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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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最後の部屋

純白の大扉が、ゆっくりと開いていく。


ギィィィ――――。


重厚な音は塔全体へ響き渡り、七人を包む光はさらに眩しさを増していった。


シオンは自然と息を呑む。


胸の鼓動が速くなる。


何かを思い出しそうで、思い出せない。


そんな不思議な感覚だった。


「……行こう。」


シオンの一歩を合図に、仲間達も静かに歩き出す。


扉を越えた瞬間。


全員の視界が白く染まった。


眩い光が少しずつ晴れていく。


その先に広がっていた光景に、誰も言葉を失った。


「……なんだ。」


ヴォルグが思わず呟く。


そこは部屋ではなかった。


空だった。


果てしなく続く青空。


足元には雲が広がり、その上を歩いている。


遥か下には、無数の世界が光の球体となって浮かんでいた。


赤い世界。


蒼い世界。


砂漠だけの世界。


海だけの世界。


雪に覆われた世界。


数え切れないほどの世界が、静かに宇宙を漂っている。


「全部……世界なの?」


ルナリアが息を呑む。


アルバは静かに頷いた。


「はい。」


「ここは《創世の間》。」


「全ての世界を見守る場所です。」


ノアも驚きを隠せなかった。


「私も……。」


「ここへ来たのは初めてです。」


中央には一本の巨大な世界樹が立っていた。


幹は黄金色。


枝葉は空そのものへ溶け込み、無数の光が葉となって揺れている。


その一本一本が、一つの世界だった。


シオンはゆっくり近付く。


「これが……。」


「世界樹。」


「ええ。」


ルクスが静かに頷く。


「全ての命の始まり。」


「そして。」


「全ての世界の中心。」


その時だった。


サァァァァ――。


一本の葉が枝から舞い落ちる。


黄金色の葉はシオンの目の前で静かに止まり、柔らかな光へ変わっていく。


光は少しずつ人の形を作り始めた。


白いコート。


銀色の髪。


優しい笑顔。


その姿を見た瞬間。


シオンの瞳が大きく揺れる。


「……始祖。」


ルナリアの目にも涙が浮かぶ。


「エイン様……。」


光の青年は静かに微笑んだ。


『久しぶりだね。』


『シオン。』


『ルナリア。』


『みんな。』


その声は昔と何も変わっていなかった。


穏やかで。


優しくて。


どこか照れ臭そうな笑い方まで、全てそのままだった。


ヴォルグは思わず笑う。


「相変わらずだな。」


『そっちこそ。』


『少しは落ち着いたか?』


「失礼だな!」


「俺は昔から冷静だ!」


アリアが小さく吹き出す。


「それはない。」


「ひどいな!」


久しぶりに聞く掛け合いだった。


その光景を見ながら、エインは静かに笑う。


『良かった。』


『みんな笑えてる。』


『それだけで十分だ。』


シオンは一歩前へ出る。


「聞きたいことが山ほどある。」


『だろうね。』


「なんで世界を創った。」


「管理者って何なんだ。」


「アビスは何だった。」


「俺達は。」


「何のために戦った。」


エインは静かに目を閉じる。


長い沈黙。


やがてゆっくりと口を開いた。


『全部話そう。』


『もう隠す理由はない。』


『でも。』


『その前に一つだけ。』


エインは優しく微笑む。


『本当にありがとう。』


『君達がここまで来てくれたから。』


『ようやく。』


『世界は次の時代へ進める。』


その瞬間。


世界樹の奥で、誰も触れていないはずの巨大な扉がひとりでに開き始めた。


ゴゴゴゴゴ……。


扉の向こうには、さらに古い世界が映し出されている。


そこには空も星もない。


命すら存在しない、漆黒の世界。


エインは静かにその世界を見つめた。


『ここから。』


『全ては始まった。』


『君達へ見せよう。』


『誰も知らない。』


『第零世界の物語を。』


その言葉と共に、世界樹が眩い黄金色の光を放つ。


創世以前。


神すら生まれていなかった時代。


世界の始まりの記憶が、静かに目を覚まそうとしていた。

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