第十一話 城下町に行こう!!
そんなこんなでSランクのお披露目も終わり、寮へと戻る廊下を歩いていると
「どわっ!?」
俺は何かにぶつかった。
ふらつく足を支え、視点を正面に移すと
そこには怒りを抑えながら唸っているエレナの姿があった。
「あ、お前
そういやセレモニーで見かけなかったんだが、何処で何してやがったんだ?」
俺の問いにギロリと睨みつけながらエレナは答えた。
「チッ…Sランクとかいうご馳走のフルコースが集まる場所が在るって聞いたからすっ飛んで行こうとしたら、またあの筋肉バカに捕まって地下に拘束されていたのよ。」
なるほどな教官。
確かにコイツをSランク、
それもあの勢揃いの場に出すと、どう暴走するか分かったもんじゃあねぇからな。
さすがの判断力だ。
「あの『筋肉だるま』。次会ったら脳天かち割ってやるわ!!」
恐ろしすぎる事を口走りずかずか歩いていくエレナを横目に、俺はこれ以上刺激しない様
寮へと戻った。
それにしても、今日は休日。
惰眠を貪る予定だったが、思いもよらぬ祭典によって予定が崩れてしまったな。
どうしようか、ベッド(藁)で二度寝するつもりで寝転がっていると
ドアが開いた。
眩しさで目を細めると
遅れてやって来たアレンが親指でクイッと後ろを指しながら外出ろよと言いたげにポーズする。
「おい!ジョウ!!
お前そういや田舎から出てきたばっかだったよな!?
せっかくだから、城下町案内してやるよ!!
遊び行こうぜ!!」
(まったく、コイツは…)
でも、悪くない提案だ。
俺だって、故郷の片田舎から竜車で十日もかけてこの王都にやってきたんだが、
入学の手続きやらなんやらで、全然王都を観光できなかったしな。
ここは、一つ羽目を外すとするか!
「おう!上手い飯屋教えてくれよッ!!」
そうして、俺とアレンは、ユーラス大陸の中でも一番栄えていると言われている
国家『フィルメリア王国』の首都の観光に勤しむことになったのだ。
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王立学院は首都ロンドの中心に位置する。
俺は王都に入ってから学院までほぼ寄り道無しで来たから、学院の周りに何があるかすらよく知らねぇんだよなぁ…
この王都に入ってから思ったが、やっぱ田舎では見た事無いモノばっかで見るものすべてが衝撃的だ。
やっぱり王都と片田舎じゃあ文明レベルが一つか二つ外れてるぜ。
俺が田舎者よろしく、周囲をキョロキョロ見渡しながら歩いていると
その様子に気付いたのか、アレンが茶々を入れてくる。
「その田舎仕草たまらないねぇ!俺も此処に始めてきた時はそんな感じだったぜ。」
続けて歩きながら王都の説明をしだした。
「ロンドの中央には他に、王城や騎士団の庁舎、王立図書館や教会、魔導院なんかがあるんだが、正直お堅いエリアで面白くないぜッ!
騎士団の連中もうろちょろしてるしな。
そのおかげで治安こそ良いが、下手に騒げないし逆に言えばイベントも起こらないって事だ。」
「何だ。俺は面倒事には巻き込まれたくはないんだが」
「ハハッ!!ジョウそりゃあ王都の楽しみ方ってのが分かってないって話だぜ。
俺のオススメはやはりハッピーストリートだな。」
何だ…その明らかに怪しい名前の場所は…
「その場所に行った奴は帰る頃には誰だって笑顔になってるってのが名前の由来だ。
良い意味でも悪い意味でもな…」
何やら含みを持たせた言い方で、アレンは不敵に微笑んだ。
もしかしてコイツを案内人に頼んだのは間違いだったんじゃあないか?
今更後悔してももう遅いか…
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王都の南を流れる大きな川に架かる黒い橋を渡って少し進む。
どうやらそこが俗にいうハッピーストリートらしい。
特段、他の場所と変わった所は無いが、思い込みの影響なのか不気味に感じる。
「しっかし、王都ってのは人が多いな。」
歩くだけで誰かと肩がぶつかりそうになるほど、人口密度が高い。
主要エリアで無いこの場所ですらだ。
「なぁ、ジョウ。腹減ってるだろ。
この場所の雰囲気の紹介がてらまずは、飯屋に行くぞ!!」
ハッピーストリートのその通り、大きな一本道の横には様々な店が乱立していた。
その一つ『ブラック・アップル』と書かれた看板を掲げる飯屋に俺達は入る事にした。
だがここで一つ重要な事に気付く。
「そういや、アレン。
俺手持ち無いぜ?そんな外食を食える程の銭は持ち合わせていないんだが…」
アレンはそんな事予測済みとも言わんばかりにニヤリと笑い、
「問題無ェよ。ここはハッピーストリートだぜ?
一文無しでも笑顔にするのがモットーだ。」
意味の分からない事を言いながら、アレンは扉の取っ手に手をかけた。




