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忘れられたオフィウクス  作者: 酣睡


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茶香と書影に沈む深吻、傷痕を塗り潰す略奪の愛

古風で典雅な日本式茶房の内部には、焙煎された茶葉の香ばしさと、古い実用書特有の木質とインクの匂いが濃密に満ちていた。


格子の窓の外では竹林が静かに揺らめき、時折響く「カラン」という添水(ししおどし)の澄んだ音が、店内の静寂を心地よく切り裂いている。


ようやくの思いで気持ちを落ち着かせたセリアは、目の前にある精巧な漆器の皿に盛られた茶菓子を見つめたまま、ぼんやりと物思いに耽っていた。


彼女のすぐ隣には、カレナが身を寄せるように座っている。先ほど彼女の肩に落ちた埃をそっと払ってくれたあの白くしなやかな指先は、今や振りほどくことの許されない力強さで、セリアの手と十指を固く絡め合わせていた。


手のひらから伝わってくる温もりは優しく懐かしいはずなのに、セリアの胸の奥には言い知れぬ違和感と痛みがじんじんと広がっていく。


この優雅で理知的、普段は高嶺の花と謳われる先輩と、書物の香りに包まれた茶房で静かに過ごすこと――それはかつてセリアが学園にいた頃、日記帳の片隅で幾度となく夢見ていた「デート」そのものの情景だった。だが今この瞬間、その親密さはまるで細い毒針のように、彼女の神経を音もなくチクチクと苛んでいた。


今この時も、屋敷の自室で全身に何箇所もの骨折を負い、ベッドに突っ伏したまま泥のように眠るルネのことを想うと、セリアの胃の腑から苦い罪悪感がこみ上げてくる。


妹をあそこまでの惨状に叩き落とした張本人がすぐ隣に座っているというのに、自分はその手を握られ、まるでお恵みのような庇護を甘受しているのだ……。


まるで身内を裏切っているかのような不条理な引き裂かれ感に、彼女は針の筵に座らされているような心地だった。


そして長机の真正面では、ヴィヴィアンが頬袋を膨らませながら、小さな楊枝を使って透き通るような小豆羊羹を熱心に切り分け、夢中で口へと運んでいた。


セリアの思考は、今朝のあの息の詰まるような家族の食卓へと引き戻される。


屋敷のシェフが、焼き目をつけた断面から淡いピンク色の肉汁を滲ませる牛ステーキをテーブルに置いた瞬間、その生々しい鮮紅と鼻を突く脂の香りが、セリアの脳裏に万メートルの高空でジュリアンが無残に握り潰された光景を瞬時にフラッシュバックさせたのだ――八重咲きの山茶花のように炸裂した血肉の飛沫、驟雨のごとく降り注いだ残骸。


激しい嘔吐感と痙攣が彼女を襲い、危うくその場で意識を失いかけた。


実のところ、イレーナがあえてステーキを運ばせさせたのは故意だった。彼女はただ、セリアの心理的耐久限界を推し量りたかっただけなのだ。


もしセリアが肉を見ても動じなければ、その精神力はまだ見所があるということになる。だが哀しいかな、セリアはあまりにも繊細で温室育ちの雛鳥すぎた。


上座に座るイレーナはナイフとフォークを静かに置くと、すべてを見透かしていながら背筋が凍るほど優しい眼差しを向け、カレナへ向けて静かに言ったのだ。


「セリアを連れて、少し気晴らしに出かけてきてもらえないかしら?」と。


それは母親による慈悲深い息抜きに見えて、実際には一分の隙もない「外出監視令」に他ならなかった。


イレーナは盤上の頂点で全てを掌握する黒幕であり、その隣に控えるカレナは、温室の外でいつでも手綱を引き締められる最も信頼の置ける完璧な執行者なのだ。


今のセリアは、血の気配を宿す肉類や、咲き誇る赤い花、あるいはそれに似た光の影を目にするだけで、胃袋と大脳皮質が条件反射のように激しい拒絶反応を起こしてしまう。


彼女自身、これが教科書に記された「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」であることは痛いほど理解していた。


だが、「原因を知ること」と「傷を癒やすこと」の間には、底知れぬ絶望のクレバスが横たわっている。


彼女には助けを求められる相手などいなかった。今最も心を許せるルネは、全身の激痛を抱えて昏々と眠り続けている――あの不器用な少女は、姉に少しでも安心感を与えるため、骨折の激痛を圧してまで旧アパートへ走り、古い抱き枕を持ち帰ってきてくれたのだ。


