表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/14

第九話「白」

 


 部屋の様子を見て、僕が最初に思ったのは、

 普通の部屋だな。


 ということだった。


 何の変哲もなく、掃除も行き届いていて、清潔感があって、これといって目立ったことなんて無かった。


「驚くことなんて無いじゃん」

 と僕が言った。


「ええ、今はまだなの」


 今はまだなの、と彼女は言う。そのうち、彼女の正体とも言うべき何かが正体を表すのだろう。と、気楽に構えていた。


 そのうち彼女は、僕にコーヒーを入れてくれた。その白い指先がマグカップの持ち手のところをつかんでいる姿を見て、僕は少しだけうっとりしてしまった。


 彼女には、恐ろしく妖しげな雰囲気があるから、僕はいたる仕草に恍惚としてしまう。



「…………苦手じゃなあい?」

 と石峰さんは聞いてくれた。


「いや、コーヒーは好きだよ」

 と僕は答えた。


 彼女は少し微笑んでいた。そうして時計の秒針の音だけが、白い部屋の中へといつまでも響き渡っていた。


 丸いテーブルを挟んで、彼女は僕の目の前に座った。そうして華奢な足を組んで、一緒にコーヒーをすすった。


 彼女の清らかな唇の中に、すらすらと入り混んでいるコーヒーを眺めていた。また恍惚としていた。


 これは、もしかしたら恋心なのかもしれないと思ってみる。

 それも悪くはないはずなのに、どうしても嫌な緊張感が抜けてくれなかった。


「…………あ、そろそろ」

 と、石峰さんは言ったから、今までの沈黙が破られて、僕はハッとした。これから何かが始まるという、えげつない緊張にかられた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