休日の喧騒に潜む暗雲、血塗られた終幕前の最後の晩餐
週末の中心商業地区は、熱気に満ちた華やかな喧騒に包まれていた。
交差する摩天楼の合間を懸浮軌道が滑るように縫い、宙空に浮かぶ巨大で極彩色のホログラム広告が目まぐるしく点滅しては、平坦で広々とした歩行者用アベニューに幻想的で光怪陸離たる光影を投げかけている。
通りの両側には星間屈指の有名ブランド旗艦店が軒を連ね、濃厚な甘い香りを漂わせるオープンカフェや、新奇なテクノロジー小物を並べた流行のショーウィンドウがずらりと連なっていた。
陽光が高空の人工調光ドームを透過し、極上の心地よい温もりとなって降り注ぎ、空気中には休日特有の気だるい開放感と浮き立つような熱気が満ち満ちている。
しかし、本来ならば穏やかな休日に過ぎないはずのこの並木道において、群衆の視線を釘付けにし、幾重もの驚嘆と振り返りを生み出している極めて惹きつけられる四つの人影があった。
中央を歩くセリアは清楚で身軽な休日の私服に身を包み、緩やかに波打つ白銀の長髪を無造作に背中へと流していた。
サファイアのように青く澄んだ瞳を輝かせ、目移りするほど並ぶショーウィンドウを好奇心いっぱいに眺めるその姿は、どこまでも世間擦れしておらず、無垢で純粋そのものであった。
彼女の左側には、優雅な佇まいで上品な歩調を保つカレナが寄り添っている。
この名門の令嬢はレースの日傘を傾け、何気ない笑みを浮かべながらも、その視線は片時もセリアから離れようとしない。
ドリンクやスイーツを選ぶ際にも、至れり尽くせりの細やかな気配りと庇護を滲ませていた。
一方、セリアの右側を固めるのは、ショート丈のアウターのポケットに手を突っ込み、不機嫌そうな面持ちを全身から撒き散らしながらも、片時も離れようとしないルネである。
彼女は厳戒態勢を敷く凶暴な野獣の如く、セリアを盗み見る周囲の通行人へ鋭い眼光を飛ばして威嚇し、ストローをガジガジと噛みながら、近寄る者を今にも八つ裂きにしかねない獰猛な殺気配を放っていた――
カレナがほんのわずかでもセリアへと距離を詰めようものなら、ルネはすかさず自身の肩をねじ込み、強引に二人の隙間を押し広げて割って入るのだ。
そして「荷物持ち」兼「緩衝材」の役目を押し付けられたジュリアンは、大小様々な高級ブランドの紙袋を両手に提げ、少女たちの数歩後ろを気だるげについて歩いていた。
彼はサングラスをかけ、口元に「他人の不幸は蜜の味」と言わんばかりの面白がるような玩味の笑みを浮かべながら、この貴重な休息の時間を楽しむと同時に、目の前でいつ爆発してもおかしくない修羅場をいつでも見物できるよう構えていた。
周囲は賑やかな人の波と心地よいストリートミュージックで満ちていたが、この四人の周囲にだけは、美しさと一触即発の緊張感、そしてどこか滑稽な喜劇性が同居する独特の空気感が自然と張り巡らされていたのである。
一行が、長蛇の列を作る前方の話題のスイーツショップへ向かい、新作のクレープを試してみようと楽しげに話していた、まさにその時――
商業エリアの直上に聳え立つ、数十階建てビルに匹敵する超巨大ホログラムスクリーンが、甲高い警報音とともに突如として禍々しい深紅の緊急臨時ニュース画面へと切り替わった。
【緊急速報:エスペル世家の現大長老、所属不明の武装勢力による急襲を受け、現場にて死亡を確認!】
暴力や流血への忌避感が薄れたこの星間時代において、報道メディアは最大の警告効果とアクセス数を追求するあまり、現場の凄惨極まるホログラム映像を何一つ隠すことなく星網全域へダイレクトに垂れ流していた。
