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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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未来へ

光だった。


世界そのものが光に包まれていた。


観測者継承。


世界再生。


五百回続いた戦いの終結。


その全てが今。


一つの奇跡として完成していた。


世界核は安定している。


崩壊は止まった。


未来は守られた。


空は青さを取り戻し。


海は再び輝き。


大地には命が戻り始めている。


終わったのだ。


ようやく。


本当に。


長い戦いが。


だが。


静寂の中。


ルナリアだけは空を見上げ続けていた。


蒼い光。


観測の座。


世界の中心。


そこにシオンがいる。


確かにいる。


だが。


もう触れられない。


声も届かない。


距離ではない。


存在そのものが違う場所にいる。


それが現実だった。


クロノが静かに隣へ立つ。


しばらく何も言わない。


そして。


小さく笑った。


「泣くなよ」


ルナリアは涙を拭う。


「泣いてない」


「嘘つけ」


「本当に泣いてない」


「顔ぐちゃぐちゃだぞ」


思わず笑いが零れる。


少しだけ。


本当に少しだけ。


その笑顔を見て。


クロノも安心したように息を吐いた。


創造主は静かに空を見上げる。


その隣には終焉がいた。


かつて世界を滅ぼそうとした存在。


かつて世界を創った存在。


本来なら決して並ぶはずのない二人。


終焉が小さく呟く。


『終わったな』


創造主は微笑む。


「ああ」


静かな返事。


何万年も続いた戦い。


何万年も続いた後悔。


その全てが終わった。


銀色の瞳が細められる。


「ようやく終われる」


その声には安堵があった。


終焉も空を見上げる。


赤い瞳に映る蒼い光。


観測者となった少年。


世界を救った最後の黒星王。


『本当に変な奴だった』


苦笑混じりの声。


創造主は笑った。


「確かにな」


二人は静かに笑う。


世界の始まりと終わり。


その両方が。


一人の少年に救われたのだった。


その時だった。


世界核から小さな光が降りてくる。


蒼い光。


優しい光。


ルナリアは目を見開いた。


光はゆっくり降下する。


誰にも触れず。


誰も傷付けず。


ただ静かに。


そして。


ルナリアの目の前で止まった。


光の中に映るのは。


一枚の星晶。


蒼く輝く小さな結晶。


ルナリアは震える手で受け取る。


その瞬間。


声が聞こえた。


『泣くなよ』


ルナリアの瞳が大きく見開かれる。


聞き間違えるはずがない。


何度も聞いた声。


何度も隣で聞いた声。


『また会える』


静かな声。


優しい声。


シオンの声だった。


ルナリアは結晶を胸へ抱きしめる。


涙が止まらない。


それでも。


今度は悲しい涙ではなかった。


希望の涙だった。


約束の証だった。


世界核の上空。


観測の座。


そこでは。


シオンが静かに世界を見つめていた。


無数の星々。


無数の未来。


無数の可能性。


全てが見える。


全てが聞こえる。


全てが感じられる。


人ではなくなった。


だが。


心は変わらない。


守りたいものも。


大切な人も。


何一つ変わらない。


その時。


観測の座の遥か先。


宇宙の果て。


世界の外側。


誰も存在しないはずの虚空で。


何かが揺らいだ。


シオンの瞳が細くなる。


見たことのない光。


見たことのない扉。


世界核の記録にも存在しない反応。


静かな違和感。


だが。


確かに存在している。


そして。


扉の向こうから。


誰かの声が聞こえた。


『発見』


静かな声。


男とも女とも分からない声。


『第五百世界』


シオンの表情が変わる。


『観測者存在確認』


虚空が揺れる。


世界の外側が開く。


その先には。


無数の光が浮かんでいた。


世界だった。


一つや二つではない。


数え切れないほどの世界。


セレスティアではない。


創造主の世界でもない。


全く別の世界群。


シオンは初めて驚く。


観測者となった今でさえ。


知らなかった光景。


そして。


声が再び響く。


『接触を開始する』


静寂。


世界の外側。


世界のさらに外側。


そこに。


まだ誰も知らない真実が存在していた。


シオンはゆっくり立ち上がる。


蒼い瞳が輝く。


五百回の物語は終わった。


だが。


新たな物語が始まろうとしている。


創造主も知らない。


終焉も知らない。


観測者だけが辿り着く領域。


世界の起源。


全ての始まり。


その真実へ。


物語は次なる章へ進む。

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