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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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仲間の覚悟

神域へシオンの身体が激しく叩きつけられた。


轟音と共に大地が砕け、無数の亀裂が契約樹の根元まで走っていく。


「シオン!!」


ルナリアは迷わず駆け出した。


しかし、その前へ終焉意思が静かに立ちはだかる。


『近付くな。』


黒い翼が一度羽ばたく。


衝撃だけでルナリアの身体は吹き飛ばされ、神域の柱へ激突した。


「きゃあっ!」


「ルナリア!」


アリアが咄嗟に抱き止める。


口元から血が流れる。


それでもルナリアは苦しそうに立ち上がった。


「私は……大丈夫。」


「シオンの所へ……。」


終焉意思は感情のない瞳で仲間達を見渡す。


『邪魔をするな。』


『我の目的は希望の継承者のみ。』


『他の命に価値はない。』


その一言で、ヴォルグの額へ青筋が浮かんだ。


「……今なんつった?」


終焉意思は無言だった。


ヴォルグは大剣《グラヴィス》を肩へ担ぐ。


「価値がない?」


「俺達が?」


「ふざけんなよ。」


血晶が全身を覆う。


今まで以上に濃い紅色の輝き。


ヴォルグは静かに笑った。


「俺は昔、ゼノスに言われた。」


『犠牲なき秩序は存在しない。』


「その言葉を信じて、何人も傷付けてきた。」


「でもな。」


「シオンに会って分かった。」


「誰かを守るってのは。」


「命の価値を決めることじゃねぇ。」


「全部守ろうとすることなんだよ!」


ヴォルグが咆哮と共に飛び出した。


「おおおおおおおおっ!!」


神域が震える。


血晶が巨大な鎧となり、その一撃は神域の空間すら歪ませる。


終焉意思はゆっくり右手を上げた。


『無意味。』


「試してみろ!」


グラヴィスが振り下ろされる。


凄まじい衝撃。


終焉意思は初めて片腕で受け止めた。


ギィィィィィィンッ!!


神域へ火花が散る。


「止めた!」


ノアが叫ぶ。


ヴォルグはさらに力を込める。


腕の筋肉が悲鳴を上げ、血晶が砕け始める。


それでも押し続けた。


「シオン!」


「立てぇぇぇぇぇ!!」


終焉意思は静かにヴォルグを見る。


『理解不能。』


『勝てぬと分かっている。』


『何故立つ。』


ヴォルグは豪快に笑った。


「勝つためだけに戦うなら。」


「仲間なんていらねぇんだよ!」


その言葉を聞いたレオニクスは静かに剣を握る。


「その通りだ。」


折れたはずの剣。


しかし彼は柄だけを握り締める。


すると白銀の光が集まり、新たな刀身が形成されていく。


「我が剣は鉄ではない。」


「守るという信念そのものだ。」


レオニクスはヴォルグの隣へ立つ。


「一人では届かない。」


「なら二人で道を作る。」


アリアも双剣を回しながら笑う。


「二人だけじゃ足りないでしょ。」


「暗殺者の仕事、忘れないで。」


影の中へ消える。


終焉意思の死角へ回り込み、一瞬で数百もの斬撃を叩き込んだ。


終焉意思の身体へ細かな亀裂が走る。


「今よ!」


ルナリアは両手を天へ掲げる。


月光が神域全体へ降り注ぎ、仲間達の身体を包み込む。


「月神祝福――《ルナ・レガリア》!」


銀色の光がヴォルグとレオニクスの力を何倍にも増幅させる。


イヴとリーヴァも生命の力を重ねた。


「生命契約!」


「全員の生命力を共有します!」


ノアとルクスは契約樹へ手を置き、同時に叫ぶ。


「創世回路、全開放!」


「神域全域へ魔力供給開始!」


神域が七色の光に包まれる。


終焉意思は周囲を見渡した。


仲間達は誰一人諦めていない。


傷付き。


血を流し。


限界を超えてなお立ち続ける。


『理解不能。』


終焉意思は静かに呟く。


『何故。』


『何故そこまで。』


ルナリアは涙を浮かべながら笑った。


「だって。」


「家族だから。」


その一言だった。


終焉意思の身体が、わずかに震える。


黒い核の奥で蒼い光が一際強く輝いた。


「……っ。」


ノクティスの声が漏れる。


「家族……。」


シオンはその声を聞いてゆっくりと立ち上がる。


胸の痛みはまだ消えない。


それでも、その瞳には再び迷いがなくなっていた。


仲間達が、自分のために命を懸けて時間を作ってくれた。


一人ではない。


その事実が、折れかけていた心をもう一度立ち上がらせる。


シオンはエクリプス・ブレイドを握り直した。


「ありがとう。」


静かな声だった。


しかし、その声には確かな決意が宿っていた。


「ここからは。」


「俺の番だ。」


その瞬間、七色の光が再び神域を照らし、希望の継承者は終焉へ向かって再び歩き出した。

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