第24話 プラチナスライムを追え①
「クルアァァァ!!」
ズドォォォォンン
「キュピー!?」
静かな森に爆音が轟き、土煙が辺り一面を覆い隠す。その土煙から初めに出てきた白金色に輝く一匹のスライムは爆心地から目にも留まらぬ速さで森の木々の間をすり抜け逃げて行く。それを追うように体長50cm程の産毛に覆われた白い幼龍が姿を現し、その体に見合わぬステータスを持って木々を粉砕していく。
◆◆◆☆☆☆◆◆◆
~30分前~
「やっと着いたー!」
僕たちは最後の隠し部屋を超えた後、今までの四倍の距離を誇る階段にもめげずに突破し、漸く第11階層へと到達した。
「あのフロアの数と階段の長さには悪意を感じます。・・・主様!大賢者とやらに会ったら一発だけで良いので殴る許可を!!」
《椿お姉様、落ち着いてください。流石に大賢者が可哀そうですし、今の椿お姉様では手も足も得ませんよ。》
まあ、確かに可哀そうだ。みんなを守る為に攻略を阻止しようとしてるんだから、心配される謂れはあっても殴られる謂れは何処にもないよね。
「むっ、そんなことは分かっている!」
分かっているならあんな発言はしないだろう、と思わなくもないがそれは口に出さずにおいた。
「椿、少し落ち着いて。サナ、この階層を全部マッピングできた?」
《この階層の全域をマッピングすることはできませんでしたが、8割方終了しております。》
「ほう、この階層に入った段階で既にそこまでマッピングできているとは・・・流石は主様のスキルですね!」
僕が使っているからじゃないんだよ?僕以外でも僕とスキルレベルが同じなら普通に同じことが誰にでもできるから。
《それは私も同感です!》
「サナは同感しちゃ駄目でしょ!!?」
この世界においては全知に等しいサナが変なことを言ったのでついついツッコミを入れてしまった。
《えぇー、いいじゃないですか!マスターはこの世で一番偉大なお方なんですよ!?》
断じて偉大なではありません!!但し、毎度のことながらこんなことを言うと面倒後となるのは目に見えているので何も僕は言わない。
「はい、はい、・・・・ん?何だあれ?」
僕が適当にサナのことを受け流していると一瞬視界の端に白金色に輝く何かが入った。慌ててその何かを目で追い鑑定をかける。
名前:―
種族:プラチナスライム
年齢:0
性別:―
Lv:1
HP:1000000000000/1000000000000
MP:10000/10000
STR:999
VIT:9999999
INT:999
MND:9999999
DEX:999
AGI:99999999
通常スキル:『隠密』Lv9『逃走』Lv7『吸収』Lv9『分裂』Lv10『増殖』Lv1
パッシブスキル:『物理耐性:極』Lv3『魔法耐性:極』Lv1『直感』Lv6『自動再生』Lv10『再生速度超上昇』Lv10『再生効果上昇』Lv10『HP自動回復』Lv10『回復速度上昇』Lv10『回復効果上昇』Lv10
ユニークスキル:『時空圧縮』Lv5『異常状態無効』Lv-『即死無効』Lv-『瞬時再生』Lv3『万物消化』Lv8
称号:『無理げーの極み』『理不尽の化身』『最高に見える最低』『悪意の権化』『最悪の詐欺種族』『バグスライム』
プラチナスライム:白金色に輝く超レアスライム。核の大きさは0.2pmというスライム界最小を誇る。このスライムの最大の特徴を上げるならば倒すと超越神ですらレベルアップすると言われている経験値量を持ちながらステータスは最も高いAGIですら神域に到達していないという点であろう。これだけ聞けば経験値が旨い素晴らしいスライムだが、このスライムを実質倒すことが出来るのは超越神クラスの力がなければ不可能である。
理由として大きいことが三つあり、一つ目は『時空圧縮』スキルによって時空を圧縮することで自らの体を小さくしているだけで、実際は世界が最低でも2、3個入ると言われている程体が大きいこと。二つ目はその体を再生させる速度が最高神クラスが与えられるダメージ量を超えていることである。最後の三つ目の理由はその核の小ささだ。これらの理由から不死と言っても過言ではないこのスライムについたあだ名は『無理げーの極み』『理不尽の化身』『最高に見える最低』『悪意の権化』『最悪の詐欺種族』『バグスライム』などである。
このスライムに挑戦するのは一部のチート神(超越神クラス)を除き不毛な行為そのものであり、時間の無駄である。そんなことをするくらいなら、『カイザースライム』でも『ゴットスライム』でも狩りに行った方がマシであると言える。
何このメタルスラムの超上位互換的な存在なのに殺害不可能なスライムは!?もはや、単なるチートの中のチートどもだけしか美味しくないじゃないか!!
