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種族編1:人族・獣人族・ドワーフ族

 この世界『リヴァン』には多くの種族が存在している。

 例えば人族、これは私達と同じ地球の人間に最も近しい姿をしている。

 人口は最も多く、私は幾つかの種族間の平等を重んじる国を巡って調査したところ、全体の六割は人族が占めていた。


 もちろん、それらの異種族が平等に暮らせる国で六割ということは、全体を見れば人族の割合は更に増すのだろう。しかし、その過程でとても重大であり、当然のことに気付いてしまった。


『種族の括りってどこまでなのだろう』という疑問。


 かつては大陸の形が異なっていたとされており、各々の種族は異なる土地で暮らしていたが、現在は多くの地域で交流している。


 後述するがエルフ族や竜人族など、他種族に対して排他的な存在もいるが、基本的に異なる種族が交わることは多く、そうなると、『外見は人族だが、身体の一部や体質、能力は異なる種族の特徴を有している』という時例は比例して多くなるということだ。

 国や肌の色はどうであれ『人間』となるが、あまりにも懸け離れた特徴は同種族とするには無理がある。


 地球に置き換えても、百メートルを十五秒で走る者と最速九秒台で走る者は同じ人間と認知されるが、一、二秒で駆け抜ける者がいたら、その姿はどうあれ、別の生物として畏怖されるだろう。

 それは差別ではなく、区別だ。

 つまり、それだけの違いが各々の種族に存在しているという話になる。

 故に種族というのは、純潔かどうかは別として、外見や能力上、その種族の血が濃いという意味合いで捉えて欲しい。


 【人族】


 寿命は八十歳程度だと考えられる。

 読者のいた世界や過ごした国の治安にもよるだろうが、このリヴァンは死というものが身近であるため、あくまでも『平穏な生を享受できた場合』と考えて欲しい。


 全人族の平均寿命を計算したのなら、上記の数字から確実に二十は下回るだろう。

 ちなみに種族に限らず、寿命という概念を超越してる存在は省いている。

 魔力の影響で長寿になる場合もあるが、人族という種族の限界としては、二百歳ほどだろう。


 男女の平均身長は一八○センチメートル。


 地球とは異なり、男性よりも女性の方が小さいというわけではない。

 肌の色は地域によって異なるが基本的には白色に近く(黄色人種と白人の間を取ったような印象を受ける)、髪の色は茶褐色や金色、瞳の色は青みがかっている者の割合が多い。


 他種族も同様だが、魔力と呼ばれる未知の力を使い、身体能力を向上させる技術『魔装』や魔法を使うことができる。


 この魔力やその元となる魔素については別の項で説明するが、正直なところ、地球の知識が役に立たないことが多過ぎるとだけ記しておく。

 ちなみに人間と比べて肌が柔らかく、内側に薄い綿が敷き詰められているような感触がする。

 それが魔力を扱う上での体質なのかについての推察も別で語ろう。


 【獣人族】


 寿命は人族と同じく約八十歳。

 平均身長も同じ一八○センチメートル。


 外見は動物、主にイヌ科やネコ科に似た尾と耳のついた人族といった様相だが、祖先は二足歩行する獣の姿をしていたようだ。

 約九千二百年前から存在するとされているライデル遺跡には、各種族の特徴が描かれた膨大な絵画が刻まれているが、その全てが獣の姿をしている。


 特徴を分かりやすくするために描かれた可能性も存在するが、他の遺跡はもちろんのこと、稀に『先祖帰り』と呼ばれる形で誕生することがあるそうだ。

 しかし、とても辛く悲しいことではあるが、如何に先祖が獣寄りの人であったとしても、今現在は『異形』となるため、生まれてすぐに手に掛けられてしまうことの方が多い。


 非情にも思えるが、人間に置き換えるとするのであれば、祖先とされる生物の姿にあまりにも近い赤子が生まれた場合、幾ら自分の子供とはいえ、受け入れられる者は稀有だろう。

