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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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選ばない答え

世界核が脈動している。


ドクン――


ドクン――


ドクン――


世界そのものの鼓動。


生命の鼓動。


歴史の鼓動。


その中心で。


二人の黒星王が向かい合っていた。


シオン。


そして。


ネメシス。


五百回目と五百一回目。


希望と絶望。


二つの未来が対峙している。


ネメシスは静かにシオンを見つめていた。


蒼い瞳。


だがその奥には。


何万年もの孤独が眠っている。


「答えろ」


低い声。


「何を捨てる」


世界核が共鳴する。


周囲に無数の未来が映し出される。


一つ目の未来。


世界が救われる。


終焉も消える。


人類も生き残る。


だが。


シオンだけが消える。


劇場版と同じ結末。


ルナリアが震える。


「やめて……」


映像の中。


彼女は泣いていた。


誰も覚えていない英雄。


誰も知らない救世主。


あの日と同じ未来。


二つ目の未来。


シオンは生き残る。


仲間達も生き残る。


だが。


終焉が消滅する。


創造主の半身。


孤独。


悲しみ。


終わり。


全てが消える。


結果として世界は再び歪み始める。


数千年後。


新たな終焉が生まれる。


再び世界は滅ぶ。


三つ目の未来。


終焉は救われる。


世界も救われる。


だが。


ルナリアが消える。


世界再生の代償として。


月の継承者だけが存在を失う。


シオンの顔が変わる。


ルナリアも息を呑む。


そして。


四つ目。


五つ目。


六つ目。


無数の未来。


全て同じだった。


誰かが消える。


誰かが失われる。


誰かが犠牲になる。


それが世界だった。


ネメシスは静かに言う。


「理解したか」


蒼い瞳が揺れる。


「それが現実だ」


世界核がさらに輝く。


「五百回見た」


「五千回見た」


「五万回見た」


静かな声。


「答えは同じだった」


その表情に怒りはない。


悲しみもない。


ただ。


諦めだけがあった。


「全員を救う未来は存在しない」


ルナリアが唇を噛む。


クロノも拳を握る。


創造主は目を伏せる。


終焉も何も言わない。


誰も反論できない。


なぜなら。


ネメシスは嘘を言っていない。


実際に見てきたのだから。


全ての未来を。


全ての結末を。


その時だった。


シオンが一歩前へ出る。


黒い外套が揺れる。


ネメシスは目を細めた。


「答えは出たか」


静かな問い。


シオンは少し考えた。


そして。


ゆっくり首を横に振る。


「出てない」


世界が静まる。


ネメシスが眉をひそめる。


「何?」


シオンは未来の映像を見る。


仲間達。


終焉。


創造主。


ルナリア。


そして。


自分自身。


全ての未来で。


誰かが泣いていた。


「だから違う」


蒼い瞳が輝く。


ネメシスを見る。


真っ直ぐに。


「お前は間違ってる」


静寂。


世界核が揺れる。


ネメシスの表情が変わった。


初めてだった。


感情が動いたのは。


「何だと?」


シオンは答える。


「選択肢が足りない」


ルナリアが顔を上げる。


クロノも目を見開く。


創造主が微笑んだ。


終焉が静かに目を細める。


シオンは続ける。


「世界か仲間か」


「終焉か未来か」


「誰かを救うか誰かを捨てるか」


蒼い瞳が強く輝く。


「そんな二択しかないから」


黒星晶が眩く光る。


ドクン――


五百人の黒星王達の声が響く。


創造主の願い。


終焉の涙。


仲間達の想い。


全てが重なる。


「五百回負けたんだろ」


ネメシスの瞳が揺れる。


シオンは静かに笑った。


「だったら」


その笑顔は。


どこまでも真っ直ぐだった。


「五百一回目は違う答えを探せばいい」


世界が震えた。


ネメシスの蒼い瞳が大きく見開かれる。


それは。


彼が最も聞きたくなかった言葉だった。


同時に。


最も聞きたかった言葉だった。


希望を捨てた自分へ向けられた。


最後の可能性だった。


そして。


世界核の奥深くで。


何かが目覚め始める。


本当の最終試練が。


今。


動き始めようとしていた。

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