ルネはすでに自分のために身を削りすぎている。これ以上、あの傷だらけの妹に甘えることなど絶対にできなかった。


この茶房に漂う静かな書物の香りと、目の前のピンク髪の少女がもたらす巨大なギャップだけが、張り詰めきったセリアの神経に微かな息継ぎを許していた。


重厚で冷酷な、過剰な火力配分を誇るウォッチャーのパイロットスーツを脱ぎ捨てたヴィヴィアンは、ふんわりとしたピンクのショートヘアが愛らしい、どこにでもいる小柄な少女にすぎなかった。


さらにセリアを驚かせたのは、先ほど予約確認の際に彼女が名乗った本名――ヴィヴィアン・西園寺。


それはかつての極東地域において、ごく一部の古き貴族の血筋だけが受け継ぐ尊貴な家名だった。ヴィヴィアン自身も、自分の実母が生粋の大和民族であることをあっけらかんと認めていた。


セリアが目にした歴史書や文学作品の中で、それは誰もが敬意を抱かずにはいられない古の民族だった――男たちの骨の髄には散り際の美学を尊ぶ武士道と細やかな職人魂が宿り、女たちはたおやかな優しさと凛とした強さを併せ持つ。それは血脈の奥底から滲み出る、哀切で爛漫たる独自の美意識だった。


それはセリアに、自身が最も敬愛する伝説の作家・東野圭吾を思い起こさせた。


旧時代の文壇で異彩を放ったその巨匠は、誰にも顧みられない果てしない暗黒期を歩みながらも、幾度もの落選や挫折の中で決してペンを捨てず、やがて時代を震撼させる名作の数々を世に放ち、自らの運命を覆してみせた。


だが頂点に登りつめた後も彼は決して驕らず、常に慎ましく控えめで、無用な喧騒から距離を置き執筆のみに魂を注ぎ続けた。そしてこの世界を去る時ですら、秋の深まりとともに静かに舞い落ちる落ち葉のように穏やかだった――至極自然でありながら、決して無視することのできない深遠な美を湛えて。


「セリア、羊羹食べないの? 甘い小豆餡がとろけたあとに、ほろ苦いお抹茶をぐっと飲むの、本当に最高なんだから!」


ヴィヴィアンの甘く澄んだ声が、セリアを物思いの淵から引き戻した。


少女はパチパチと大きな瞳を瞬かせ、昨夜の廃墟で苛烈な砲撃を叩き込んでいた特化機パイロットと同一人物とは信じられないほど、無邪気な小動物のように軽やかな口調で笑いかけていた。


セリアはヴィヴィアンを見つめ、目頭が熱くなるのを覚えざるを得なかった。


昨夜の光景をどうして忘れられるだろう? ウォッチャーのエネルギーが尽き、重砲台が瓦礫に倒れ伏したその時、身長が一メートル一〇センチにも満たないこの幼い少女は、自らハッチを爆破して這い出し、自らの背丈を遥かに超える対物粒子スナイパーライフルを歯を食いしばって担ぎ上げたのだ。


戦功のためでも、大義のためでもない。彼女はただ、セリアが自分と同じ轍を踏むのを見たくなかったのだ。


純粋な魂が目の前で残酷な運命に引き裂かれるのを阻止するためだけに、あの華奢で幼い身体で、並の人間なら内臓ごと砕かれかねない重単兵銃の凶悪な反動を受け止めたのだ。


今、ヴィヴィアンの右肩から腕にかけては厳重なギプスで固定され、左手一本でおぼつかなそうに楊枝を操り、必死に菓子を口へと運んでいる。


その平静を装った愛らしい仕草を見るたび、セリアの心臓は目に見えない手で乱暴に握り潰されたかのように、自責と痛ましさで激しく疼いた。


「あのね……聞いてもいいかな。ヴィヴィアンはどうやって、家族を亡くした苦しみから……立ち直ったの?」


セリアは震える声でそっと問いかけた。


それこそが、今彼女が最も欲している答えだった。ジュリアンが目の前で血の山茶花と化して以来、彼女は底なしの虚無と自己嫌悪の檻に囚われ、この血塗られた重荷を背負ったまま一生を無様に引きずっていくのではないかと怯えていたのだ。


