

 


その週の人事部は。


 


地獄だった。


 


いや。


 


正確には。


 


治美の脳内だけが地獄だった。


 


大沢治美。


 


他人の書類を整理する仕事。


 


なのに。


 


自分の生活は整理不能。


 


才能である。


 


しかも。


 


忘れようとした瞬間に限って。


 


仕事が殴ってくる。


 


「大沢さん、この家族申請の書類なんですが」


 


ドゴン。


 


「大沢さん、戸籍確認お願いできます?」


 


ドゴゴン。


 


「この子、学校登録まだで――」


 


「アアアアアアアアア!!!!」


 


心の中で叫んだ。


 


毎日。


 


毎時間。


 


脳内会議が開催されていた。


 


『子供たち書類ゼロ問題』


 


議長。


 


パニック状態の治美。


 


誰も止められない。


 


そして。


 


土曜日。


 


朝十時。


 


治美、起床。


 


この時点で異常だった。


 


いつもの治美なら。


 


まだ布団と友情を深めている時間である。


 


なのに。


 


ガッ!!


 


カーテンを開けた。


 


太陽。


 


まぶしい。


 


治美、宣言。


 


「今日!!」


 


「全部!!」


 


「取る!!!!」


 


何かに憑かれていた。


 


責任感か。


 


焦りか。


 


それとも。


 


締切前の人類特有の狂気か。


 


庭では。


 


健が植物に水をやっていた。


 


芽衣は。


 


カエルと会話していた。


 


平和だった。


 


「おはようございます」


 


健が言う。


 


「ハルちゃんカエルさんと友達になった!!」


 


芽衣も元気。


 


治美は拳を握った。


 


「私は今から戦争へ行く」


 


二人。


 


「あ、うん」


 


温度差がすごい。


 


 


十分後。


 


治美は玄関から出てきた。


 


完全装備。


 


ゴム手袋。


 


マスク。


 


防護メガネ。


 


長靴。


 


そして。


 


ヘルメット。


 


なぜ。


 


誰にも分からない。


 


本人にも分からない。


 


でも装備していた。


 


強そうだから。


 


たぶん。


 


治美は門の前で振り返る。


 


腰に手を当てる。


 


「行ってきます」


 


誰も聞いてないのに。


 


その時。


 


隣。


 


ゴミ出し中の樹が見た。


 


パジャマ。


 


寝癖。


 


完全オフモード。


 


そこへ。


 


核シェルターみたいな格好の治美。


 


樹。


 


三秒停止。


 


そして。


 


吹いた。


 


「っ……ふはっ」


 


無理だった。


 


耐えられなかった。


 


「……何それ」


 


治美は真顔。


 


「戦い」


 


「どこと?」


 


「過去」


 


重い。


 


なのに見た目がヘルメット。


 


樹は笑いをこらえながら。


 


治美の進行方向を見た。


 


そして。


 


気づく。


 


祖父の家。


 


「あっ」


 


樹、察した。


 


そして思った。


 


『これは絶対面白い』


 


最低だった。


 


でも。


 


見届けたくなった。


 


樹は一回家へ戻った。


 


着替える。


 


妙に落ち着いて。


 


そして。


 


何事もない顔で。


 


尾行を開始した。


 


 


一方。


 


治美。


 


祖父の家の前。


 


停止。


 


完全停止。


 


あった。


 


あの家。


 


湿気。


 


カビ。


 


謎の冷気。


 


存在感が“古い呪い”だった。


 


治美は震えた。


 


「無理」


 


「帰りたい」


 


「でも行く」


 


「うわあああああ」


 


情緒が忙しい。


 


そして。


 


ガラ。


 


扉を開けた。


 


瞬間。


 


臭い。


 


「っっっっっっ!!!!」


 


顔が終わった。


 


「くっっっさ!!!!」


 


「湿気!!!!」


 


「歴史!!!!」


 


でも入る。


 


えらい。


 


本当にえらい。


 


治美は漁り始めた。


 


引き出し。


 


箱。


 


棚。


 


押し入れ。


 


紙。


 


紙。


 


紙。


 


全部紙。


 


もう途中から。


 


「紙なら全部持って帰る!!」


 


になっていた。


 


光ってても取る。


 


