↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ、ハルミのカオスな日常へ!  作者: あじせ
家庭内混乱マニュアル:初心者版!
PR
110/113

第110話 ミッション:プレゼントを買うこと(そして道中で死なないこと)

【緊急速報】少女へのプレゼント購入が、まさかの命がけの大作戦に!?

― 少年5人、計画性ゼロで挑む「メイちゃんへのプレゼント探し」! ―


日曜日。

午前八時十二分。


日の出の青空に、カラスの鳴き声が響いていた。


町は、まだ目を覚まし始めたばかり。


ただし。

とある二人を除いて。


二人はもう、騒ぎを起こしていた。


ドンドンドンドンッ!!


「待ちなさーーーい!」


中から声がした。


扉が開く。


そこにいたのは、ケンタの母親。


五郎丸カスミ。


背筋はぴんと伸びている。

腕は組まれている。


もはや普段着なのではないかと思うほど、自然に着こなされたエプロン。


そして。

にらむだけで壁くらい壊せそうな顔。


「……何の用?」


沈黙。


ソラが固まった。

タケルも固まった。


二人とも、自動的に過去最高の礼儀正しさを発揮した。


「お、おはようございます……」


タケルが口を開く。


「ケ、ケンタくんを誘いに来たんですけど……」


ソラも加勢した。


彼女は、二人を見た。


沈黙。


さらに沈黙。


そして――


「今、ご飯食べてるから」


一拍。


「入りなさい」


そのまま背を向け、歩いていった。


何事もなかったかのように。


二人は顔を見合わせた。


「……怖い」


ソラがささやく。


「いい人だよ」


タケルは中に入った。


「いい人の顔じゃなかっただろ、今!」


そして、ソラも続いた。


早くも自分の家のような足取りだった。


入ってすぐの部屋がキッチンだったので、そのまま顔を出す。


「うわっ!」


ソラは、本気で驚いた。


テーブルが大きい。


ものすごく大きい。


しかも。

食べ物が多い。


ものすごく多い。


五つ星ホテルの朝食みたいだった。


パン。

果物。

牛乳。

ジュース。

名前も分からない何か。


そして、その真ん中に。


ケンタ。


もぐもぐ。


平和だった。


いつも通りの朝。

実際、そうだった。


少なくとも、そのはずだった。


「……すげえ」


ソラは言った。


そして座った。


許可は取っていない。


パンを取る。


「これ、めっちゃうまい」


「このジャムつけたら、もっとうまいぞ!」


ケンタは早速、ジャムを渡した。


「うわ、うまそう!」


タケルは、全部無視した。


「おはよう」


少し離れた席に座る。


ケンタが顔を上げた。


ぱちっ。


「……何しに来たの?」


「重要任務」


ソラは口いっぱいにパンを詰めて答えた。


「メイちゃんのプレゼント、忘れてた」


タケルは単刀直入だった。


沈黙。


ケンタの口が止まった。


「……やべえ」


「うん」


「俺も忘れてた」


「全員忘れてたんだよ!」


ソラが、なぜか怒りながら断言した。


ケンタはすぐに立ち上がった。


「分かった。着替えてくる」


階段を駆け上がる。


二秒ほどの静寂。


ソラは、ケンタの皿を見た。


自分の皿を見た。


もう一度、ケンタの皿を見た。


「いただきます!」


ケンタの残りも、自分の分も食べた。


タケルは顔を覆った。


「俺、お前のこと知らない」


ケンタが戻ってきた。


「行こ――」


止まる。


皿を見る。


ソラを見る。


沈黙。


「……食った?」


「助けてあげた」


「何を!?」


「食品ロスの削減」


沈黙。


「……なるほど」


そして、何事もなく出発した。


次の目的地。


ユウの家。


いや。

ユウの要塞。


三人は、その前で立ち止まった。


高い塀。

閉ざされた門。

完全な静寂。


「……どうやって入るの?」


ソラが聞いた。


「いい質問」


ケンタが答えた。


「来たことないの?」


タケルが二人を見る。


「ない」


「ない」


「……」


タケルは息を吐いた。


「とりあえず、インターホン探せば――」


ソラは、もう塀を見ていた。


計算中。


「ケンタくん」


「ん」


「足、乗せていい?」


「任せろ!」


「タケルくんも、こっち手伝って!」


「人の家に侵入する手伝いはしない!」


「侵入じゃないって。善意で無断入場するだけ」


「それを侵入って言うんだよ!」


その時――


バンッ!!


