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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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創造主の遺言

創世の書が輝いていた。


崩壊するオリジン・アーカイヴの中心で。


まるで最後の力を振り絞るように。


眩い光が空間を照らしている。


シオンは立ち止まった。


あと一歩で星喰いへ手を伸ばしていた。


あと一歩で終焉へ飲み込まれていた。


しかし。


創世の書がそれを止めた。


ページがめくられる。


一枚。


また一枚。


世界誕生から続く全ての記録が流れていく。


そして。


最後のページで止まった。


そこには文字が刻まれていた。


誰かの言葉。


誰かが残した最後の願い。


ルナリアが息を呑む。


クロノも目を見開く。


ゼロですら驚いていた。


なぜなら。


その文字は記録ではなかったからだ。


誰かが未来へ向けて残した手紙だった。


【もしこの記録を読んでいるなら】


静寂。


空間が止まったようだった。


【私は失敗した】


創造主の言葉だった。


世界を創った男。


管理者を生み出した男。


星喰いを生み出した男。


その存在が未来へ残した最後の言葉。


【私は孤独を恐れた】


文字が浮かぶ。


優しい文字。


どこか寂しそうな文字。


【だから世界を創った】


【誰かと出会うために】


【誰かと笑うために】


【誰かを愛するために】


ルナリアの瞳から涙が零れる。


なぜか分からない。


だが。


胸が締め付けられる。


創造主は神ではなかった。


万能でもなかった。


ただ。


一人の人間だった。


誰よりも孤独な人間だった。


【だが私は間違えた】


文字が揺れる。


創世の書も悲しそうに震えている。


【悲しみを捨てた】


【絶望を捨てた】


【孤独を捨てた】


【終わりを捨てた】


【だから私は不完全になった】


シオンは黙って読んでいた。


創造主。


星喰い。


ようやく全てが繋がる。


創造主は光だけを残した。


だから世界は歪んだ。


だから終焉が生まれた。


【光だけでは人は生きられない】


【希望だけでは前へ進めない】


【悲しみがあるから優しくなれる】


【絶望があるから希望を願える】


【終わりがあるから命は輝く】


空間が震える。


その言葉は真実だった。


ルナリアも。


クロノも。


ゼロも。


誰も否定できない。


苦しみがあるから人は強くなる。


別れがあるから出会いは尊い。


終わりがあるから今を大切にできる。


創造主はそれを知らなかった。


理解した時には遅かった。


星喰いは既に生まれていた。


【だから】


創世の書がさらに強く輝く。


【終焉は敵ではない】


その瞬間。


星喰いの瞳が揺れた。


初めてだった。


終焉が動揺したのは。


【終焉は私自身だ】


【失われた半身だ】


【だから倒してはならない】


静寂。


ゼロが目を見開く。


クロノも固まる。


ルナリアは震える。


創造主自身が否定した。


五百回続いた戦いを。


五百回続いた黒星王計画を。


【救ってくれ】


その言葉に。


シオンの心が大きく揺れた。


【私を】


【終焉を】


【世界を】


【全てを】


創世の書の光がシオンを包む。


温かい光だった。


どこか懐かしい光だった。


そして。


最後の言葉が浮かび上がる。


【シオン・アルヴィス】


世界が静まり返る。


創造主が。


五百回前から。


この瞬間を待っていた。


【お前ならきっと辿り着ける】


【私ができなかった答えに】


その瞬間だった。


星喰いが咆哮した。


『やめろォォォォォ!!』


初めてだった。


終焉が感情を露わにしたのは。


怒り。


悲しみ。


憎しみ。


そして。


恐怖。


赤い瞳から黒い涙が流れる。


『そんな言葉を残すな……』


宇宙が震える。


終焉が震える。


まるで傷付いた子供のように。


捨てられた子供のように。


『私は……』


低い声。


掠れた声。


『ずっと一人だった』


その言葉に。


シオンは剣を握る手を緩めた。


終焉は怪物ではなかった。


災厄でもなかった。


ただ。


誰よりも孤独な存在だった。


そして。


シオンは気付く。


戦うだけでは終われない。


倒すだけでは救えない。


五百回目の答えは。


きっとその先にあるのだと。


その時。


オリジン・アーカイヴ全体に巨大な亀裂が走った。


崩壊が加速する。


世界終了まで。


残り六日。


最終決戦の時は。


確実に近付いていた。

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