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第六話 Sランクとの駆け引き

とてつもない威圧感を放つ扉の前で俺が立ちすくんでいると


「どうぞ~、入ってください♪」


現れたのは第六位『ティアナ・フォークランド』

エレナを絞めた時のような殺気は無く、ほんわかとした雰囲気に戻っていた。


重い腰を上げゆっくりと扉の取っ手を握る


「失礼します」


―中はというと


まず目に入るのは人間の身長よりも大きな窓ガラス…そこからはこの学院の豪勢な建物が一望できる。

そして縦に長い長い机。その横には4つずつ椅子が並べられている。

さっき俺が座らされた…座ってない感覚がするあの『椅子』だ。

椅子が均等に並べられているこの長机、今にも敵幹部が集まって策略を巡らせそうなそんな雰囲気だぜ。

床にはワインレッド色の絨毯がひかれ、天井にはどデカいシャンデリア。

四隅には、聖騎士の甲冑や、地図、書籍などのアンティーク物が置かれている。


…ゴクリ。

これがSランク!!これが生徒会!!


そして長机の一端

あの氷の女帝、生徒会長であり第二位の『レイナ・クリスティア』がそこに座っていた。


「ここにお掛けください」


提示された場所は会長サマと一対一で見つめ合う事になる椅子の場所

そして俺の斜め後ろにティアナは立つ。


―逃げ場無し

これから恐ろしい事が始まる…

俺は心底此処に来たことを後悔した。


重い沈黙の中、自分の心臓の鼓動がこのだだっ広い空間に漏れてないか気にしていた時、レイナが口を開く。


「単刀直入に聞きます。あなたの魔法一体何なんですか?」


おっとぉ…

一番触れられたくない事を一番最初に触れられてしまった。


「エレナちゃんとの試合、実はこっそり見ていました。」


エレナちゃん…『ちゃん』付け?


(いや引っかかるのはそこじゃあねぇだろ!!)


あの決闘…見られていたのか!!


続けてレイナはペラペラと語りだす。


「オルグ教官からの報告では無属性魔法の『身体強化魔法』を使えると聞いています。

その強化魔法の応用で自身の筋力を瞬時に引き上げ瞬間移動のような動きを可能にしていると。」


「つまりあの時、君は魔法を使い近くの水を持ってきて、エレナちゃんに浴びせた。」

「そして今日の魔法演習ではシンプルな身体強化魔法を使い石を投げ飛ばした」


「…私にはそうは見えませんでした。特にエレナちゃんとの戦闘。

どこからともなく水が発生したように私は見えました。まさか魔法で発生させたとか?」

「石もそうです。あなたが投げ飛ばしたあの『石』少し動きが変でした。」


「あなたは複数属性の魔法を操れるのですか?」

「そう考えるとあなたは『無』『水』『土』三つの属性を操れることになります。」


「属性を何個も操れる人ってそうそう居ません。私が知る限りでも数える程です。」


マジかよ…

生徒会長クラス…でも見た事が少ない『全属性魔法』。

そんなレアなのかよッ!!


まぁいいやとにかく言い訳をしねぇと


「会長様はきっと疲れてるんですよぉ!

水の発生に違和感を感じたり、石がちょろっと変な軌道をしたのも目の錯覚。

確かめようもありませんし、思い込みで決めつけるのも危険です。

間違ってたらそれこそ会長の名に傷がついちゃいますよね?」


「今日はお疲れの様ですし、今からぐっすりとお休みになさってください」


全身に汗をかきながらも身振り手振りでなんとか会長を説得する。


「俺は邪魔になりそうなんでこの場で失礼致しますよっと」


立ち去ろうと椅子に手を賭けた瞬間


「コホンッ」


レイナがせき込む


‥‥嫌な予感。


「そうですか。あなたが出した結論はそうなのですね」


そういってレイナはおのずと立ち上がると、『魔法具』を取り出した。


「こちらは『射影魔道具』です」


(しゃ、射影魔道具ぅ~!?)


噂には聞いていたが本当に存在したのか…!!

俺の田舎でこんなもの見た事無い!!

王族でも一握りの人物しか所有していないと聞いていたがこんな所にぃ~!?


この学園の名は『神聖アルストテリア王立学院』

…『王立』

―ハッ!!

そういう事か


「それではこちらをご覧ください。」


カチッ


ティアナは無慈悲にも淡々と魔道具を起動させた。


ガー


画面に映し出されるのは、先日の俺とエレナの闘技場での一戦。

その一部始終がはっきりと魔道具に記録されていた。


「ここです。」

「ここ完全に無から、この場に水が現れてませんか?」

「さらにココも。石だけじゃなくアナタが立っていた位置も微妙に変わっていますよ。」


俺の一挙手一投足が完ッ全ッに見られている!!

これじゃあ言い訳の余地がねぇよ!!


「瞬間移動の魔法で他の物体を触れずに飛ばす、となると何か魔法陣を仕掛けておいたのですか?」


この人、さっきから薄々感じていたが、きっとアレだ。

『魔法オタク』だ!!


後、魔道具があるんじゃあ小手先の言い訳や作戦で逃げ切るのは不可能だな…


「えーと、そうですねぇ…実は瞬間移動というよりは超高速移動をしていましてぇ

傍から見ると瞬間移動をして見えるんですがよく観察すると細かな所にズレが生じてるんですよぉ」


「はぁ…。超高速移動なのでしたら、水を運ぶ時にこぼれませんか?」


「…そもそも」


「あの場所の近くに水はありませんよ。」


(ッ!!)


詰んだ。終わりだ。


「アナタ、先程から理由を付けてはぐらかしていますが、結局どんな魔法なのですか?

私に教えてくれるだけで良いのです。」


レイナはもはや生徒会長としてよりも、魔法オタクとしての自分の知的好奇心を満たそうとしているように見えた。


「レイナ、落ち着いt

「ティアナは黙っててください」


ティアナの言葉を遮り、俺に迫るレイナ


――この俺『ジョウ・ブラッディ』

実はこの状況下の中、恐怖とは別の『ある感情』が浮かんでいる。


そう、それは…『怒り』だ!!


俺を椅子に縛り付け、奴らが欲しい言葉を吐くまで解放されない。


生徒会連中が、権力を振りかざし、弱者を蹂躙する。


まさに今の状況はこの学院の縮図なのだ。


…きっとあの狂犬(エレナ)ならこの状況でもコイツらに中指を突き立てるだろうよ。


(エレナ、お前はクソ野郎だが今だけはテメェの『勇気』を借りるぜ…)


そして深く息を吸い込み、スッと立ち上がり

奴らを指さす。


ビシィ!!


「生徒会長様。そんなに俺の事が気になるのなら、特別に見せてあげますよ俺の”能力《チカラ》”。

その身でじっくりと分析してみてくださいッ!!」


ジョウもまさかのSランクに堂々宣言…!!

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