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ベル・クライフの成り上がり  作者: エイト
ベル~奴隷編~
21/24

戦いと友達

俺たちはこの後の作戦を立てる。


「さて、どうやってクルルを助け出すかだな。」


「そうだね。

とりあえずここから出て主様のところまで行かないといけないからね。」


「さっきちらっと耳にしたんだが、あいつはこの鉱山の近くの村に別荘を立てて 過ごしているらしいぞ。」


バジルが非常に役立つ情報をくれる。


「それがわかっているならあとはそこに乗り込むだけだな。」


「おいおい。その前にここからどうやって抜け出すかが問題だろ。」


「ああ、バジルには言ってなかったね。」


アレンはいきなり牢屋の壁めがけてこぶしを叩きつけた。

すると壁のレンガがいくつか抜け落ち、そこには外につながっている穴が出現した。

バジルの目が点になっている。


「僕たちが牢屋によく行っていたのはこの穴を作るためだったんだよ。ほんとはこんなことに使うためじゃなかったんだけどね。」


「つまりお前らがいつも看守どもにケンカを売っていたのはこのためか。やるじゃねーか。見直したぜ、ベル!」


バジルに褒められてもうれしくない。

それよりも早くいかないとクルルが酷い目にあいそうだ。


「アレン、バジル、さっさと行こう。クルルが心配だ。」


2人も同じことを考えていたのかすぐにうなずき返してくれた。




外に出るとあたり一面真っ暗だった。

これだと今どこにいるかわからないな。

一回高いとこに上ってみるか。

2人を引き連れて採掘場の高台まで走っていく。

高台には見張りが三人いた。こんなところでいきなり襲われるなんて考えていないようで油断しきっている。

俺たちは目で合図しながら見張りたちの後ろに行き音を立てずに始末する。

高台から見下ろすと一部光が集まっているところが近くにあった。

どうやらあれがバジルの言っていた村のようだな。


「ベル、これを持っとけ。」


バジルが俺に剣を渡してくる。

さっき倒した見張りが持っていたものだ。

こういうところがしっかりしているあたり、こいつは戦いなれているな。


「よし、二人とも聞いてくれ。恐らくあの光の見えるところが近くの村だろう。ここからは極力人目につかない道を通りながらいくぞ。」


2人がうなずいたのを確認してから村に向かって走り出した。




村についた。

採掘場近くの村というだけあって小さな家がぽつぽつと建っている程度だった。

しかしその中に異様に大きな館がある。

恐らくあれが主の家なんだろう。

三人は警戒しながらその館に近づく。

どうやら見張りはいないようだ。

手分けをして一通り館の周りを観察してみたが入れそうなところは正面のドアしかなかった。仕方なく正面のドアから侵入することにした。


ドアを開けて中に入るとその中は真っ暗だった。

三人で固まって一歩一歩確かめながら進む。10メートルほど来たところで急に灯りが付いた。

いきなりの光に目がくらむ。そして俺たちの立っていた床がいきなり開いた。

くそっ。罠か!。

なすすべもなく落ちていく俺たち。


だいたい20メートルほど落ちた所で地面が見え始めた。

このままだとぶつかって死ぬ。

すぐに剣をさやから抜き近くの壁に突き刺した。あとの二人もわずかながら時間差はあるもののすぐに俺と同じ行動をとった。

剣と壁がこすれて嫌な音がする。

なんとか地面にぶつかる直前で落下速度を落とすことに成功した。

しかし剣も刃こぼれを起こし、使える状態ではなくなった。


パチパチパチパチ


いきなり拍手の音が聞こえた。

そっちの方を見ると主であるメイビルが5メートルくらい上の位置から微笑みながら拍手をしていた。ここでようやく落ち着いて周りの状況を確認する。正面には大きな檻があり、俺たちの周りをレンガの壁が円形に囲んでいる。


