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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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七柱最後の集結

神域を覆っていた無数の眼が、一斉にシオンへ向いた。


視線だけだった。


それだけで胸の奥が軋む。


鼓動が乱れ、観測者の紋章が激しく明滅を繰り返す。


「くっ……!」


シオンは膝をつきかける。


脳へ直接流れ込んでくる。


理解できない情報。


理解してはいけない概念。


外界は言葉を持たない。


だが、その存在そのものが観測者へ語り掛けていた。


『還せ。』


『世界を。』


『始まる前へ。』


頭が割れそうな激痛に襲われる。


シオンは剣を地面へ突き立て、何とか意識を繋ぎ止めた。


「そんな……未来は認めない。」


低く呟いた瞬間、胸の紋章から蒼い光が溢れ出す。


外界の声が一瞬だけ遠のいた。


始祖が駆け寄る。


「大丈夫か!」


「ああ……まだ立てる。」


「無理をするな。」


「無理をしなかったら世界が終わる。」


その返事に始祖は苦笑する。


「本当に、お前らしい。」


その時だった。


崩れ続けていた七柱の神像から、それぞれ異なる光が立ち上る。


黄金。


漆黒。


蒼。


白銀。


深紅。


翡翠。


紫紺。


七色の光柱が神域を貫いた。


アダムが驚きの声を漏らす。


「まさか……。」


始祖もゆっくり顔を上げる。


「契約が……。」


砕けた神像が完全に崩れ落ちる。


その代わりに。


七つの光が人の姿を形作っていく。


最初に現れたのは始祖だった。


黄金の翼を背負い、神剣を携えた創世神。


その隣へ黒い粒子が集まり、クロノスが姿を現す。


「相変わらず堅苦しい演出だな。」


「神なんだから少しくらい格好を付けさせろ。」


軽口を交わす二人へ、白銀の光が降り注ぐ。


アダムが静かに前へ歩み出た。


その背後には巨大な円環が浮かび、神域全体へ秩序の紋章が広がる。


続いて蒼い光が柔らかく揺れる。


レイだった。


穏やかな笑みを浮かべ、本を胸へ抱えている。


シオンは思わず声を上げた。


「レイ!」


青年は優しく微笑む。


「また会えたね。」


「今回は少しだけ長く話せそうだ。」


その笑顔を見た瞬間、不思議と胸の痛みが和らいだ。


さらに翡翠の光が収束し、一人の女性が姿を現す。


長い緑髪。


透き通る翠眼。


白と翡翠の法衣を纏い、大きな砂時計を抱えている。


「私はアイオーン。」


穏やかな声だった。


「時間を司る者。」


シオンは目を見開く。


「時間の神……。」


その隣では紫紺の光がゆっくり形を成していく。


現れたのは長い紫髪を持つ女性。


片手には一本の糸巻き。


もう片方の手には黄金の鋏。


「私はモイラ。」


「因果を織る神。」


最後に深紅の光が神域を満たす。


ルシエルが静かに姿を現した。


「ようやく全員揃ったな。」


七柱。


創世から一度も揃うことのなかった神々が、初めて一列へ並ぶ。


神域そのものが震えた。


始祖はゆっくりと六柱を見渡す。


「何億年ぶりだろうな。」


クロノスが肩を竦める。


「数えるのは途中でやめた。」


アダムが静かに笑う。


「昔と変わりませんね。」


アイオーンも微笑む。


「またこうして並べるとは思いませんでした。」


モイラはシオンを見つめる。


「でも、一人だけ違う顔がいる。」


全員の視線がシオンへ集まる。


レイが一歩前へ出た。


「紹介する。」


「彼が最後の観測者。」


「シオン・アルヴィス。」


七柱は誰一人驚かなかった。


まるで最初から知っていたかのように。


ルシエルが優しく笑う。


「待っていた。」


アイオーンも静かに頷く。


「未来は、あなたへ辿り着いた。」


モイラは運命の糸を指先で弾く。


一本だけ蒼く輝く糸が、七柱全員とシオンを繋いでいた。


「これが最後の運命。」


「世界群が生き残る未来。」


シオンは七柱を見渡す。


目の前に並ぶのは神話そのもの。


その誰もが、自分へ希望を託している。


「買い被りすぎだ。」


シオンは苦笑した。


「俺は神じゃない。」


始祖が静かに笑う。


「だからいい。」


クロノスも続ける。


「神には見えない未来がある。」


レイは本を閉じる。


「観測者だから届く答えがある。」


アダムは契約書を開く。


「私達七柱は、この瞬間のために存在してきた。」


七柱が同時にシオンへ向き直る。


その圧倒的な神威を前にしても、シオンは一歩も退かなかった。


すると神域の彼方で、外界の巨大な腕がゆっくりと拳を握る。


世界を一撃で砕けるほど巨大な拳。


その狙いは。


七柱ではない。


最後の観測者――シオンただ一人だった。

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