名前あっても取る。


 


関係なくても取る。


 


完全に紙泥棒。


 


そして。


 


奥。


 


大きな箱。


 


子供たちの名前。


 


雑に書かれていた。


 


治美はゆっくり開ける。


 


中には。


 


写真。


 


落書き。


 


工作。


 


古いメモ。


 


全部。


 


祖父が残していたものだった。


 


治美の顔が少し緩む。


 


「……おじいちゃん」


 


そして。


 


一枚の紙。


 


折れていた。


 


子供の字。


 


健の名前。


 


治美は開く。


 


読む。


 


『今年こそ、

 おじいちゃんが

 ぼくたちを学校に入れられますように』


 


沈黙。


 


治美、停止。


 


心臓が。


 


ぎゅっとなった。


 


「……あ」


 


健は十三歳。


 


でも。


 


最初。


 


八歳くらいの字しか書けなかった。


 


全部。


 


祖父が教えたから。


 


全部。


 


家の中だけだったから。


 


治美は。


 


座り込んだ。


 


「……私」


 


「なんで今まで気づかなかったの……」


 


胸が苦しい。


 


遅かった。


 


何もかも。


 


「もっと早く」


 


「学校とか」


 


「ちゃんと……」


 


その時。


 


背後。


 


「ぶっ」


 


「ぎゃあああああああああああああ!!!!」


 


治美。


 


飛んだ。


 


箱ごと飛んだ。


 


紙吹雪。


 


大惨事。


 


そこにいた。


 


樹。


 


腹抱えて笑っている。


 


最低だった。


 


「お、お前……っ」


 


「まだそんな驚き方するんだな……!」


 


「死ぬかと思った!!」


 


治美は叫ぶ。


 


額に紙が貼りついていた。


 


樹は笑いながら紙を拾う。


 


そして。


 


ふと。


 


治美を見る。


 


泣きそうだった。


 


樹は少し真面目な顔になる。


 


「……何か見つけた?」


 


治美は無言で紙を渡した。


 


樹は読む。


 


静かに息を吐いた。


 


そして。


 


隣に座る。


 


「はる」


 


「君のせいじゃない」


 


治美は俯く。


 


「でも私」


 


「全部あとからで……」


 


「いつも何か起きてからで……」


 


「もっと早く気づけたのに……」


 


樹は笑った。


 


優しく。


 


昔と同じ顔で。


 


「君さ」


 


「昔からそうだった」


 


「飛び込んでから考える」


 


「でも」


 


一拍。


 


「最後までちゃんとやるだろ」


 


治美は目を丸くした。


 


樹は肩をすくめる。


 


「だから皆、お前好きなんだよ」


 


治美は鼻をすすった。


 


「……ありがと」


 


ヘルメット姿で。


 


台無しだった。


 


でも。


 


少しだけ。


 


救われた。


 


その後。


 


二人は写真を見始めた。


 


赤ちゃん芽衣。


 


丸い。


 


ふわふわ。


 


髪ぴょこぴょこ。


 


「なにこれ!!」


 


「かわいっっっ!!!!」


 


治美、大興奮。


 


写真を振り回す。


 


「歯ない!!!」


 


「この時期はないだろ」


 


「かわいすぎる!!」


 


一方その頃。


 


外。


 


信号待ち。


 


黒沢圭。


 


車内。


 


疲れていた。


 


そこへ。


 


見えた。


 


祖父の家から出てくる治美。


 


ベビー用品バッグ。


 


隣に樹。


 


二人とも笑っている。


 


書類いっぱい。


 


仲良さそう。


 


圭。


 


停止。


 


脳内。


 


最悪の結論へ直行。


 


『終わった』


 


『いつきと結婚したんだ』


 


『芽衣ちゃんは二人の子供だ』


 


『俺は負けた』


 


違う。


 


全部違う。


 


でも。


 


圭の心は。


 


もう。


 


事故だった。


 


信号が青になる。


 


後ろの車。


 


クラクション。


 


プップー!!


 


圭。


 


動かない。


 


魂がまだ車内に戻ってきてなかった。



楽しんでいただけたら嬉しいです!

もしよければ、ポイントを入れていただけると、とても励みになります

また次回もよろしくお願いします!

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