黒焦げに変形したエアロカーの残骸、路上に散乱する護衛たちの遺体や肉片、そして胸を高エネルギー粒子ビームで貫かれ、両目を見開いたまま絶命した権力者の凄惨な死に様が、見上げる無数の一般市民の網膜へと赤裸々に焼き付けられたのだ。
激進派の知性機械によるテロリズムの脅威がいつ降りかかるか知れぬこの過酷な時代において、偽りの平和で覆い隠すより、血生臭い現実にいち早く慣れさせることこそが、この社会における暗黙の了解であった。
「……どうやら、計画は極めて順調のようね」
周囲の群衆が悲鳴とざわめきに包まれる中、セリアの隣に立つルネだけは気だるげに瞼を上げただけで、声のトーンにも全く起伏がなかった。それどころか、手元の冷たい炭酸ドリンクをストローで勢いよく一口啜ってみせた。
「これ……ママの計画なの?」
セリアはスクリーンに映る痛ましい映像を見上げながら、無意識のうちに己の服の裾をぎゅっと握りしめた。
彼女はイレーナが自分を護るため、そして権力の頂点へ上り詰めるために下してきた数々の非情な決断を理解してはいたが、自分の血族であり、大きな権力を持つ重鎮がこれほど無残に路上で命を落とした姿を目の当たりにし、心優しい彼女の胸の奥には、言葉にしがたい重苦しい痛みと酸鼻が広がっていた。
「違うわよ」
ルネは喉の奥へ冷たい飲み物を流し込み、嘲笑を浮かべた。
「この政治的暗殺の本当の首謀者は……スクリーンの中で死んでいるあの大長老自身よ」
その一言は、セリアだけでなく、常に冷静沈着を崩さないカレナの手すらも激しく震わせ、あやうく手元のクレープを取り落としかけるほどの衝撃を与えた。
星間を震撼させるこの血の粛清劇を仕組んだ黒幕が……殺された当人だったというのか。
「驚いた?」
ルネは首を少し傾げ、その野性味溢れる瞳にすべてを見透かしたような冷徹な光を宿した。
「この巨大で腐敗した一族において、絶対的な権力を争い、盤上で駒を動かす資格を持つ人間は最初からイレーナ一人だけじゃない。そしてあの大長老は……反対派を徹底的に粛清し、イレーナを何者にも揺るがせぬ正統な後継者として玉座へ押し上げるため、最も過激で血生臭く、だけど最も確実な最短ルートを選んだに過ぎないのよ――そのために、自分の命すらも最後の切り札にしてね」
このあまりに過酷な真実を聞かされ、セリアの頭の中は真っ白になった。
彼女は、自分の血管に流れる「エスペル」という血筋が、いかに人を喰らい、骨の髄まで政治の資本として利用し尽くす怪物の一族であるかを完全に理解した。
だからこそ……あの若く孤立無援だった十六歳のイレーナが、生まれたばかりの産着に包まれた自分を一瞬たりともこの冷酷で息の詰まる魔窟へ連れ帰ろうとしなかった理由も、痛いほど納得がいったのだ。
「要するに、この暗殺は表向き過激派の知性機械による襲撃に見せかけられているの」
ルネは何気ない調子で、その血塗られた盤面を淡々と解説してみせた。
「これで民衆の知性機械に対する憎悪と恐怖は一気に煽られる。そして第一継承者であるイレーナが、『冷徹なる復讐者』として大当主の座に就くための完璧なお膳立てが整ったわけ。混乱と恐怖に怯える民衆や一族の連中は、これ以上ないほど手腕が強引で圧倒的な実力を持つイレーナへすがるしかなくなる」
ルネは他人の茶番劇を評論するかのように淡々と語っていた。
しかし、その冷淡な仮面の裏で、彼女自身の心臓が鈍い痛みを刻んでいることを知る者はいない。
……あのスクリーンの中で息絶えた大長老こそが、この冷たい屋敷の中で唯一、自分を一人の人間として可愛がり、甘やかしてくれた肉親だったのだ。
