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「『アレフ‐タヴ』に大幅な記載変更がありました」

 解析室から山月に報告だ。

「今度はどこだ」

「アレフ(第一節)でエンテレケイアαが敗北します」

「そうか。見たままだな」

「山月さん、いいんですか」

 海城が訝し気に山月に問う。

「やはりファーリィサクトースとエンテレケイアαの闘いを観察しているモノがあるな。捜査班は位置を探知できないか」

「只今、行っているところです」

「視者が時空を超えて情報を送るなら重力変化が必ずある。わたしはそう考えたが……」

「わたくしも、そう思います」

「探知確率三〇パーセントですが、重力異常ポイントが確認されました」

 タイミング良くアルファ‐オメガの視者捜査班が山月に報告する。

「直ちに視者を捉えよ」

 山月が命じ、

「班員を派遣しました」

 視者捜査班の長、小山内聡おさない・さとしが応える。

 巨大スクリーン上ではエンテレケイアαが劣勢を強いられたままだ。

「海城先生、エンテレケイアαのシールドは、あとどれくらい持つ」

「このままの態勢では三十秒くらいでしょうか」

「では反撃するか。エンテレケイアαのシールドをS2T2(空間二次元+時間二次元)タイプに変えろ」

「了解しました」

 山月に応えたのは、エンテレケイアαのシールド調整を任されたシールド班の長、村上未央むらかみ・みおだ。

 忽ちエンテレケイアαのシールドがキラリと発光する

 ついで薄い赤色に変わり、ファーリィサクトースからの青光攻撃を難なく弾く。

 それまでと異なるシールドの時空変化でファーリィサクトースの青色光線が滑ったためだ。

 なお、これまでの『アレフ‐タヴ』にエンテレケイアαのシールド・タイプ変更の記載はない。

「たった今、『アレフ‐タヴ』に記載変更が現れました」

 解析室から山月に報告だ。

「エンテレケイアαのシールド変更についてだな」

「山月司令の仰る通りです」

「結末は変わらないか」

「今のところ、変化はありません」

「そうか。解析及び監視を続けてくれ」

「了解」

「ここまでは、わたしの予想通りの展開だが、この先はどうかな」

 山月が呟き、

「できるだけ予想通りであって欲しいものです」

 海城が答える。

 その頃、視者捜査班が重力異常ポイントに到着。

 視者を探すが、それらしいモノの姿はない。

 山月も海城も視者の姿形を予想できていない。

 よって捜査班員も自分たちの探査対象、視者の姿形をまったく知らない。

 頼りになるのは視者が情報発信時に起こす僅かな重力変化のみだ。

 が、その重力異常ポイントが突然複数に増える。

「重力異常ポイントが二十箇所以上に増加しました」

 視者捜査班から山月に報告だ。

 それを受け、

「どうやら、こちらの動きに気付いたようだな」

 山月が考えを口にする。

「簡単に目視できないとすれば小さいはずだ」

 山月が呟き、

「監視カメラのようなモノでしょうか」

 惑ったように海城が考えを示す。

「まるで形の想像がつかない。『アレフ‐タヴ』には記載がない。死んだ妻が受け取った情報の中にも、それらしきモノは見つからない。だが、わたしたちに用途が特定できなかった図形の中に、その姿があるかもしれない」

「……としても数が多過ぎます」

「ヒトの掌で掴めるような大きさのモノだとすれば……」

「それでも二万種以上あります」

「YUKAに訊いてみるか」

「ご随意に……」

「……とすれば、ファーリィサクトースとエンテレケイアαの闘いを長引かせる必要があるな。生死人が持つか……」

「エンテレケイアαのエネルギーも、あと三分ほどで切れます」

「YUKA、きみはどう思う」

「ワタシニハ答ガワカリマセン」

「きみだったら、どんな形を選ぶ……」

「ワタシナラ宝石デショウカ」

「なるほど、宝石か。聞いた通りだ。探査対象を宝石型に定め、スキャンしろ」

「了解」

「山月司令、デッドライファーが過呼吸状態に陥りました」

 そのタイミングで生死人の健康及び精神を管理する厚生班から山月に緊急通報が入る。

「そうか。十分に手当てをしてくれ。今のところ使える代えがない」

「了解。最善を尽くします」

「海城先生、絶体絶命に追い込まれたよ」

「……」

 が、海城は山月に応えない。


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