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ようこそ、大沢ハルミのカオスな日常へ !  作者: あじせ
家が手狭になりすぎた!!
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第36話 — 言わなきゃいけなかったこと

―― 大沢ハルミ、ついに“本音解放モード”突入!?静かな夜に交わされた言葉が、未来を変えるかもしれない件 ――


ケンカのあと。

沈黙のあと。

そして、ちゃんと向き合う覚悟のあと。


ついに来ました、この瞬間。


勢いだけで突っ走ってきたハルミが、

“ちゃんと立ち止まって話す”という、ある意味いちばん難しいミッションに挑戦。


謝罪。

信頼。

そして――過去。


笑いもある。

ちょっとした照れもある。

でも、それ以上にあるのは、まっすぐな言葉。


これはただの夜じゃない。

関係が「一歩進む」夜。


静かだけど、めちゃくちゃ大事な回です。

夕食は――

驚くほど――

普通に食べられた。


—「ほらね!?」ハルミは腕を組んで胸を張る。—「私、ちゃんと料理できるんだから!」


タケルはゆっくり噛みながら。


—「悪くない」


—「悪くない!?」ハルミは胸に手を当てる。—「それ歴史的な褒め言葉なんだけど!?」


メイはもう半分以上食べ終わっていて、ソファにもたれながらあくびをしていた。


—「ハルちゃん…おいしい…」


ハルミは満足そうに笑った。


食器を洗いながら、ぬるい水が手を流れていく中で――

彼女は考えていた。


考えすぎるくらいに。


(今だ)


ケンカ前のあの静けさ。

メイの言葉。

逃げたときのタケルの目。


(これ以上先延ばしにしたら…タイミングを逃す)


リビングに戻ると、メイはソファで座ったまま眠っていた。

自分より大きいクッションを抱きしめて。


タケルはテレビに集中していた。


—「それ、好きな番組なんでしょ?」ハルミは小さな声で聞く。


—「うん」彼は画面から目を離さず答えた。


ハルミは待った。

エピソードが終わるまで。

エンドロールが流れるまで。


そして、手を軽く振った。


—「タケルくん…ちょっといい?」


彼はテレビを消して、こちらに来た。


でも――少し違った。


体が固い。

足取りが慎重。


何か重い話を覚悟しているみたいに。


ハルミは部屋の床に座り、ベッドにもたれた。

隣の畳を軽く叩く。


—「ここ、座って」


タケルは座った。


近すぎず。

遠すぎず。


ハルミは深く息を吸った。


—「ちょっと、わがまま言っていい?」


タケルは瞬きをした。


—「いいけど…」


—「先に、最後まで聞いてくれる?」


彼はすぐにうなずいた。


—「うん」


ハルミは息を整える。


—「ごめんなさい」


タケルが固まる。


—「勢いであなたたちを家に連れてきたこと」

—「あれは…正しいやり方じゃなかった」


手をぎゅっと握る。


—「同情みたいに見えたと思う。かわいそうって思われたみたいに」


タケルは眉をひそめる。


—「そんなこと—」


—「最後まで、ね?」


彼はうなずいた。


—「もっとちゃんと責任を持つべきだった。勢いでも…そのまま流れに任せすぎた」


視線を落とす。


—「あなたが逃げてから…ケンカしてから…やっと座って話そうって思った」


沈黙。


—「あなたが逃げたのは…」


ハルミは顔を上げる。


—「私のせい」


タケルの目が見開かれる。


—「安心させてあげられなかった。ちゃんと伝えられなかった」


彼女は手を伸ばし、彼の手を握る。


許可なんて聞かずに。


—「でもね、大丈夫」


シンプルな言葉。

でも、重い。


—「信頼って、最初からあるものじゃない」

—「作っていくものだから」


指を軽く握る。


—「あなたがまだ私を信じられなくても、当然だと思う」


タケルが息を飲む。


—「だから…私から始めるね」


彼は顔を上げた。


—「私はあなたを信じる」


タケルが息を止める。


—「もう逃げないって、信じてる」


沈黙。


—「それと…」ハルミは少し首の後ろをかいた。—「あの、記録、見た」


世界が止まる。


—「…見たの?」


—「うん」彼女は少し笑う。—「なんで今言ったと思う?」


彼は恥ずかしそうに首を振る。


—「前だったら…もしかしたら、見る目が変わってたかもしれない」


首を傾ける。


—「でも今は違う」


手をしっかり握る。


—「これからのあなたを信じる。何があったとしても」


タケルは目を伏せる。


—「恥ずかしいって思ってるの、わかるよ」

—「でも、あなたは悪い子じゃない」


少し笑う。


—「もう、同じことしなくていいって分かってるでしょ?」


タケルは瞬きをした。


—「だってさ!」ハルミは急に大げさに腕を広げる。—「私が来たからね!必要なら倍働くし!」


タケルが思わず笑う。


—「書類も、学校も、病院も、全部なんとかする!」

—「あなたたちが知りたいこと、全部見つける!」


少し前に身を乗り出す。


—「泣きたいときも、楽しい話も…ちゃんと聞くから」


沈黙。


そして――いちばん難しい話。


—「お母さんのことなんだけど…」


タケルの表情が変わる。


(バカって言われる…忘れろって言われる…)


ハルミは思う。


(これで嫌われるかも)


でも、言った。


—「会いに行くの、やめないで」


タケルの目が大きく開く。


—「え…?」


—「これからも行っていいよ」彼女は微笑む。—「いつか、ちゃんと話せる日が来るかもしれない」


一瞬だけ目をそらす。


—「難しいのは分かってる。もしかしたら…叶わないかもしれない」


でもまた笑う。


—「それでも、信じたい」


タケルの目が揺れる。


—「じゃあ…会いに行っていいの?」


—「もちろん!」ハルミは即答。—「ただ、行く前に教えてね?」


彼はうなずく。

少し赤くなって。


—「ありがとう…!」


ハルミは立ち上がる。


リビングでメイをそっと抱き上げる。


メイは少しだけ目を開けて――

笑った。


世界を照らすような笑顔。


—「ハルちゃん…」


首にぎゅっと抱きつく。


—「今日、一緒に寝ていい?」


ハルミはにやっと笑う。


—「それって…お泊まり会!?」


—「うん!でも、もう寝ててもいい?」


—「むしろ最高」


メイは満足そうに目を閉じた。


タケルはゲームに戻る。


そして家は――


静かになった。


いい静けさ。


安心できる静けさ。


少しずつ生まれていく信頼みたいに。


ゆっくりと。



楽しんでいただけたら嬉しいです!

もしよければ、ポイントを入れていただけると、とても励みになります

また次回もよろしくお願いします!

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