 もちろん、人間にしても獣人にしても、あまりにも苦行となるその後の人生を慮って……という気持ちを持つ者も少なくはないのだろうが。


 さてと、陰鬱な気分になってしまったが、話を戻そう。

 獣人族は友好的な者が多く、良く言えば純粋、悪く言えば単純な種族だ。

 個人の感性もよるだろうが、彼らの馴れ馴れしい応対を嫌う者は苦手とするだろう。

 そして、注目すべきはその身体。これがとても興味深いが、両足に謎の筋繊維が存在している。


 怪我を負った獣人族の脚部を治療する際、無料で行うという交渉して見せてもらったところ、基本は人族に近いものの、筋肉の外側に黄色の繊維らしきものが存在していた。

 試しに魔力を流してみたところ、ある程度の魔力量を超えた際、その筋繊維がまるで軸となる筋肉に巻きつくような形となり、脚部が急激に発達した。


 まさしく魔法だ。

 というよりも、地球で言うところのロボットの変形の様で、忘れかけていた少年としての心が熱くなった。


「んぎゃらわらあああああ!!!!」


 やはり、深手を負った状態で無理に魔力を流すのは無理があったようだ。

 青年はこれからの長い人生においても、二度と耳にすることはなさそうな絶叫をあげながら一時的に意識を失ったが、本来であれば大金の掛かる怪我を無料で治療したのだから、そこは許して欲しいところだ。


 とにもかくにも、彼らの異常な身体能力、特に脚部の強靭さは、あの謎の筋繊維によるものなのだろう。

 ただし、腕を怪我した獣人族を複数確認したが、これといって目立った特徴はないため、元々脚部に存在しないものなのか、それとも血が混ざり合う過程で失われたのかは不明のままだ。


 チートスキルといっても調査に限度はあるが、また何らかの情報を得た時は更新する。

 この世界は常識では測れないのだから。


 【ドワーフ族】


 寿命は約二百歳。

 平均身長は他種族の中でも異質であり、男性は一五○センチメートルだが、女性は一六○センチメートルと女性の方が大きい。


 これは分かりやすく骨格の差だろう。

 地球においても男女の骨格は異なっているが(国によっては同じ性別でも異なる)、その差が極端に激しい。

 ドワーフ族の男性は広く頑丈な骨を持ち、女性は人族に近い。

 地球においてドワーフは『背の低い人間』という意味だが、リヴァンでは『洞窟の住人』を表す『ドゥワル・フル』が語源となっている。


 このドゥワル・フルの男性は天然の洞穴や手掘りした穴を利用し、鉱石類の発掘、鍛冶や道具の製作を行っていたため、このような骨格になったのだろう。

 女性は周囲の草木などの材料で、日用生活品や工芸品を製作していたため、それほど変化する必要はなかったのだろう。


 そして、何よりも大きな要因の一つは魔法を不得手という点である。

 これまた違う項で説明することになるが、ドワーフの体質は魔法の扱いには適していないため、洞窟を掘り進めるにしても、中で生活するにしても、適した骨格になる必要があったのだろうことは想像に難くない。


 もちろん、現在は血が混ざり合い、魔法を得意とするドワーフも増えつつあるが、本能というべきなのか、魔法を使うことよりも、肉体を重視しての作業や狭い場所での生活を好むため、この骨格はそのまま続いて行く可能性もあるだろう。

 現に魔法を得意とするドワーフ族の男性はこう語っていた。


「魔装はともかく、魔法を使うのは……何か違うんだよなぁ。こう、何というか『おらぁぁぁ!!』が無いんだよなぁ。俺は肉体を動かしている!! この疲労感!! 生きている!! という気持ちが制作意欲や発想を生むんだよ。知らんけど」


 地球に置き換えると、車を用いて移動した方が楽なのは分かっているが、自分の肉体も動かしたいが徒歩だと現実的に時間が掛かりすぎる。

 だからこその自転車という人間も少なくはないため、彼らの血筋がそういうものなのだろうと納得して欲しい。


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