表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
66/103

「星喰いの真実」

世界が変わった。


白い世界が崩れていく。


観測者領域の景色が書き換わる。


シオンの足元に広がる光の海。


その全てが一つの記録へ収束していく。


男は静かに歩き続ける。


白い外套を揺らしながら。


シオンも後を追う。


やがて辿り着いた場所。


そこは巨大な神殿だった。


最初の世界に存在した施設。


観測者領域の最奥。


全ての記録が保管される場所。


記録の神殿。


無数の光柱が並ぶ。


それぞれに一つの歴史。


一つの文明。


一つの世界。


数え切れないほどの可能性が眠っていた。


その中心。


一際巨大な結晶が浮かんでいる。


漆黒だった。


光を吸い込む闇。


存在そのものを拒絶するような黒。


シオンは息を呑む。


見覚えがあった。


黒星晶。


いや。


それよりも遥かに古い。


もっと根源的な何か。


男が立ち止まる。


蒼い瞳が結晶を見上げる。


「これが始まりだ」


低い声。


重い声。


何千年もの後悔を抱えた声だった。


シオンは黙って見つめる。


男は続ける。


「星喰いは最初から存在したわけじゃない」


その言葉にシオンの瞳が揺れる。


今まで誰も知らなかった真実。


神話にも記されていない真実。


男は結晶へ手を触れた。


瞬間。


世界が変わる。


視界が白く弾ける。


そして。


映像が始まった。


最初の世界。


文明最盛期。


人類は繁栄していた。


神々の領域へ手を伸ばすほどに。


星晶技術。


空間制御。


生命創造。


時間観測。


全てを手に入れようとしていた。


その中心にいたのが観測者達だった。


未来を見る者。


世界を記録する者。


可能性を管理する者。


彼らは善意だった。


本当に。


世界を救いたかっただけだった。


「だが」


男が呟く。


「人は限界を超えた」


映像が変わる。


巨大な研究施設。


無数の研究者。


中心にある巨大な装置。


世界観測装置。


未来そのものを見る禁忌。


本来見てはならない領域。


存在してはならない技術。


だが。


人類は完成させた。


そして。


見てしまった。


終焉を。


未来の果てを。


世界の最後を。


その瞬間だった。


世界観測装置の中心に黒い亀裂が生まれる。


最初は小さかった。


だが。


少しずつ広がる。


少しずつ侵食する。


誰も気付かなかった。


それが何なのか。


その結果を。


男は静かに言った。


「星喰いは外から来た存在じゃない」


シオンの心臓が止まりそうになる。


男の瞳が向く。


そして。


告げた。


「人類が生み出した」


沈黙。


世界が止まる。


シオンは言葉を失った。


信じられなかった。


神話の災厄。


終末そのもの。


世界を滅ぼし続けた怪物。


その正体が。


人類自身だったなんて。


映像が続く。


観測装置は暴走した。


未来を見過ぎた。


可能性を知り過ぎた。


無限の終焉。


無限の絶望。


無限の死。


その全てが一つへ集まる。


そして。


生まれた。


星喰い。


終焉の集合体。


全ての滅び。


全ての絶望。


全ての負の可能性。


それが星喰いだった。


「そんな……」


シオンの声が震える。


男は苦しそうに笑う。


「皮肉だろう」


その笑顔は悲しかった。


「未来を救うための研究が」


「未来を滅ぼす存在を生んだ」


世界が暗くなる。


都市が消える。


文明が滅ぶ。


人々が死んでいく。


そして。


最初の世界は終わった。


誰も止められなかった。


誰も勝てなかった。


その中で。


たった一人だけ生き残った。


男だった。


観測者領域へ退避した最後の記録者。


だから彼だけが覚えている。


全てを。


その時だった。


ゴォォォォォォォォォ――――


神殿全体が揺れる。


シオンが振り返る。


遠く。


観測者領域の空が黒く染まっていた。


星喰い。


終焉そのもの。


ついに観測者領域へ侵入を始めている。


男の表情が曇る。


「来たか」


低い声。


何千年も恐れていた存在。


最初の世界を滅ぼした怪物。


シオンは拳を握る。


だが。


まだ終わらない。


男は再び歩き出した。


神殿のさらに奥へ。


「まだ見せていない記録がある」


シオンも後を追う。


男の瞳には悲しみがあった。


そして。


深い後悔も。


「星喰いが生まれた理由は分かった」


「だが」


振り返る。


蒼い瞳がシオンを見つめる。


「なぜ世界が繰り返されるのか」


「なぜ管理者が生まれたのか」


「なぜお前が選ばれたのか」


その全てはまだ語られていない。


世界の本当の罪。


創世の時代に犯された最大の過ち。


それこそが。


全ての始まりだった。


そして二人は歩き出す。


世界最大の禁忌へ。


創世の罪が眠る場所へ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