同じように壊滅的な喪失を経験しながら、目の前で平然と茶菓子を味わっているヴィヴィアンの姿に、彼女は暗闇の中の一筋の藁にもすがる思いだった。


「立ち直った? 立ち直ってなんかないよ。」


ヴィヴィアンは楊枝をくわえたまま目を丸くし、今日の天気でも語るかのようにあっけらかんと言い放った。


「ウォッチャーのコクピットに乗った時のあたしを見てれば、察しがつくでしょ? あたしの精神なんて、とっくの昔に完全にイカれちゃってるんだから。」


少女の平然とした告白に、セリアはその場に凍りついた。


その瞬間、セリアの脳裏を過ったのは心理学の文献にあった「解離性同一性障害(二重人格)」の記述だった――精神の許容量を遥かに超える壊滅的なトラウマに直面した際、脳は脆い主人格が絶望で砕け散るのを防ぐため、極めて凶暴で冷酷、攻撃性に特化した防衛人格を強制的に生み出すことがあるのだと。


「なるほどねぇ、コクピットの内と外でそこまで落差が激しいわけだわ。」


優雅に煎茶を嗜んでいたカレナがわずかに眉を上げ、得心がいったように感嘆を漏らした。


単なる「コクピット狂躁症」や運転時の激情かと思っていたが、重機甲に搭乗した瞬間に主人格を守るための狂暴な別人格が覚醒するというのなら、あの常軌を逸した戦闘勘と攻撃性もすべて辻褄が合う。


「あたしなんてせいぜい頭に少しガタが来て、別人格が増えた程度よ。」


ヴィヴィアンは面白くなさそうに唇を尖らせ、カレナを遠慮のない視線で睨みつけると、棘を含んだ声で小気味よく言い返した。


「どこかの先輩みたいに、骨の髄から外見まで正真正銘の『人外の化け物』に成り果ててるわけじゃないもの。」


セリアの断片的な言葉から昨夜の全貌を察して以来、ヴィヴィアンはこの名門の令嬢に一片の好感も抱いていなかった。


星間軍部の噂において、「人造強化兵士」とは神経回路を強制的に切除され、感情の仕組みを歪められた殺戮兵器そのものだとされている。


ひとたび執着と狂気に囚われれば、最愛の人間ですら躊躇なく八つ裂きにするという噂も決して根も葉もない話ではない。


ましてやこの改造人間たちは、生身の肉体で重型知性機械を殴り倒すほどの狂徒なのだ――セリアのような傷つきやすい温室の花を、いつ牙を剥くかもわからない深淵の野獣の側に置くなど、どう考えても悪夢でしかない。


だが、現実はヴィヴィアンにその屈辱を呑み込ませた。


勝てないものは、どう足掻いても勝てないのだ。


生身の肉弾戦においてカレナと正面から衝突すれば、相手のあの人間離れした握力と筋力なら、ものの三秒であたしの全身の骨を肉団子のように丸め、リフティングでもした後に道端のゴミ箱へダンクシュートされるのがオチだと痛いほど分かっていた。


その無力感に、ヴィヴィアンの胸は苦々しく塞がれた。


彼女がセリアに向けるあの偏執的な庇護欲は、本質的には遅すぎた自己救済の祈りだった。セリアが纏うあの優しさと脆さ、そして痛々しい傷跡は、かつて命を落とした母の面影そのものだったのだ。


死んだ母に見せつけたかった――今の自分は、両親が殺されるのをただ泣いて見届けることしかできなかったあの頃の無力な子供ではないのだと。


もしセリアを守り通すことができたなら、運命の円環の中で、過去の自分に代わって母を救い出せたような気がしたのだ。


しかし無慈悲な現実は、彼女の無邪気な願いを嘲笑い続けていた。


生身の強さではカレナの指一本に敵わず、機甲の操縦技術においても、昨夜の迎撃戦で機体をスクラップにされ右腕を粉砕されるという無残な敗北を喫した。


西園寺家が本土の地下プラントに規格違いのウォッチャー用スペア装甲と拡張モジュールを三機分もストックしており、動力コアさえ無事なら高分子再構成ラインで五分以内に完全稼働状態へ復元できる体制が整っていなければ、彼女は今頃二度と戦場に立つ資格すら奪われていたはずだった。