《マスター?そちらの方を向いてどうな・・・さ・・・・れ・・・・・えええええええぇぇぇぇ!?なっ、何故あのようなレアスライムが!!?・・・ハッ!これはチャンスですよマスター!!あのプラチナスライムをテイムしましょう!!!》
「サナ、頭大丈夫?」
「うむ、主様の言う通りだ。あのスライムはどう考えても只のスライムではなかろう。・・・サナ、ついに壊れたか。」
僕も椿もサナに対して憐みの声をかけた。
《ひ、酷いです!マスターに椿お姉様も!!私が勝算もなくそんなこと言うわけがないじゃないですか!?》
あれをテイムできる勝算があるのか・・・・駄目だ全く思いつかない。
「で、その勝算は?相手には超再生能力があるし、AGIでも圧倒的に負けてるんだけど?」
《はい、まずはステータスポイントを全てAGIに振ってください。1ポイントにつき10ステータスが上昇するので少しは足しになるはずです。それと『重力魔法』『瞬間移動』『加速』『付与術』『魔法威力上昇』『MP自動回復』『身体強化』『身体能力上昇』『気功』スキルを取得しますがよろしいでしょうか?》
「いいよ。それと身体強化の魔法と『身体強化』スキルの違いが判らないんだけど?」
《そうですね、簡単に言うと安定している方がスキルで不安定なのが魔法といったところでしょう。但し、スキルは安定して出力を維持できる代わりに力の調節ができません。対して魔法は魔力量によって出力が変わりますがその分力の調整ができます。》
「へぇー。そういえば、僕がプラチナスライムを追いかけている間、椿はどうするの?」
「私は主様の影の中に潜っていますのでご心配には及びません。」
ほう、そんなこともできるのか。便利だなぁ。
「それなら問題ないね。ところで、覚えたてのスキルはスキルポイントを使ってレベルアップとかさせられないの?」
《可能です。残りのポイントを全てレベルアップにつぎ込みますのでそこの所はご理解ください。》
「大丈夫、それくらいしないと張り合えない相手だってことは分かっているから。」
確かゲームとかでも経験値稼ぎ用の系統の敵は臆病で逃げ足が速いのが定番だったよね。
《作戦としましてはプラチナスライムを追いつつ攻撃を加えてストレスを与えていき、ストレスに耐えかねたスライムが時空圧縮を一部解除したところで体内に突入します。プラチナスライムの溶解液の酸性は低いので毒生成でアルカリ性のものを作って中和すれば問題ありません。あとはマスターがプラチナスライムの魂に接触してテイムするだけです。それと追跡の際は龍になって飛行してください。足場の心配をしなくてもよく、尚且つマスターの持っている種族の中で最も飛行に長けていますので。》
「わかった。」
僕の体は光に包まれその光が収まると一匹の白い産毛に包まれた幼龍が現れる。僕は椿が僕の影の中に潜ったのを確認し、空中へと羽ばたいた。『威圧』スキルを使いつつ咆哮を上げる。
「グアアアァァァ!!」
その咆哮を聞いてプラチナスライムが体を震わせ飛び上がる。さて、プラチナスライム・・・追いかけっこの始まりだよ!!
そして、物語は話の冒頭部分へと戻る。




