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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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世界誕生以前

光だった。


全てが光に包まれていた。


シオンは目を開く。


そこには何もなかった。


空もない。


大地もない。


海もない。


生命もない。


時間すら存在しない。


完全なる無。


世界誕生以前の領域。


創造主は静かに立っていた。


その隣にはシオン。


少し離れた場所にはルナリア達もいる。


終焉もいた。


赤い瞳を揺らしながら。


誰も言葉を発しない。


ここは世界の始まりより前。


全ての原点。


全ての答えが眠る場所だった。


創造主は前を見つめる。


「見てくれ」


静かな声。


その瞬間。


光の海が揺れる。


そして。


一つの光景が映し出された。


それは。


創造主が生まれた瞬間だった。


誰も存在しない無。


終わりも始まりもない世界。


その中心で。


一つの意識が目覚める。


創造主。


最初の生命。


最初の意思。


最初の孤独。


彼は長い時間を過ごした。


永遠とも呼べる時間を。


一人で。


ただ一人で。


誰とも話せず。


誰にも触れられず。


誰にも理解されず。


その孤独は想像を絶していた。


ルナリアの胸が痛む。


終焉の孤独を見た時と同じだった。


いや。


それ以上だった。


創造主は小さく笑う。


苦笑だった。


「あの頃の私は弱かった」


光景の中の創造主は空を見上げる。


何もない空を。


そして。


願う。


『誰かに会いたい』


その願いが全ての始まりだった。


世界が生まれる。


星が生まれる。


命が生まれる。


時間が生まれる。


歴史が生まれる。


未来が生まれる。


創造主は孤独を終わらせるために世界を創った。


だが。


そこで彼は間違えた。


苦しみを捨てた。


悲しみを捨てた。


孤独を捨てた。


終わりを捨てた。


そうして生まれたのが。


終焉。


星喰いだった。


終焉は黙って見ていた。


赤い瞳から涙が零れる。


何兆年も憎み続けた記憶。


何兆年も苦しみ続けた始まり。


その真実を。


今初めて見ていた。


創造主は振り返る。


終焉を見る。


そして。


静かに微笑んだ。


「本当にすまなかった」


終焉は顔を伏せる。


言葉が出ない。


怒ることもできない。


憎むこともできない。


長い年月をかけて積み上げた憎しみが。


少しずつ崩れていく。


その時だった。


光景が変わる。


シオンの瞳が見開かれる。


そこには。


五百人の黒星王がいた。


ゼロ。


第四百九十九世界の黒星王。


そして。


名も無き英雄達。


五百回の世界。


五百回の人生。


五百回の希望。


全員がシオンを見ていた。


ルナリアが息を呑む。


クロノも固まる。


壮観だった。


数万年に及ぶ戦いの歴史。


その全てが目の前に集まっている。


ゼロが静かに笑う。


「ようやくだな」


第四百九十九世界の黒星王も笑う。


「あとは頼んだ」


無数の黒星王達が頷く。


誰一人として絶望していなかった。


皆。


最後の希望を見ていた。


シオン・アルヴィスを。


その時。


五百人の黒星王達が光になり始める。


一人。


また一人。


静かに消えていく。


だが。


悲しみはない。


全員が笑っていた。


満足そうに。


未来を託すように。


そして。


最後にゼロが前へ出る。


最初の黒星王。


全ての始まり。


彼はシオンの肩に手を置いた。


「お前は一人じゃない」


静かな声。


「五百回分の希望がいる」


「仲間がいる」


「愛する者がいる」


蒼い瞳が優しく細められる。


「だから勝て」


シオンは黙って頷く。


ゼロは満足そうに笑った。


そして。


光になった。


全ての黒星王達が消える。


五百回の歴史が一つになる。


希望が一つになる。


その光が。


シオンの胸へ吸い込まれていく。


黒星晶が眩く輝く。


ドクン――


世界が震える。


創造主が微笑む。


終焉が顔を上げる。


ルナリアが涙を流す。


クロノが拳を握る。


その瞬間。


シオンは理解した。


五百回目の意味を。


自分が生まれた理由を。


黒星王計画の本当の目的を。


それは最強の英雄を作ることではなかった。


五百回積み重ねた希望を。


たった一人へ託すことだった。


その時。


遠くで鐘の音が響く。


ゴォォォォォォォン――――


世界終了術式。


エンド・リライト。


発動まで残り五日。


そして。


シオンは静かに顔を上げる。


蒼い瞳の先には終焉がいる。


創造主がいる。


世界がある。


守るべき未来がある。


REBIRTH最終章。


世界再生編。


その幕が。


ついに上がろうとしていた。

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