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ECLIPSE CHRONICLE ー エクリプス・クロニクル ー  作者: 神宮せいや
ECLIPSE CHRONICLE:REBIRTH

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希望の証明

巨大な扉が開いていく。


オリジン・アーカイヴ最深部。


誰も辿り着いたことのない領域。


世界誕生以前の記録が眠る場所。


その奥から溢れ出す光は、今まで見たどんな光とも違っていた。


暖かい。


優しい。


それでいてどこか懐かしい。


ルナリアは胸を押さえる。


涙が溢れそうになる。


理由は分からない。


だが。


その光を知っている気がした。


「これは……」


クロノも目を細める。


空間そのものが震えていた。


記録庫全体が共鳴している。


まるで。


この場所そのものが何かを待ち続けていたかのように。


ゼロは静かに前を見つめていた。


その横顔には安堵が浮かんでいる。


長い旅の終着点を見つけた人間のように。


第四百九十九世界の黒星王も扉を見ていた。


だが。


その表情は複雑だった。


期待。


後悔。


絶望。


様々な感情が入り混じっている。


「……結局」


彼が呟く。


「ここまで来たんだな」


シオンは何も答えなかった。


ただ前を見る。


巨大な扉。


その向こう側。


世界の真実。


そして。


自分が生まれた理由。


全てがそこにある。


第四百九十九世界の黒星王は振り返った。


蒼い瞳がシオンを見る。


今までの冷たさは少しだけ消えていた。


「お前は違うな」


小さな声。


シオンは眉をひそめる。


「何がだ」


幻影は苦笑した。


「俺は最後には何も信じられなくなった」


静かな声だった。


「仲間も」


「未来も」


「希望も」


「自分自身も」


その瞳には深い後悔があった。


五百回目に最も近付いた男。


だが。


最後に心が折れてしまった英雄。


「星喰いは強い」


幻影が言う。


「想像以上にな」


オリジン・アーカイヴの光が揺れる。


遠く。


世界の外側。


今もアーカイヴが戦っている。


真なる星喰いと。


終わりのない戦いを。


幻影は空を見上げる。


「何百回も戦った」


「何百回も負けた」


「何百回も絶望した」


拳が震える。


それでも。


その声には怒りはなかった。


あるのは疲労だけ。


長い長い戦いに疲れ切った英雄の声だった。


「だから分かる」


彼は再びシオンを見る。


「お前が特別だってことも」


シオンの瞳が揺れる。


幻影はゆっくり近付いた。


そして。


目の前で立ち止まる。


二人の蒼い瞳が重なる。


まるで鏡だった。


可能性の違う同一人物。


異なる結末を歩んだ黒星王。


「なあ」


幻影が呟く。


「一つだけ聞かせろ」


シオンは黙って頷く。


幻影は少し迷う。


そして。


小さく笑った。


「なんで諦めない」


その問いに。


ルナリアが目を見開く。


クロノも息を呑む。


それは。


第四百九十九世界の黒星王が最後まで見つけられなかった答えだった。


シオンは少し考えた。


そして。


ゆっくり答える。


「分からない」


幻影が眉をひそめる。


シオンは笑った。


「でも」


その声は穏やかだった。


「諦めたら全部終わるだろ」


静寂。


「怖いよ」


シオンは続ける。


「負けるかもしれない」


「失うかもしれない」


「死ぬかもしれない」


蒼い瞳が真っ直ぐ前を向く。


「でも」


ルナリアを見る。


仲間達を見る。


ゼロを見る。


そして。


目の前の幻影を見る。


「俺には信じてくれる人がいる」


その言葉に。


ルナリアの瞳から涙が零れた。


アリア。


レオニクス。


エリナ。


セレス。


クロノ。


アーカイヴ。


そして。


目の前の第四百九十九世界の黒星王さえも。


全員の想いが今の自分に繋がっている。


だから。


前へ進める。


幻影は黙っていた。


長い沈黙。


そして。


小さく笑った。


本当に小さく。


何百年ぶりかも分からない笑顔だった。


「そうか」


蒼い瞳が細められる。


「それがお前の答えか」


シオンは頷く。


幻影は空を見上げた。


そして。


静かに目を閉じる。


「なら」


その身体が少しずつ光になっていく。


記録だった。


彼は記録だったのだ。


ここに残された可能性の残滓。


第四百九十九回目の黒星王の記憶。


役目を終えた存在。


「後は任せる」


最後にそう言った。


シオンは黙って頷く。


幻影は満足そうに笑う。


そして。


光になって消えていった。


五百回目へ。


最後の希望へ。


未来を託して。


その瞬間だった。


巨大な扉が完全に開く。


眩い光が溢れ出す。


ゼロの表情が変わる。


「来るぞ」


静かな声。


だが。


そこには緊張があった。


シオン達は扉の奥を見る。


そして。


誰もが息を呑んだ。


そこには。


世界誕生以前から存在していた一冊の書物が。


静かに浮かんでいた。


世界の創世記録。


全ての始まり。


星喰い誕生の真実。


そして。


世界を救う最後の答えが記された禁断の書。


その表紙には一つの文字が刻まれていた。


――Genesis。


REBIRTH最大の秘密が。


ついに姿を現した。

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