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ようこそ、大沢ハルミのカオスな日常へ !  作者: あじせ
家が手狭になりすぎた!!
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第35話 — 見えるものと、見えないもの

【感情分析ミッション発動!? 恐ろしい沈黙に包まれた家で始まる「見えるもの」と「見えないもの」の物語】


言葉では言い表せない感情。


そして――「どうすればいいのか分からない」瞬間。


爆発寸前の空気が、思いもよらない方向へと変化した。


叱責も、怒りも、否定もなかった。


代わりに、ハルミがしたことは――

「見る」ことだった。


言葉で表現しやすい「外側」から、


ゆっくりと、そして徐々に近づいていった。


そして、彼女は気づいた。


本当に難しいのは「見えないもの」だった。


これは叱責の物語ではない。


これは理解しようとする物語だ。


そして、新たな計画が始まる。


その名は:


「お互いの気持ちを解き明かすミッション」


三人の関係は奇妙だが、少しずつ進展している。

静寂は、長すぎた。


メイとタケルは、その場から動けずにいた。

まるで、怒られるのを待つ“反省中の像”。


でも――


爆発は、来なかった。


ハルミは、ゆっくりメイのほうへ歩いていく。


一歩。

また一歩。


メイの心臓が、喉まで上がる。


(……怒られる?)


ハルミは、メイの前でしゃがんだ。


何も言わない。


ただ――


冷えた小さな手を、そっと取って。


そのまま、優しくメイの頬へ。


メイの体が、びくっと震える。


—「メイちゃんってね…」


ハルミの声は、驚くほどやわらかかった。


—「顔がすごく小さくて…ほら、ちょうど手のひらに収まるくらい」


ふっと笑う。


—「眉毛はちょっと太めで…まつげは明るい色。なのに、この目は暗くて…なんか、いつも大事なこと考えてそう」


指が、ゆっくり髪をなぞる。


—「この髪もね…すごくきれいな色で。走ると、ちょっと光るの」


メイは息を飲む。


ハルミはそのまま、小さな手を包み込んだ。


—「腕も小さくて…手はもっと小さい」


ぎゅっと、優しく握る。


—「でもね…すごく強い手」


メイのまばたきが速くなる。


涙が、そこまで来てる。


ハルミは、ふっと息を吐いた。


—「はい、おしまい」


そして手を差し出す。


—「じゃあ今度は…タケルくん、やってみよっか?」


メイは少しだけ口をとがらせる。


まだ、怒ってる。


でも――


その手は、ちゃんと握った。


ゆっくり歩く。


ちょっと不機嫌なまま。


タケルの前で止まる。


タケルは、目をそらした。


ハルミは近づく。


同じように、顔に手を添える。


—「タケルくんはね…」


少しだけ笑う。


—「もう、私と同じくらいの大きさ」


タケル、固まる。


—「顔も大きくて…ちゃんと手に収まる」


指が、眉をなぞる。


—「このまっすぐな眉と…黒い髪。ちょっと草みたいにツンツンしてて…目と似てるね」


タケル、息を飲む。


ハルミは、手を取った。


—「背も高いし…手も大きい」


親指で、そっとなぞる。


—「いっぱい頑張ってる手だね」


沈黙。


ハルミは少し離れる。


—「ね?簡単でしょ」


二人を見る。


—「見えるものを説明するのは簡単。髪とか、手とか、目とか」


少し間を置く。


—「でもね――」


空気が変わる。


—「見えないものは、難しい」


メイが顔を上げる。


タケルも。


—「うまく言えないこともあるし…そもそも、自分でもわかってないこともある」


ハルミは深く息を吸った。


—「さっきね、メイちゃんは怒ってると思った」


メイが唇を噛む。


—「タケルくんは、悲しんでると思った」


タケルは目をそらす。


—「でもね」


少し笑う。


—「違うと思う」


まず、メイを見る。


—「メイちゃんは、怒ってない」


胸がぎゅっと締まる。


—「ただ…悲しかったんだよね」


メイの目に、涙が浮かぶ。


そしてタケルへ。


—「タケルくんは…」


息が止まる。


—「悲しいんじゃない」


静寂。


—「自分にがっかりしてる」


直撃。


タケルは一瞬、目を閉じた。


その通りだった。


ハルミは、小さく笑う。


—「だからね」


少し身を乗り出して。


—「今日から、ミッション開始です」


メイ、鼻をすする。


—「ミッション…?」


—「うん」


コクリと頷く。


—「私は、二人の気持ちを全部はわからない」


しゃがんで、二人の間に入る。


—「だからね、メイちゃんはタケルくんの“秘密”を解明する係!」


—「秘密!?」メイの目がキラッ


怒り、消滅。


—「そう!」


そしてタケルへ。


—「タケルくんは、メイちゃんの気持ちを理解する係」


タケル、少し照れながら頷く。


—「メイちゃんのほうが分かりやすいかもしれないけどね」


ハルミは笑う。


—「それでも、ちゃんと見ないとダメ」


少し真剣な顔になる。


—「二人が経験したこと、私は知らない」


でもすぐに、優しくなる。


—「だから難しいけど…頑張るよ。ちゃんと」


空気が、少し軽くなる。


そして――


ハルミ、突然立ち上がる。


—「よーーーし!!」


二人、ビクッ。


—「じゃあまずは!!」


ビシッと指差す。


散らかった部屋。


—「これ、全部片付けてください!!」


満面の笑み。


—「その間に私は――最ッ高のごはん作るから!!!」


タケル、ほんの少し青ざめる。


(料理するのか…)


でもすぐに力が抜ける。


大丈夫だ。


今は。


ハルミがキッチンに入って、ドアを閉めると――


また静けさが戻る。


タケルが、メイを見る。


—「その…ごめん」


深呼吸。


—「逃げ――」


途中で止まる。


メイが近づく。


ぎこちなく。


でも確かに。


手を伸ばして――


ぽん。


タケルの頭に、手を置く。


ハルミと同じように。


—「だいじょうぶ…」


小さな声。


—「だいじょうぶ…だいじょうぶ…」


タケル、固まる。


それから――


少しだけ、笑った。


うつむいたまま。


メイは思う。


(ハルミさんみたいになりたいな)


(いつも、ちゃんとわかってる)


そして――


その日初めて。


メイは、ちゃんと“できていた”。



楽しんでいただけたら嬉しいです!

もしよければ、ポイントを入れていただけると、とても励みになります

また次回もよろしくお願いします!

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