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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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最後の遺言

創世の書が静かに輝いていた。


崩壊するオリジン・アーカイヴ。


終焉に侵食される世界の記録。


その中心で。


最後のページだけが消えずに残っている。


まるで。


この瞬間のためだけに存在していたかのように。


シオン達は息を呑む。


創造主からの最後の遺言。


五百回目の黒星王へ向けられた言葉。


その続きを待っていた。


創世の書が開く。


そして。


新たな文字が浮かび上がる。


【もしお前がここへ辿り着いたなら】


静寂。


シオンは目を離せなかった。


創造主の声が聞こえる気がした。


遠い昔から。


ずっと。


この瞬間を待っていた誰かの声が。


【まず謝らなければならない】


ルナリアが目を見開く。


ゼロも驚いた表情を浮かべる。


創造主は続ける。


【私は全てをお前達に押し付けた】


【希望も】


【絶望も】


【戦いも】


【未来も】


【全て】


文字が震えている。


まるで。


本当に後悔しているかのように。


【本来なら私が向き合うべきだった】


【私が終焉を受け入れるべきだった】


【だが私は逃げた】


終焉が顔を上げる。


赤い瞳が揺れていた。


創造主の言葉を聞いている。


何兆年も待ち続けた存在が。


ようやく。


その声を聞いている。


【終焉は悪ではない】


【終焉は私だ】


【悲しみだ】


【孤独だ】


【愛だ】


【失ったもの全てだ】


シオンの胸が熱くなる。


創世の書の文字が滲む。


涙だった。


なぜ泣いているのか分からない。


だが。


止まらなかった。


【だから倒してはならない】


【消してはならない】


【受け入れなければならない】


その瞬間。


終焉の瞳から黒い涙が溢れた。


『やめろ……』


震える声。


今までの圧倒的な存在感はない。


そこにいたのは。


ただ一人の孤独な存在だった。


『そんな言葉を今さら……』


創世の書は止まらない。


最後の遺言を紡ぎ続ける。


【シオン・アルヴィス】


蒼い瞳が大きく揺れる。


自分の名前。


創造主が。


五百回前から。


この瞬間へ向けて呼び掛けている。


【お前は私ではない】


静寂。


【ゼロでもない】


【管理者でもない】


【観測者でもない】


【お前はシオン・アルヴィスだ】


ルナリアが顔を上げる。


クロノも息を呑む。


ゼロが静かに目を閉じた。


創造主は知っていた。


五百回目が特別な理由を。


【だからお前は選べる】


【私が選べなかった未来を】


【私が辿り着けなかった答えを】


文字が光を放つ。


オリジン・アーカイヴ全体が共鳴する。


五百回の記録。


五百回の黒星王。


五百回の希望。


全てがシオンへ集まっていく。


【終焉を受け入れろ】


【だが終焉になるな】


【世界を守れ】


【だが世界に飲まれるな】


【誰も犠牲にするな】


【お前自身も】


世界が震える。


シオンの瞳が見開かれる。


今までの黒星王達は。


全員が犠牲になった。


ゼロも。


第四百九十九世界の黒星王も。


そして劇場版の自分も。


皆。


世界を救うために消えた。


だが。


創造主は違うと言った。


犠牲になるなと。


生きろと。


その時だった。


創世の書の最後の文字が浮かび上がる。


誰も予想していなかった言葉。


五百回積み重ねられた歴史の答え。


【救うべきものは世界だけではない】


静寂。


【終焉も救え】


その瞬間。


星喰いの瞳が大きく見開かれた。


赤い瞳が震える。


終焉が。


初めて動揺した。


『救う……?』


掠れた声。


信じられないという声。


誰もそんなことを言わなかった。


五百回の世界で。


誰一人。


そんな答えに辿り着かなかった。


だから。


終焉は理解できない。


創造主が最後に残した願いを。


【それが五百回目の希望だ】


創世の書が光り輝く。


そして。


最後のページがゆっくり閉じ始める。


創造主の遺言は終わった。


だが。


その言葉は確かに残った。


世界を救う。


終焉を救う。


そして。


自分自身も救う。


五百回目の黒星王だけが選べる未来として。


その時。


オリジン・アーカイヴの崩壊がさらに加速する。


終焉との戦いは避けられない。


だが。


その戦いの意味は変わった。


倒すためではない。


救うための戦いへ。


そしてシオンは静かに顔を上げる。


真っ直ぐ終焉を見つめながら。


五百回目の答えを胸に刻んで。

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