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ディストピア生活初級入門(第5部まで完結)  作者: 中将
第6章 科学VS呪い

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第84話 曲者

 こうして、僕と為継が話し合っている間に4人の大活躍により、抵抗していた宮司達はあっという間に無力化されていった。


 そして、ハイエナと言わんかのように僕たちの後ろに控えていた特攻局の人たちが手際よくしょっ引いていっている。


 ほとんど抵抗することが出来ずにミノムシのようにグルグル巻きにされて連行されていった……。


「これだけの人員を動員した甲斐がありましたよ~。特攻局に対して実力で対抗しようだなんて罪を重くしていくだけなのに~」


 建山さんは手をパンパンッと叩いて塵を払いながらとても楽しそうに話している。


 これで建山さんの実績となり、出世に繋がっていくのだろう……。


 意味不明な言動ばかりが目立つが、僕たちといることで かなり計算高い……。


「ちょっと、建山さん! 何か締めに入ってるけど、まだ終わってはいないわよ! これから本丸に乗り込むんだから。

 ここで目当ての巻物を手に入れられなきゃ何の意味もないんだから」


「最悪の事態は追いつめられた時に燃やしてしまったり損傷させてしまう事ですからね……」


「事前に地下通路を発見していますので、そこにはすでに人員を配置しています。そこから逃げようものならすでに捕まっているかと」


 建山さんは胸を張った。僕を襲ってきている人と同じとは思えないが本当に優秀なんだな……。


「特攻局がまだ発見できていないルートもあるかもしれないんだから、急ぐに越したことは無いわ」


 玲姉がそう言うと女性陣他3人が頷き、スピーディーに走っていく。

 

 半ば存在感が無く忘れられている僕たちも見失わないように必死に追いかけていく……。


 本殿に入ると、いきなりガタン! という音が鳴ったかと思うと――


「ヒィィィ!!!!」


 いきなり槍が降ってきた! それを平然と玲姉が腕をブンッと振るうと庭の方へ槍は流れていく……。


「どうやら、有事の際には自動的に攻撃してくるようなシステムになっているようね。皆、気を引き締めて」


 玲姉がそういった瞬間に僕の足元からカチッという音がした。


 あっ! と思った瞬間に玲姉が拳を思いっきり床に向かって突き出す。


 すると、銃撃音が鳴ると同時に玲姉の拳から巻き起こった破壊力で床が大きくめくりあがり壁となった。


「ふぅ……言わんこっちゃない……。輝君は私が歩いたところと同じところを歩いてよね。危ないったらありゃしない」


「う、うん……」


 生きた心地がしねぇ……。玲姉と建山さんがいるとは言え流れ弾か何かで死にかねないだろう……。


「お兄ちゃんだけ狙われてるんじゃないの?」


「僕は当たり判定むしろ小さいと思うんだけどな……。まどかがドジしてやらかすイメージなんだがね。さっきもコケて玲姉に救われていたしさぁ」


「むぅ! お兄ちゃんみたいに呑気に喋ってるんじゃなくて実際に戦ってるんだから疲れたんだよ!」


「僕は玲姉が疲れているところを見たことが無いね。


「何をぉ~~~~!!!!」


 言ってしまってからしまったと思ったが、そこで玲姉が僕たちの間にサッと入る。


「あー、はいはい。仲が良いことは素晴らしいことだけどここは”戦場”も同然だからね? 全部終わってからにしようね……」


 その後は恐怖感よりも気まずい雰囲気のまま進んでいった。レーザーや落とし穴に引っかかりかけても淡々とやり過ごしていったのだ……。何かの感情に支配されると他の事は分からなくなるものなんだな……。


 こうして最深部までたどり着いた。神主は何か諦めたような様子でその場に座っていた。


「斎宮神主、今回は本当に今までにないほどの素晴らしいお出迎えを受けて感動しました。

 これからどうなるのかお分かりですよね?」


 玲姉の皮肉が強烈過ぎる……。


「……お手上げです。まさかここまで辿り着かれるとは思いもしませんでした。全面降伏します」


 斎宮神主はヒラヒラと手を挙げた。


 しかし、本当に戦力を喪失したのか? と思えるほど冷静さを失っていなかった。 

 見たところ護衛はいないし、何かしらの仕掛けがあったとしても玲姉であれば何とかしそうなものだった。


 だが、ここに辿り着くまでの間、悲惨な目に遭い続けてきたので疑心暗鬼になっているのだ。


「では特攻局の捜査に従うという方向でよろしいですね?」


 建山さんが一歩二歩近づくと、突然斎宮神主の表情が強気になる!


「おっと! 待ってもらおうか! これは分からないか? お前たちが欲しがっている巻物だ」


 そこで僕たちの方が強張る。巻物の下にはグツグツと不気味な液体がある……。玲姉が強引に取りに行っても巻物が無事かどうかは分からない……。


「私の思考次第、そして意識を外敵によって失った瞬間にこの巻物は消滅する! そのような仕組みになっているのだ! その速度は0.01秒で決まる!」


「何か条件があるようね?」


 玲姉もリスクをとるような行動は取らない。表情は変わらないものの交渉に応じるようだ。


「……私の身の安全と日本宗教連合の存続を要求する! 永久不滅型の念書を書かせてもらおうか!」


 永久不滅型の念書とは一度できてしまえば二度とデータの消滅、改訂などをすることが出来ない。とっておきの契約の時などに使われる。


 やはり、逃げずに待っていたのはこういった”交渉”をして来ようと目論んでいたからなのだ……。


「……それならば、私の方からも条件を出します。大王局長の痣についての情報を知っている限り教えてください」


「えー、玲子さん。勝手に決めないでくださいよ。普段の裁量権は認めますけど逮捕権に関しては流石に私を尊重してもらわないと」


 建山さんが口をすぼめて軽い口調で話しているが眼は怒っていた……。


「このまま迷宮入りになって大王さんから何を言われるか分からない状況の方が問題なのよ。建山さんだってこの作戦に失敗したら科学技術局に何をされるか分からないでしょう?」


 流石玲姉、とんでもない悪を前にしても本質や目的を見失わないのだ。


 チッ! と建山さんが顔を歪めて大きく舌打ちをした。


「――仕方ないですね。私が書類を改竄してでも何とかします。今作りますので、少々お待ちを。ただ、協力されないようでしたらすぐにでも翻しますのでそこのところはわきまえてください」


 建山さんは渋々といった表情で何やら空中を見て作り始めたのが分かる。


「有難い。それならば期限付きかつ一部を暗号化したものをお渡ししましょう」


 斎宮神主は自らの身の安全のために二重にも三重にも保険をかけておくタイプのようだった……。


 このように狡猾さがないと特攻局や科学技術局と渡り合うことは出来ないんだろうな……。


 もっとも僕が知ったところで取引できるような材料すら無いわけなんだがね(笑)。

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