石膏で厳重に固定された右腕を見下ろし、ピンク髪の少女は悔しそうに肩を落とすと、手にした甘い羊羹をやけくそ気味に一口かじった。


ヴィヴィアンはやるせなげに口元を歪め、この冷徹な現実を呑み込むしかなかった――右腕を失った今の自分には、再び戦場に立つ権利すら完全に剥奪されており、鼻を鳴らして引き下がる以外に道はないのだと。


ヴィヴィアンの淡々としつつも自傷めいた告白を聞き届け、セリアの瞳は焦点を失い、深い沈思へと沈んでいった。


荒唐無稽で危険な思考が、彼女の心の底で静かに芽吹く――もし自分の中にも、十分に冷酷で、十分に凶暴な新しい人格を作り出し、意識の深淵に閉じこもることができたなら、この身を引き裂くような激痛から逃れることができるのだろうか?


だが彼女は、心の中で自嘲気味に首を振った。


彼女は元より、自己解離などという都合のいい器用さを持ち合わせてはいないのだ。今この瞬間も視界の端の鮮紅に怯え、トラウマによる嘔吐感と息苦しさがこれほど生々しく肉体を苛んでいるというのに、彼女のズタズタに引き裂かれた精神世界には、ただ孤立無援でおろおろと立ち尽くす自分しか存在せず、身代わりとなって矢面に立ってくれる奇跡のような「守護人格」など、どこを探しても見当たらなかった。


セリアは椅子の背もたれに力なく深く身を預けた。喉の奥には熱く濁った泥が詰まったかのようで、行き場のない鬱屈と悔しさと憤りが胸を圧迫し、息を吸うことすら苦しい。


今日ここへ連れ出される前、彼女は密かに地下格納庫へ忍び込み、オフィウクスのコクピットへ再び乗り込もうと試みていたのだ。


人を殺めるという大罪を背負ってまで自分を守ろうとしたあの黒赤の魔神に、どうしてあんな選択をしたのかを直接問い詰めたかった。たとえそれが単なる言い訳のデータ波であったとしても、その声を聞きたかった。


しかし、現実は容赦なく彼女を叩きのめした。


ハッチが閉じ、神経回路がリンクを試みようとしたその刹那、セリアは言葉を発することすらできなかった――神経同期率は断崖絶壁を転がり落ちるようにゼロに近い絶対零度へと急降下し、直後、骨の髄から湧き上がる強烈な恐怖が津波となって彼女を飲み込んだのだ。


四肢は意思に反して痙攣し脱力し、冷汗が滝のように流れ落ち、呼吸用マウスピースを咥え続けることすら叶わなかった。


セリアには、自分がどうなってしまったのかが痛いほど分かっていた――ジュリアンの命を奪ったあの機体そのものに対して、肉体が本能的な生理的拒絶を起こしているのだ。


この深刻な神経解離とトラウマによる拒絶反応によって、今の彼女は感情をぶちまけるための最も基礎的な仮想シミュレーション戦を行う資格すら奪われ、魂を抜かれた抜け殻のように無様で、脆く、ただ無力に立ち尽くすしかなかった。


己のこの半壊した状態を思い知るたび、セリアの胸には底知れぬ無力感が押し寄せる。


オフィウクスは星系の戦局を塗り替えるほどの規格と性能を秘めているというのに、専属パイロットであるはずの自分は、機体を起動することすらできない「ただのマスコット」へと再び成り下がってしまった。


運命と自らの心の壁によって完全に骨抜きにされるこの感覚は耐え難い屈辱だったが、それが血塗られた現実である以上、受け入れるしかなかった。


「ねえ……トラウマを一瞬で治す方法なんて、やっぱり……どこにもないのかな?」


セリアはぽつりと自嘲の言葉を零した。あのトラウマを呼び覚ます紅い影や血のイメージを目にしない限り、表面上は良家の令嬢としての冷静さと体裁を辛うじて保ち続けることができる。


だがその内側は、指先で触れれば一瞬で砕け散る中空の陶器にすぎないことを、彼女自身が一番よく知っていた。


セリアが伏し目がちに自己嫌悪の螺旋へと沈み込んでいた、その時――微かで冷ややかな香気が、音もなく間近に迫った。


彼女が顔を上げる間もなく、ひんやりとしていて、けれど抗いがたい弾力を秘めた両の手のひらが、セリアの青白い両頬を優しく包み込んだ。カレナがわずかに上体を傾け、言葉を挟む余地すら与えずに、セリアの微かに震える冷たい唇を自らの唇で塞いだのだ。