イレーナから無視され、権力を奪うための道具として扱われていた孤独な日々の中で、大長老の無条件の寵愛があったからこそ、ルネは「実の母親の愛なんて得られなくても構わない」と強がることができていたのだから。
だけど、弱音を晒すことなど許されない。
自分の誕生そのものが冷徹な計算に基づく過ちであり、本来ならばセリアが享受すべきだった二十年分の居場所と特権を奪ってきた身である以上、今さら子供のように泣き喚くのはあまりに浅ましく、都合が良すぎる。
それに……今のルネがイレーナに向ける感情は、もはや単なる母娘の確執などではなく、ある種の奇妙な敵対心へと変わっていた――それはまるで「恋敵」や「強敵」を見据える野獣の本能に他ならなかった。
セリアに優しく撫でられ、その春水の如き温かさに幾度となく安らぎを与えられるうちに、ルネの傷だらけの心は、とうの昔に姉に対する歪んだ愛執の深みへと溺れてしまっていたのだ。
今の彼女は、かつてのイレーナの冷酷さを恨んでなどいない。
彼女が胸の奥でひたすら渇望し、苛立っているのは、あの独占欲の塊のような生母がこれ以上欲張らないでほしい、ということだけだった。
ルネの描く、歪みながらも至って真剣な青写真の中では――
イレーナが手を引き、穢れのないセリアを完全に自分へ譲り渡してくれるのなら、自分はエスペルの新たな支配者としてイレーナの老後を保障し、全宇宙で最も尊大で優雅な引退生活を送らせてあげてもいいと本気で思っていた。
だけど……
スクリーンに映る、イレーナが手中に収めようとしている血塗られた盤面を見つめながら、ルネは痛感していた。
愛娘を唯一の救いとし、魂の拠り所と定めるあの狂気の母親が、たとえ世界中を敵に回そうとも、セリアを誰の手にも渡すはずがないということを。
実の娘である自分に対してすらも。
賑やかな街路で、ルネは何かの決意を固めたかのように、突然立ち止まった。
彼女は身を翻し、野獣のように研ぎ澄まされた鋭い目を背後の特務の青年へ向けた。その声には温度が全くなかった。
「特務の坊ちゃん……そろそろ行動を起こす頃じゃない?」
その言葉にはいつもの軽口など微塵もなく、隠しようもない濃密な敵意が宿っていた。
隣に立つセリアの心臓が大きく跳ねた。強い違和感が込み上げてくる――ルネのその確信に満ちた殺気配は、ジュリアンが背後で企てる反逆の計画をすべて知っている証拠であった。
「ええ、確かにここ数日のうちにはね」
ジュリアンはサングラスのブリッジを指で押し上げ、口元にいつもの飄々とした苦笑いを浮かべながら、あっさりとその事実を認めた。
その包み隠さぬ肯定を聞いた瞬間、昨夜ようやく落ち着いたはずのセリアの感情が再び激しく乱れ始めた。胸を締め付ける息苦しさが押し寄せ、彼女は反射的に歩み出てジュリアンの袖を掴み、この血を流すだけの無謀な賭けを押し止めようとした。
しかしその動きを遮るように、腕が強引に横へ差し出された――
ルネが一歩前に踏み出し、小柄な白髪の少女を自らの背後へ完全に隠したのだ。
「お姉ちゃんを護るためなら……私、手加減なんて一切しないから」
ルネの声は氷のように冷たかった。
そして妹の背中に庇われたセリアの頭の中に、これまで見過ごしてきた無数の違和感が一気に繋がり、恐ろしい盲点に気がついた――
イレーナのあの、抜け落ちた髪の毛一本すら厳重に保管するような異常な独占欲を前にして、部外者であるジュリアンが、あの堅牢な水晶温室へ易々と入ってこられたはずがないのだ。
つまり……ジュリアンは水面下でイレーナへ拒絶できない利益や政治的条件を出し、当主の許可を取り付けた上で、自分のところへやって来ていたのだ!
この盤上にいる人間たちは皆、暗黙の了解のもとでこの血生臭い狂宴を動かしていたのだ!