塀から、突然、小さなモニターが現れた。


「うわああっ!?」


「何これ!?」


三人とも飛びのいた。


画面の向こうには――


子どもが二人。


双子。


そっくり。


小さい。


椅子の上に立ち、カメラに届こうと背伸びしていた。


「だれーーーっ!?」


片方が叫んだ。


町中に響き渡った。


「何もしてません!!」


ソラは反射で答えた。


「ユ、ユウくんに! ユウくんに用があって!」


「ユウちゃんに何の用!?」


「ちょっと誘いに来ただけ!」


「何に!?」


その瞬間。


片方が、いきなり銃を取り出した。


カメラに向ける。


「うわああああっ!!」


「ふ、ふ、普通のこと!!」


「あなたにとって普通って何!?」


沈黙。


「……確かに、いい質問」


ケンタがつぶやいた。


「とにかく!」


ソラが画面に近づいた。


「ユウくん呼んで!」


二人は顔を見合わせた。


疑いの目。


そして、画面から消えた。


「あいつの妹たち、やばいな」


ケンタの心からの感想だった。


「ユウくん、妹いたの?」


タケルは、それすら知らなかった。


「片方がミコちゃんで、もう片方がマコちゃん。でも、どっちがどっちか、いまだに分かんない」


沈黙。


小さな足音。


そして、勢いよく扉が開く音。


「ぎゃああっ!」


悲鳴。


「何!?」


数秒後。


門が開いた。


ようやく、ユウだった。


「何、さっきからうるさ――」


妹たちが使っていた画面をのぞき込む。


そこに映っていたのは。


三人。


「うわっ!」


また驚いた。


ユウは巨大なテーブルへ行き、リンゴを取った。


リンゴ。


一個。


その後ろには、信じられないほど食べ物の並んだテーブル。


クロワッサン。

パン。

その他、いろいろ。


そして、ようやく三人のところへ来た。


「……何の用?」


ソラは、テーブルを見た。


リンゴを見た。


「……リンゴ一個で来たの?」


「うん」


「家の中にパン屋あるのに!?」


「リンゴ食べたかったから」


沈黙。


「……バカ」


タケルが言った。


「誘いに来たんだよ」


ケンタが説明した。


「メイちゃんのプレゼント買いに」


「……ああ」


ユウは考えた。


「いいよ」


リンゴをかじる。


「行こう」


それだけだった。


最後の目的地。


レン。


一番遠い家。


長い道のりを歩き、ようやく到着した。


インターホンを押す。


扉が開いた。


レン。


ぼさぼさの髪。

何も映っていない目。


毛布にくるまり、枕を抱えていた。


魂は……任意。


沈黙。


「……何の用?」


「街。プレゼント。メイちゃん」


タケルが要約した。


レンは四人を見た。


一拍。


「行こう」


そのまま外に出て、扉を閉めた。


「……お母さんに何も言わなくていいの?」


「分かってるから」


「何で!?」


「俺が存在してるから」


沈黙。


「いいね」


ユウが納得した。


「そのまま行くの!? 毛布と枕持って!?」


「うるさい、ソラ」


「そうだぞ! 叫ぶな、ソラ!」


ケンタが叫んだ。


こうして。


五人は歩き始めた。


太陽は昇る。

一日は始まる。


混乱は……避けられない。


「クマのぬいぐるみとか、いいんじゃない?」


ユウが言った。


「どんなの?」


タケルが聞く。


「輸入物。妹たち、喜んでた」


「正気?」


「ユウくん、マジかよ!」


「次の案」


「車!」


ケンタ。


「子どもに!?」


「かっこいいじゃん!」


「女子は車、好きじゃないだろ」


レンが、豊富な経験に基づいて言った。


「じゃあ、ピンクの車!」


「バービーの!」


ソラが付け足した。


「完璧!」


「完璧じゃない!」


「完璧だって!」


「違う!」


「そうだって!」


そして。


五人は進んだ。


言い争いながら。


叫びながら。


自分たちが何をしているのか、まるで分かっていないまま。


ただ、百パーセントの確信だけはあった。


きっとうまくいく。


……たぶん。


(次回へ続く。たぶん、お店の中で。あるいは、お店から追い出されながら。)

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございます!!

(*´꒳`*)


皆さまが読みに来てくださること、そして応援してくださることが、本当に嬉しいです!


よかったら、絵文字で今回の感想を教えてくださいね!

★で応援していただけたら、さらに大喜びします!!

ヽ(>∀<☆)ノ


いつも温かい応援を、本当にありがとうございます!

次のお話でも、もっと楽しんでいただけますように!


それでは、また次回お会いしましょう~!!

(。・ω・。)ノ♡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。