「ん……っ?!」


セリアの青い瞳が見開かれ、思考は一瞬にして完全にショートした。


それは暴力的な略奪などではなく、春の夜に降る細雨のようにどこまでも濃密で、温かく、音もなく沁み渡る深吻だった。


カレナの所作は信じられないほど甘美だった。しなやかな指先がセリアの耳元の柔らかな銀髪を梳き、手のひらでそのうなじを支えながら、互いの吐息すら完全に溶け合う極限の距離へと引き寄せる。


少女の柔らかな唇の輪郭を慈しむように丁寧に辿り、狂おしいほどの情愛を注ぎ込みながらも、その重なり合う唇の奥には、人造強化兵士ならではの抗うことを許さない絶対的な支配力が確かに宿っていた。


微かな抹茶のほろ苦さと、カレナ特有の冷涼な香気が口の中で混ざり合い、ほどけていく。セリアの強張っていた肩は、相手の息が詰まるほどの体温と気配に包まれるうちに、意思とは裏腹に、じわりじわりと力を失って蕩けていった。


万メートルの高空から落ちて以来ずっと胸を凍りつかせていたあの冷たさと窒息感が、この熱く絡み合う口づけによって強引に押し流され、代わりに頭を麻痺させるような甘美な眩暈と、激しく跳ねる心臓の熱狂が全身を駆け巡る。


「ちょ、ちょっとぉぉぉッ――?!」


真正面に座っていたヴィヴィアンは高圧電流に打たれたように跳ね上がり、手にしていた竹の楊枝を「チャポン」と茶碗の中に落とすと、畳の上から飛び退いた!


ピンク髪の少女は頭を抱え、幼い顔を真っ赤に染め上げ、目をこれ以上ないほど見開いていた。


ヴィヴィアンにとって、セリアの持つ優しさと脆さは亡き母の面影そのものだったのだ。今まさに、自分が「聖域」のように崇める少女が、目の前で危険極まりない化け物に白昼堂々ディープキスを奪われているという光景は、昨夜の成層圏で粒子ビームが爆発した瞬間を遥かに凌駕する精神的インパクトだった!


だが、カレナは向かいの悲鳴など微塵も気にとめていなかった。


長い睫毛を伏せ、至近距離から紫水晶の双眸で、涙で潤んだセリアのとろけるような青い瞳をじっと見つめている。


彼女の唇はわずか数ミリだけ離れ、赤く熟れたセリアの唇の端へと細やかな口づけを落とすと、紅潮した耳元へと顔を寄せ、熱い吐息を交えながら極めて艶然と囁いた。


「傷を一瞬で治す方法なんて……最初からあなたのすぐ側にあったじゃない、セリア」


カレナの指先が少女の華奢な鎖骨を撫で下ろし、その細い身体を自らの胸の中へと引き寄せながら、口元に深淵のように昏く危険な笑みを浮かべた。


「あなたの頭の中が、あんな不快な血生臭い光景でいっぱいだというのなら……あたしが、もっと強くて、もっと深い感覚で……そんな余計な不純物、全部塗り潰してあげるわ。」


カレナはセリアを己の腕の中に完全に抱きすくめ、ヴィヴィアンの恐怖と好奇の入り混じった熱い視線に晒されながら、傷ついたこの無垢な白兎のすべてを、容赦なく貪るように奪い去っていった。

ここ数日、レディー・ガガの「Die With A Smile」をすっかり気に入ってよく聴いています。

歌詞自体はとてもシンプルなのに、いざ自分で歌ってみようとすると異常なほど難しい……。

歌ってただその言語が分かるだけじゃダメなんだな、と痛感しました。同時に、「日本のアニメの声優はみんな化け物(凄すぎるプロ集団)」と言われる理由がよく分かった気がします。やっぱりどんな分野でも、その世界に身を置いてみないと本当の苦労や凄さは分からないものですね。


そういえば、もうすぐ私の誕生日なのですが、なんと上司が一足早くプレゼントをくれました。


……が、中身を開けたらなぜか「黒ストッキング」。

これって「仕事中はちゃんと黒スト穿いてこいよ」っていう無言のプレッシャーなんでしょうか……?(苦笑)


By. 酣睡 台湾・桃園 14:14 .P.M.

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