「闘技場みたいなところだな。」


アレンが独り言のようにぼそっと言っている。

再び視線をメイビルに向けると俺はあることに気付いた。

メイビルの隣にはクルルが縄で縛られ、口に布を入れられた状態でこっちに何か必死で話そうとしていた。


「助けに来たぞ、クルル!」


俺はクルルに聞こえるように声を張り上げて言った。

そんな俺を見てメイビルが話しかけてくる。


「よく来たわね。ベル君にアレン君。おまけとして小汚いのもいるみたいだけど歓迎するわよ。」


「僕たちはあまり来たくなかったけどね。」


アレンが言い返す。


「そんなこと言っちゃだめよ。もっと人生楽しまなきゃ。たとえどんな状況でもね。」


どうやってクルルのとこまで行くかな。

さすがにあの高さだとジャンプしても届かないしなぁ。

何か方法はないか。どうにかしてあそこまでいく方法が・・・。


「くっくっくっくっく。ベル君、あなた今どうにかしてここに来られないか考えていたでしょう?顔にはっきりと出ていたわよ。気をつけなさいね。」


そんなに簡単にばれているとは考えていなかったのでつい驚いてしまう。


「そんなにこの子を助けたいのね。嫉妬しちゃうわ。そうね~、じゃあ今から私のかわいいペットちゃんに勝てたらこの子を返してあげるわよ。まぁ元からそのつもりだったけどね。」


俺たちは全員怪訝そうな顔になる。


「そんなに警戒しなくても約束は守るわよ。まぁあなたたちが勝つってことがそもそもあり得ないのだけどね。さぁ出ていらっしゃい。私のかわいいペットちゃんたち!」


メイビルがそう叫ぶと目の前にあった檻がいきなり開いた。

中から出てきたのは体長2メートルくらいで大きな牙をもったライオンだった。


「この子はサーベルタイガーっていうの。かわいいでしょ。さぁタイガーちゃん全員食べてしまいなさい。あっ、でも、少しは抵抗してね。じゃないとわたしが楽しめないでしょ。」


