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第十一話「愛着」

 


 その光景は、僕の心を根底から震撼させるものだった。石峰さんとペルナーという、得体も分からぬ白い女が、この空間で互いを見つめあう様は扇情的に思えた。


「ねえ、ペルナー。今日はお客さんがいるんだよ」

 と石峰さんは言う。


 対してペルナーは何も言わなかった。言葉を発する機能が備わっていないようにも思われた。


 ただ体をウネウネと動かしながら、エロチックに石峰さんを見つめている。白い肌と乱れた黒い髪の毛を僕は呆然としながら見つめていた。


 ふと、ペルナーの髪から、強いバラの花のような匂いが漂ってきて、僕を恍惚状態ともいうべき感覚にさせた。



「ううぁあう、ううぁあう」

 という声にならない音を発しながら、身をくねらせる度に、よりいっそうの強すぎる花の匂いが振り撒かれる。


「うふふ」

 と石峰さんは笑う。


「そんなに興奮しなくていいのよ」

 彼女のたしなめる声を無視して、ペルナーは暴れている。


「ああ。ペルナー、男の子を見るのは初めてなのね」

 と彼女は言う。


「ねえ、倫くん。ペルナーはアナタに興味があるみたい。ちょっと迷惑かけちゃうかも」


 彼女が言うと、ペルナーは四つん這いになって僕のほうにゆっくりと歩み寄ってきた。


 ゆっくり、ゆっくり、こちらへ向かう度に、僕の胸に強いバラの匂いが吸い込まれてだんだん、目眩いを感じはじめてきた。



 やつは、その美しい上目遣いで、目の前に来ると、僕の首筋のところに顔を近付けて、くんくん、と臭いをかぎ始めたのだ!


 その姿はまるで犬のようだと僕は思う。


 僕は固まってしまった。人では無いとはいえ、やつは美しい女性の姿をしている。その事実に僕の体は固まってしまって動けなかった。



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