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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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REBIRTH

世界が止まった。


時間が。


空間が。


未来が。


歴史が。


全て静止していた。


世界核の中心。


巨大な黒い眼。


エンド・リライト。


世界終了術式そのものの意思。


それが完全に目覚めていた。


宇宙を埋め尽くすほど巨大な存在。


終焉ですら小さく見える。


創造主ですら恐れる存在。


五百回積み重なった絶望の集合体。


それが今。


世界を終わらせようとしていた。


『最終処理開始』


感情のない声。


冷たい声。


絶対的な声。


『世界終了を実行する』


黒い光が広がる。


世界核が侵食される。


未来が消える。


過去が消える。


生命が消える。


存在そのものが白紙へ戻されていく。


ルナリアは歯を食いしばった。


クロノも拳を握る。


終焉が睨む。


創造主が前へ出る。


だが。


誰も動かなかった。


動けなかった。


この存在は。


強いとか弱いとかではない。


世界そのものだからだ。


その時だった。


シオンが前へ出る。


黒い外套が揺れる。


蒼い瞳が輝く。


希望と絶望。


光と闇。


全てを抱えた瞳。


『対象確認』


黒い眼が向く。


『五百回目の黒星王』


静寂。


シオンは立ち止まらない。


一歩。


また一歩。


世界の終わりへ歩いていく。


ルナリアが叫ぶ。


「シオン!」


だが。


シオンは振り返らない。


静かに笑っただけだった。


「大丈夫だ」


優しい声。


いつもの声。


何も変わらない。


だからこそ。


ルナリアは涙が止まらなかった。


シオンは黒い眼を見上げる。


そして。


静かに問い掛けた。


「お前は何で世界を終わらせたい」


静寂。


誰も予想していなかった言葉。


戦うのではない。


問い掛けたのだ。


世界終了術式へ。


『理由は既に算出済み』


黒い眼が答える。


『生命は苦痛を生む』


『未来は争いを生む』


『希望は絶望を生む』


『ゆえに終了する』


機械的な答え。


感情のない答え。


だが。


シオンは首を横に振る。


「違う」


黒い眼が沈黙する。


「お前も怖かったんだろ」


世界が静まる。


創造主が目を見開く。


終焉も驚いていた。


シオンは続ける。


「五百回見たんだろ」


「失敗を」


「絶望を」


「滅びを」


蒼い瞳が優しく細められる。


「だから諦めた」


静寂。


『否定』


黒い眼が答える。


だが。


声が揺れていた。


僅かに。


本当に僅かに。


シオンは笑う。


「終焉と同じだ」


終焉が目を見開く。


「オメガと同じだ」


創造主が目を閉じる。


「創造主とも同じだ」


静かな声。


「みんな怖かっただけなんだ」


その瞬間だった。


黒い眼に亀裂が走る。


バキッ――


世界が震える。


『エラー』


『感情混入』


『論理破損』


黒い光が暴走する。


シオンは止まらない。


「それでも」


剣を握る。


エクリプス・ブレイド。


五百回の希望。


五百一回目の絶望。


世界中の願い。


全てが集まる。


「人は前に進く」


蒼い瞳が輝く。


「苦しくても」


「悲しくても」


「絶望しても」


黒星晶が眩く光る。


世界が共鳴する。


創造主。


終焉。


オメガ。


ネメシス。


ゼロ。


五百人の黒星王。


ルナリア。


クロノ。


アリア。


セレス。


仲間達。


全ての想いが集まる。


『理解不能』


黒い眼が叫ぶ。


『理解不能』


『理解不能』


『理解不能』


亀裂が増える。


世界終了術式が崩れ始める。


その時。


シオンは剣を掲げた。


世界が光に包まれる。


希望。


絶望。


未来。


過去。


全てを一つにした最後の力。


その名は――


「REBIRTH」


剣が振り下ろされる。


閃光。


轟音。


宇宙が消える。


世界が消える。


全てが光になる。


そして。


静寂。


気付けば。


黒い眼は消えていた。


世界終了術式も。


エンド・リライトも。


何も残っていない。


ただ。


小さな光だけが残っていた。


震える光。


泣いているような光。


シオンはその光へ手を伸ばす。


優しく。


壊れないように。


そして。


微笑んだ。


「もう終わっていい」


静かな声。


「休め」


光が震える。


そして。


ゆっくり消えていった。


安らかに。


穏やかに。


まるで。


救われたように。


その瞬間。


世界核が眩く輝いた。


ゴォォォォォォォォォォォォォォン!!


崩壊が止まる。


空が戻る。


海が戻る。


未来が戻る。


歴史が戻る。


世界再生。


REBIRTH。


五百回続いた戦いは。


ついに終わった。


だが。


その時だった。


シオンの身体が光になり始める。


ルナリアの顔色が変わる。


「……え?」


創造主が目を見開く。


終焉が息を呑む。


シオンは静かに世界核を見る。


そして。


理解した。


世界再生の代償を。


五百回目の黒星王が。


最後に支払うべき代価を。


蒼い瞳が揺れる。


ルナリアを見る。


仲間達を見る。


そして。


小さく笑った。


世界は救われた。


だが。


本当の結末はまだ訪れていなかった。

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