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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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消えゆく存在

世界は救われた。


五百回続いた絶望。


五百回繰り返された終末。


エンド・リライト。


その全ては終わった。


世界核は再び輝いている。


純白の光。


生命の光。


未来の光。


崩壊していた空は修復され始めていた。


砕けた未来も。


失われた可能性も。


少しずつ元へ戻っていく。


本来なら。


誰もが喜ぶはずだった。


本来なら。


歓声が上がるはずだった。


だが。


誰も笑えなかった。


ルナリアの瞳から涙が溢れていた。


クロノも顔を伏せている。


創造主は静かに目を閉じていた。


終焉も何も言わない。


なぜなら。


世界核の前に立つシオンの身体が。


少しずつ光へ変わり始めていたからだ。


指先から。


腕から。


肩から。


身体の輪郭が粒子となって消えていく。


世界核との融合。


それが世界再生の代償だった。


シオン自身も理解していた。


世界核は傷付いている。


五百回のループ。


五百回の終末。


五百回の再構築。


その全てによって。


世界そのものが限界を迎えていた。


だから。


新しい核が必要だった。


新しい観測者が。


世界を見守る存在が。


必要だった。


そして。


その資格を持つ者は。


一人しかいない。


五百回の歴史を継承し。


五百回の希望を受け継ぎ。


五百一回目の絶望すら受け入れた存在。


シオン・アルヴィスだけだった。


「そんなの……」


ルナリアが震える。


「そんなの聞いてない……」


涙が止まらない。


ようやく会えた。


ようやく帰ってきた。


世界を救った。


全部終わった。


なのに。


また失うのか。


また。


彼は消えるのか。


シオンは静かに笑った。


悲しそうに。


でも。


どこか満足そうに。


「俺も知らなかった」


小さな声だった。


世界核が脈動する。


ドクン――


ドクン――


優しい鼓動。


まるで世界そのものがシオンを迎え入れようとしているようだった。


クロノが前へ出る。


拳を握る。


「拒否できないのか」


シオンは首を横に振った。


「無理だな」


即答だった。


「もう始まってる」


光が広がる。


足元から。


ゆっくりと。


確実に。


世界核と繋がっていく。


創造主が目を伏せる。


彼は知っていた。


最初から。


世界再生には代償が必要だと。


だが。


言えなかった。


最後の希望へ。


その運命を。


終焉が静かに呟く。


『……皮肉だな』


赤い瞳が揺れる。


『世界を救った英雄が』


『世界そのものになるのか』


シオンは苦笑する。


「本当にな」


静寂。


誰も言葉を失う。


だが。


シオンだけは穏やかだった。


不思議なほど。


恐怖がなかった。


むしろ。


安心していた。


世界は救われた。


仲間達は生きている。


未来は残った。


なら。


それでいい。


そう思えた。


その時だった。


世界核が眩く輝く。


ゴォォォォォォォォォォォォン――――


巨大な光柱が宇宙を貫く。


創造主が顔を上げる。


終焉が目を見開く。


アーカイヴも息を呑む。


何かが始まる。


世界そのものが。


新たな観測者を受け入れようとしていた。


そして。


五百回の物語は最後の章へ進み始める。

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