メイビルの言葉を合図にサーベルタイガーが突進してくる。

三人は左右によける。するとサーベルタイガーは一人になったアレンを攻撃し始める。

アレンはボロボロになった剣で何とかうまく捌いている。


「バジル、今に内に後ろから切りかかるぞ。」


「おう。」


2人で無防備になっている背後へ攻撃を仕掛ける。

しかしその巨体に似合わない動きで俺とバジルの攻撃をかわすと後ろ足で蹴りつける。

2人ともレンガの壁に当たる。

壁が壊れるがその奥から鉄のようなものが見える。

腹と背中の痛みから意識を失いそうになるがクルルのことを思い出し立ち上がる。

その間アレンは一人でサーベルタイガーの相手をしていた。

あいつ本とはあんなに強かったんだな。

こんな状況なのにそんなことを考えてしまう。


少し痛みが引いたように感じたのですぐアレンに助太刀する。


「アレン、悪いがこいつの攻撃をひきつけておいてくれ。俺が隙を見て攻撃する。」


「わかったよ。でもあと持っても一分くらいだからできるだけ早めに頼む。」


「任せろ。」


ケルベロスに攻撃を加えながら様子を観察する。

するとあることに気付いた。

それはサーベルタイガーが前足で薙ぎ払うように攻撃してきたとき、その後に少しばかり動きが止まることだ。

俺はその隙を狙うためサーベルタイガーへの攻撃に備えた。

アレンが器用に攻撃を捌く

噛みついてきたら紙一重で躱し、足での攻撃は剣で軌道を変える。

ただ剣にひびが入り始めそろそろ壊れそうになっている。

ケルベロスが腕を振り下ろし攻撃してくる。

アレンは横に剣を構えその候が気を捌いた。

その瞬間、バキッという音が響いた。

アレンの剣がついに折れてしまった

まずい。俺はアレンに向かって駆け出していく。

サーベルタイガーが噛みつこうとしているのが横目でみえる。

俺はアレンを押し倒し、なんとかサーベルタイガーの攻撃をかわす。

しかし、体を起こした時すでに目の前にはサーベルタイガーがいて、次の攻撃に移る最中だった。

俺は死を意識した。そして巻き込んでしまった二人に心の中で謝っていた。サーベルタイガーが腕を振り下ろしてくる。


「てめぇ、くらいやがれ。」


そんな声が響いた。


「グオオオオオオオオオ。」


サーベルタイガーが悲鳴を上げる。

声がした方を見るとバジルが背中に剣を突き刺していた。

サーベルタイガーは怒りで標的を俺たちからバジルに変える。

バジルめがけて走っていくサーベルタイガー。

俺はそれを阻止するため後を追う。

サーベルタイガーはバジルの前まで行くと腕を振り上げ横から薙ぎ払った。

ふっとんで行くバジル。

俺は一瞬止まりかけたがバジルが作ってくれた唯一の機会をものにするためサーベルタイガーに突撃した。

振り払った直後に一瞬止まったサーベルタイガーの目をめがけて剣を突き刺す。


「グオオオオオ」


悲鳴を上げるサーベルタイガー。

目を切られた死角となった方からサーベルタイガーを殴りつける。

毎日鍛えていたかいがあってダメージを与えることができた。

目と背中に剣を突き刺され、殴り飛ばされたサーベルタイガーはもう戦う意思がないと言うように立ち上がってこなかった。


「やったね、ベル。」


振り返るとバジルに肩を貸した状態でアレンが話しかけてきていた。

どうやらバジルの傷はそんなに重くはないらしい。


パチパチパチ


また拍手の音が聞こえる。

それはメイビルから発せられたものだった。


「いやー楽しませてもらったよ。実に面白かった。さすがはベル君といったところかな。」


「おい、前から気になっていたんだがなんでお前は俺のことを知っているんだ。今日会ったばかりだろ。」


「君を買うときにいろいろと教えてもらったからに決まってるじゃなーい。それと口の利き方には注意しましょうね。」

メイビルが俺に指をさすと奴隷の紋章が発動しだした。


「ぐあああああああ」


「楽しませてもらったから気絶しない程度にしておいてあげたわよ。感謝しなさい。」


俺が苦しんでいるのを見たアレンがメイビルをにらみつけて言い返す。


「僕たちが勝ったのだから早くその子を返してください。」


「あせっちゃだめよ。言ってなかったかしら。まだ私のペットちゃんは他にもいるのよ。」


「な・・・だって・・・」


「あら。誰も1体しかいないなんて言ってないわよ。勝手に勘違いしたのはそっちでしょ。残念だったわね。まぁ次の子は私の一番のお気に入りにしてあげるわ。」


俺の体の痛みがだんだん弱くなっていく。


「ベル君の呪文は解除しといたわよ。そんな弱り切ったあなたたちを倒しても面白くないからね。あとこれも上げるわ。」


メイビルは俺たちに新品の剣を放り投げる。

俺は立ち上がってメルビンをにらみつける。

メルビンは笑いながら、クルルの口の布を取り出す。


「あなたも何か言いたいことがあるなら言っておきなさい。どうせ今日でお別れなのだからね。くっくっくっくっく。」


クルルが涙を流しながらこっちを見ている。


「どうして・・・どうして来たんですか。ベルさん。」


「助けに来るのは当たり前だろ。俺たち友達なんだから。」


「でも・・・でも・・・綿が勝手に付きまとっていただけじゃないですか。それなのにどうして・・・。」


「だからそんなこと関係ないって。友達になりましょうって言いわれて俺はいいですよと言った。だったらそこから俺たちは友達だろ。友達だから助ける。ただそれだけだ。まぁあとしいていえばクルルがかわいいからかな。」


俺がそう言うと後ろに立っている二人もそうだそうだとうなずいている。

クルルはそんな俺たちを見てさらに涙をこぼした。


「そろそろ話は纏まりましたかね。さっさと始めたいんですけど。」


メイビルが水を差すように言ってくる。


「さっさとはじめよーぜ。俺たちは負けないけどな。」


「いいでしょう。どこまで持つかしっかり見させてもらいましょう。」


その言葉と同時に再び檻が開いた。


檻の中から一匹の熊が出てくる。

目は赤く体にも赤い模様がついている。


「あれはレッドベア。あんなのまで用意していたのか!」


アレンがそう叫ぶ。


「レッド・・・ベア・・・。」


俺はその姿が見えた瞬間から頭に強烈な痛みを感じた。


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