↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
297/306

最果ての灯台

「私は……。」


「誰だ……。」


アズラエルは頭を抱え、その場へ膝をついた。


黄金の仮面には無数の亀裂が走り、内側から眩い白い光が漏れ始める。


空を覆っていた消去術式も制御を失い、巨大な数式が一つ、また一つと崩壊していった。


「今だ!」


シオンが叫ぶ。


「創世核の欠片を助ける!」


全員が同時に動き出す。


レオニクスは一直線に水晶塔へ駆け、崩れかけた柱を支える。


「ヴォルグ!」


「任せろ!」


ヴォルグの拳が崩落する瓦礫を砕き、逃げ道を作る。


アリアは屋根を飛び移りながら周囲を見回した。


「黒い瘴気が地下から上がってきてる!」


「核は地下よ!」


ノアは水晶塔へ両手を添える。


青白い光が塔全体へ広がった。


「やっぱりです!」


「創世核の欠片へ終焉が入り込んでいます!」


ルクスも魔法陣を展開する。


「完全に侵食されれば。」


「この文明は存在そのものが消滅する。」


「急げ!」


シオンは少女へ振り返った。


「地下へ行く道は!」


少女は涙を拭い、震える指で塔の奥を指差す。


「あそこ……。」


「神殿の祭壇の下。」


「街のみんなしか知らない道。」


「分かった。」


シオンは頷き、一気に神殿へ駆け出した。


ルナリアとアリアがすぐ後ろへ続く。


神殿の扉は半ば崩れ落ちていた。


中へ入ると、祭壇には巨大な星晶石が祀られている。


シオンは祭壇へ手を掛けた。


「押すぞ!」


レオニクスも加わる。


重い石がゆっくり動き、その下から螺旋階段が姿を現した。


地下から冷たい風が吹き上がる。


風ではない。


濃密な終焉の瘴気だった。


「……行こう。」


三人は迷わず地下へ降りていく。


階段の先には巨大な地下空間が広がっていた。


中央には青白く輝く水晶。


その大きさは人の背丈を優に超えている。


創世核の欠片だった。


しかし、その半分以上は黒く染まり、表面へ無数の亀裂が走っている。


「遅かったか……。」


シオンが息を呑む。


その時、水晶の前へ一人の老人が現れた。


王冠を被り、豪華な衣を纏った老人。


身体は半透明。


魂だけが、この場所へ残り続けている。


老人は静かに一礼した。


「ようこそ。」


「最後の観測者。」


「あなたは?」


老人は穏やかに微笑む。


「私は、この街の最後の王。」


「アストラ。」


「三百二十一番世界。」


「最後の王です。」


ルナリアが目を見開く。


「あなたが……。」


王は創世核の欠片を見つめた。


「私達は敗れました。」


「終焉には勝てなかった。」


「それでも。」


「子ども達だけは生きてほしかった。」


「だから。」


「創世核を封印した。」


「外へ終焉を出さないように。」


シオンは黒い瘴気を見つめる。


「それが今、限界なんだな。」


王は静かに頷く。


「数千年。」


「よく耐えてくれました。」


「この子が。」


王は少女へ微笑んだ。


少女は泣きながら首を振る。


「ごめんなさい。」


「街を守れなかった。」


「違う。」


王は優しく答えた。


「お前は守り抜いた。」


「誰一人、お前を責めない。」


「だから。」


「もう眠りなさい。」


少女は涙を流しながら頷いた。


その時だった。


ドォォォォォォォォン!!


地下空間が激しく揺れる。


天井へ巨大な亀裂が走り、黒い瘴気が一気に噴き上がった。


創世核の欠片が悲鳴を上げるように震え始める。


「まずい!」


ノアの声が上から響く。


「終焉が核を飲み込みます!」


同時に、地上からアズラエルの苦しむ声が聞こえた。


「思い……出した。」


「私は。」


「私は……!」


黄金の仮面が砕け散る。


パリン――。


露わになったその素顔を見た瞬間、王アストラは目を見開いた。


「……リオン。」


少女も涙を流しながら叫ぶ。


「お兄ちゃん!」


シオン達は息を呑む。


アズラエル。


執行管理者。


その正体は、この滅びた文明で少女を守り続けていた王子――リオン・アストラだった。


終焉の海へ沈んだ文明。


その最後の兄妹が、数千年の時を越えて再び巡り会う。


だが、創世核の侵食は止まらない。


本当の決断の時が、すぐそこまで迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。