↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
171/206

侵入者

オリジン・アーカイヴが崩壊していた。


無限に続いていた書架が砕ける。


記録の海が裂ける。


世界誕生から積み重ねられた歴史そのものが悲鳴を上げていた。


轟音が響く。


終わりの見えない破壊音。


まるで世界の根幹を直接引き裂いているようだった。


ルナリアは咄嗟に身を低くする。


頭上を巨大な書架が吹き飛んだ。


無数の本が宙を舞う。


世界の歴史。


人類の記録。


失われた未来。


それら全てが光の粒子となって消えていく。


「何が起きてるの……!?」


叫ぶルナリア。


クロノは歯を食いしばった。


「侵食だ……!」


金色の時計が出現する。


時間結界。


防御術式。


しかし発動した瞬間に亀裂が走る。


バキッ――


「っ!?」


クロノの顔色が変わる。


時間そのものが歪んでいた。


今までとは違う。


管理者の法則でもない。


世界改変でもない。


もっと根源的な何か。


終焉そのもの。


星喰いの存在が空間を侵食しているのだ。


その時だった。


オリジン・アーカイヴ中央。


創世の書の上空。


巨大な赤い瞳が開く。


一つではない。


十。


百。


千。


万。


無数の瞳。


空間そのものが眼球へ変貌していく。


ルナリアは思わず息を呑んだ。


本能が理解する。


見てはいけない。


理解してはいけない。


あれは世界の外側の存在だ。


人類が認識してはいけない領域の存在だ。


『見つけた』


低い声が響く。


宇宙より古い声。


生命誕生以前から存在する声。


その一言だけで空間が震える。


ゼロが前へ出た。


黒い剣を抜く。


最初の黒星王。


五百回の歴史の始まり。


その瞳には覚悟が宿っていた。


「来ると思っていた」


赤い瞳が細くなる。


『久しいな』


終焉が笑う。


『最初の黒星王』


その瞬間。


空間が裂けた。


巨大な黒い腕が現れる。


星喰いの一部。


ただの一部。


それだけで大陸ほど巨大だった。


ズガァァァァァァァァァン!!


黒い腕が振り下ろされる。


ゼロが剣を振るう。


蒼黒い斬撃。


世界を裂く一撃。


激突。


衝撃波。


オリジン・アーカイヴ全体が吹き飛ぶ。


ルナリア達は後方へ弾き飛ばされた。


「ゼロ!」


シオンが叫ぶ。


しかし。


ゼロは動かなかった。


黒い腕を真正面から受け止めている。


だが。


その表情は険しい。


押されていた。


最初の黒星王が。


何万年戦い続けた英雄が。


ただの一撃で押し込まれていた。


『弱くなったな』


星喰いが嗤う。


『随分と』


ゼロは笑った。


苦笑だった。


「違うな」


黒い光が爆発する。


巨大な腕が吹き飛ぶ。


「お前が近付いたんだ」


赤い瞳が揺れる。


一瞬だけ。


本当に一瞬だけ。


終焉が感情を見せた。


怒りだった。


『ならば見せてやろう』


終焉が囁く。


『絶望を』


その瞬間だった。


オリジン・アーカイヴの空間が完全に裂ける。


その向こう側。


シオン達は見てしまった。


世界の外側を。


無数の滅びた世界。


無数の失敗した未来。


無数の死んだ黒星王達。


五百回ではない。


千でもない。


万でもない。


数え切れない世界が終焉に飲み込まれていた。


ルナリアの瞳から涙が溢れる。


クロノが膝をつく。


ゼロですら顔を歪めた。


あまりにも膨大な絶望。


あまりにも膨大な喪失。


人間が耐えられる情報量ではなかった。


しかし。


一人だけ立っていた。


シオンだった。


蒼い瞳が終焉を見つめる。


真っ直ぐに。


逸らさずに。


『ほう』


赤い瞳が細くなる。


『壊れないか』


終焉が笑う。


『ならば確かめよう』


世界が震える。


黒星晶が脈打つ。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


シオンの胸が熱くなる。


創世の書の最後の言葉。


五百回目の希望。


創造主の欠片。


全てが繋がり始める。


そして。


終焉はゆっくりと告げた。


『シオン・アルヴィス』


無数の赤い瞳が一斉に開く。


『お前を喰らえば』


静寂。


『全ては終わる』


終焉の殺意が解き放たれる。


オリジン・アーカイヴ最深部。


世界の始まりの地で。


五百回目の黒星王と。


真なる星喰いの戦いが。


ついに始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。