ルネは背後のセリアを振り返らず、視線を少しずらして、落ち着いた様子の先輩令嬢へその切っ先を向けた。
「それで……カレナ先輩? あなたは今回、敵なの? 味方なの? 前回の【マジシャン】の反乱は操られていた不可抗力で押し通せたかもしれないけれど、今回はそう簡単に逃げ切れないわよ?」
今のルネの精神は、以前とは完全に一線を画していた。
二度にわたる敗北を経験したことで、彼女の焦りや盲目さは削ぎ落とされ、専用の機械兵裝【レオー】もエスペルの最高峰の技術陣によって彼女の操縦癖に合わせて特化調整されていた。
今の彼女に迷いはない――セリアを護るためならば、レオーの性能を極限まで引き出し、カレナのマジシャンを正面から倒せる絶対の自信があった。
「それは何とも言えませんね」
ルネが放つ殺気を前にしても、カレナはただ優雅に肩をすくめ、手元のクレープを一口小さくかじって上品に咀嚼した後に微笑んだ。
「理念の上では私とジュリアンは同じ陣営の同盟ですが、今の私は軍と司法当局から厳重に監視されている執行猶予中の身ですよ? 軽挙妄動などできるはずがありません」
結局のところ、前回の反乱で首謀者としての嫌疑が晴れたとはいえ、彼女が実際に引き起こした損害は動かしがたい事実であった。
連邦の裁判所が下した猶予判決は、単に自由を仮止めしたに過ぎず、完全に罪を免れたわけではない。
現在の彼女は学内の模擬訓練を除き、軍用の機械兵裝に乗る権限を完全に剥奪されていた。
万が一の緊急事態でマジシャンに乗る必要が生じても、軍最高司令部からの幾重もの承認手続きを経なければならないのだ。
表向きはがんじがらめのカレナが、ジュリアンに武力支援を提供することなど不可能なように見える。
だが裏を返せば……軍の監視の死角に入りさえすれば、この腹黒い女が何をしでかすか分からないということだ。
「つまり――あなたは潜在的な敵であり、表立っては手を出せない、そう解釈していいのね?」
ルネの声が一段と低く沈み、空気中に濃密な火薬の匂いが立ち込める。
それでもカレナは涼しい顔でスイーツを味わっていた。
人通りの多い休日の目抜き通りで騒ぎを起こせば、立場上困るのはエスペル家の後継者であるルネの方だと熟知しているからだ。
「私は何も言っていませんよ」
カレナは目をわずかに細め、ルネの肩越しに、意味ありげな視線をセリアへと真っ直ぐに向けた。
その瞳の奥にある昏い独占欲と重い情念は、まるで暗がりに潜む毒蛇のようで、見つめられたセリアの背筋に冷たい悪寒が走り、思わず全身が震えた。
その視線を鋭く察知したルネの口元に、冷たい嘲笑が浮かんだ。
「わざと事態を悪化させて、お姉ちゃんに親友の死と裏切りを見せつけて心に修復不能な深い傷を負わせる……その上で『優しい理解あるお姉様』として救いの手を差し伸べる――カレナ、あなたのその手口、あまりに使い古された手口じゃない?」
痛いところを容赦なく突かれたにもかかわらず、カレナはただ優美に口元を歪め、底知れない光を宿して答えた。
「ですが……私、昔からそういった古典的な劇種が、大のお気に入りなのですよ」
一見して噛み合わないその言葉こそが、彼女の内に秘められた冷酷で深い執念を何よりも雄弁に物語っていた。
通りの両側には依然として明るい音楽と甘い香りが漂っていたが、四人が立つ狭い空間の中では、それぞれの思惑と血の匂いを孕んだ巨大な嵐が、静かにその幕を開けようとしていた。
「お姉ちゃん! 今すぐお屋敷へ戻るわよ! この二人、危険すぎる!」
ルネの目の奥にあった殺気は、刹那のうちに純粋な保護欲へと転じた。
言い終わるが早いか、彼女はセリアが反応する間すら与えず、その腕で白銀の少女を軽々とお姫様抱っこで抱き上げたのだ!
