幕間 グレイス・ド・フォンセ
それからしばらくして、義父である公爵と顔を合わせた私。私に対して和かに対応するこの人が、スタージアを追い出したなんて……と最初は思った。けれども実際スタージアは屋敷をくまなく探してもいない。
それに使用人二人がそう言うのだから、本当に追放したのだろう。正直彼女のことが気がかりではあるのだが……私には公爵の目を掻い潜って、スタージアの動向を調べる力はない。実家であるミュレーズ伯爵家は元々おっとりしている家系なので、諜報に向いていないということもある。
私はスタージアの無事を祈りながら、毎日を過ごしていた。
私の毎日といえば、朝から晩まで家庭教師がついて勉学を教えられているくらいか。
元々ミュレーズ伯爵家で本を大量に読んでいたこともあり、勉強自体はそこまで難しくない。むしろ高校の勉強の方が大変よね、って思うわ。
開いた時間には、日記用に使うから、と言って融通を利かせてもらった白紙の本を開き、読めないように日本語でゲームのことをメモしておくの。
いつ、どこで、何が起きたかを思い出せるだけ詳細に書く。そしてどの攻略対象たちとそれに遭遇するかも。
騎士団長の息子 リック
魔法師団長の息子 クレマン
宰相の息子 モーリス
そして最後に王太子アルバート……。
最初の転機は魔獣が学園に侵入するイベント。
魔獣は確か魔の山と呼ばれるところに暮らしているはずのライオンみたいな黒い魔獣が現れるのよね。その時クレマンがこう言ったの。
『強い魔力を得て我を忘れているみたいだ』
魔の山付近の街で何かが起きたのかもしれない、ってゲームでは言っていたけど……確認できないものね。
よし! 黒ライオンが現れるまでに、私は色々な魔法を学んでおくわよ!




