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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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終焉の記憶

オリジン・アーカイヴは崩壊を続けていた。


巨大な亀裂が空間を走る。


無限に存在していた書架が次々と崩れ落ちる。


世界の記録が光となって消えていく。


終わりが近付いていた。


世界終了術式。


エンド・リライト。


その影響は既にこの神域にまで及んでいる。


だが。


誰も動けなかった。


目の前にいる終焉を見てしまったからだ。


星喰い。


全ての世界を滅ぼした災厄。


五百回もの絶望を生み出した存在。


その正体は。


捨てられた孤独だった。


『私は……』


赤い瞳が揺れる。


黒い涙が零れ落ちる。


『ずっと待っていた』


その声は小さかった。


先程まで世界を震わせていた終焉とは思えないほど。


弱々しく。


壊れそうだった。


シオンは黙って聞いていた。


エクリプス・ブレイドを握ったまま。


しかし剣先は下がっている。


敵として見られなくなっていた。


知ってしまったからだ。


終焉の正体を。


『最初は信じていた』


星喰いが呟く。


『迎えに来ると』


空間が揺れる。


赤い瞳の奥から記憶が溢れ出した。


創世以前。


何も存在しない闇。


創造主と星喰い。


元は一つだった存在。


同じ魂。


同じ心。


同じ命。


だが。


世界を創るために切り離された。


『すぐに終わると思っていた』


悲しそうな声。


『少しだけ離れるだけだと』


映像が映し出される。


孤独な終焉。


無限の闇。


誰もいない世界。


永遠の時間。


何億年。


何兆年。


想像もできない時間が流れる。


その間。


星喰いは一人だった。


ただ一人。


永遠に。


ルナリアが涙を流す。


耐えられなかった。


その孤独が。


あまりにも深すぎた。


『だが』


終焉の声が震える。


『誰も来なかった』


赤い瞳が閉じる。


『創造主は世界を愛した』


『人を愛した』


『未来を愛した』


『だが私を忘れた』


その言葉に。


ゼロが苦しそうに目を伏せた。


否定できない。


それが事実だからだ。


創造主は世界を守ろうとした。


だが。


置き去りにしたものがあった。


終焉。


孤独。


悲しみ。


自分自身の半分を。


『だから私は壊した』


空間が震える。


今まで見てきた滅びた世界が映し出される。


第一世界。


第二世界。


第三世界。


無数の世界。


無数の絶望。


『見てほしかった』


静かな声。


『気付いてほしかった』


『思い出してほしかった』


シオンは目を見開く。


その瞬間。


全てが繋がった。


終焉は世界を憎んでいたわけではない。


人類を憎んでいたわけでもない。


ただ。


忘れられたくなかった。


それだけだった。


『私は怖かった』


星喰いが呟く。


『存在しなかったことになるのが』


黒い涙が落ちる。


終焉。


世界最強の災厄。


だが。


その本質は。


たった一人の孤独な存在だった。


その時だった。


シオンの胸の黒星晶が激しく輝く。


ドクン――


記憶が流れ込む。


知らない景色。


知らない感情。


知らない想い。


そして。


一人の男。


創造主。


彼が最後に泣いている姿。


シオンは息を呑む。


創造主もまた。


後悔していたのだ。


切り離したことを。


終焉を一人にしたことを。


その時。


創世の書が最後の光を放つ。


ページが勝手にめくられる。


そして。


新たな一文が浮かび上がった。


【五百回目の黒星王へ】


静寂。


全員が息を呑む。


創造主からの最後の遺言。


その続きが。


今まさに明かされようとしていた。


そして。


その言葉こそが。


五百回続いた戦いの本当の答えだった。

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