ルネの体格は背の高いセリアに比べれば小柄で引き締まっているが、遺伝子調整と過酷な実戦で鍛え上げられた筋力は、並の成人男性を遥かに凌駕していた。
「きゃっ……?! ル、ルネ?!」
セリアは驚きの声を上げ、反射的にルネの首筋にしがみついた。
こうして、休日の繁華街を行き交う人々が呆然と見つめる中、高慢なる名門の次女は、お人形のように美しい姉を抱えたまま表情一つ変えず、通りの角の専用スペースに停めてあったエスペル家の黒い大型防弾リムジンへ向かって大股で突き進み始めた。
「ちょ、ちょっと待ってください! まだ帰るには早すぎませんか?!」
後ろでジュリアンが慌てて、ずり落ちそうになったサングラスを押し直しながら、両手の買い物袋を揺らして情けなく大声を上げた。
「僕たち、まだ何も悪いことしてないでしょう?! 現行犯みたいに扱うのはやめてくれませんかね!」
その堂々とした抗議に、ルネの足がピタッと止まった。
彼女はその場に立ち止まり、警戒と不審に満ちた目でジュリアンを上から下まで値踏みするように睨みつけた。
確かに……この男は星間を巻き込む武装反乱を企んでいると口にし、カレナも不気味な計算を巡らせているが、少なくとも今この瞬間、この明るい通りにおいて、彼らはまだセリアに何一つ危害を加えておらず、立場的には完全に無実であった。
「その通りです。せっかくの休日なのですから、せめて夕食くらいは四人で食べてから戻られてはいかがですか?」
カレナは日傘を優雅に畳み、真意の読めない笑みを浮かべた。その柔らかくも鼓膜を撫でるような蠱惑的な声が、セリアの耳朶に届く。
「セリア……あなたはどう思いますか?」
それは一見すると意見を求めているように聞こえたが、その言葉の裏には、冷たいメッセージが隠されていた――もし今日、この食事の席を共にしなければ、二度と全員で同じテーブルを囲む機会は訪れないかもしれない、と。
セリアはルネの温かい腕の中に抱かれながら、指先に力を込め、妹の制服の肩口をぎゅっと掴んだ。
運命の歯車が、またしても自分を容赦のない選択の分かれ道へと押し出したのだと分かった。
だけど……今のセリアは、以前のようにただ逃げ出すだけの無力な存在ではない。
イレーナの二十年にわたる血の執念を知り、ルネの不器用で歪んだ情愛を受け止め、そしてジュリアンの死を覚悟した決意を目の当たりにした今の彼女の瞳からは迷いが消え去り、静かな決意が宿っていた。
この夕食こそが、自分が「親友」としてジュリアンの前に座り、彼を引き止めることができる、最後の機会なのかもしれないのだから。
名門や名家に生まれた子供たちって、実際どんな風に育つんだろう――そんなことをずっと考えていました。
私自身、これまでに裕福な家庭で育った人を何人も見てきましたが、カレナのように優雅な人もいれば、ジュリアンのように狡猾で抜け目ない人もいるし、ルネのように傲慢で我が道を行くタイプもいました。
だからこそ、「家柄」だけでその人の人格が決まるわけではないんじゃないかな、と常々感じていたんです。
世間ではよく「お金持ちの家の子供って〇〇だよね」といったステレオタイプで語られがちですが、そういう決めつけって少し短絡的すぎる気がして。
そんな思いもあって、本作のキャラクターたちを描き始めました。
もちろん、主人公であるセリアには特別な思い入れがありますし、「もう一人のセリア」として生み出したイレーナにも同じくらい強い愛着を注いでいます。
でも本音を言えば、私自身、ルネのようなキャラクターが本当に大好きなんですよね。
実はルネには、すでに亡くなってしまった私の友人の面影を重ねている部分があって……だからこそ、彼女に対してはどこか特別な、言葉では言い尽くせない感情を抱いてしまうのかもしれません




