第23話 大賢者様は用心深い
3000ユニーク突破しました!
暗い階段を椿のたわわに挟まれながら降って行く。・・・・・かれこれ30分ほどすでに経っているが景色は変わらない。
「・・・・・・長くないこの階段?」
「確かに長いですね。私的にはずっと続いていても構いませんが」
「・・・何言ってんの?」
どこか頭を打ったのか?椿は僕らの目的を忘れているんじゃないだろうか?というよりかさっきから顔が赤いし、何やら「(主様の香りが・・・落ち着け私・・・・でも・・・ハァハァ・・・・生殺しだ!)」などと良く聞こえ難いがブツブツ呟き、しかももじもじしながら手をワキワキさせたり、内また気味に歩いたりなどの奇行が目立つ。取り敢えず、念話でサナにでも聞こうかな。彼女が原因っていう場合もあるし。
〈サナ、椿がさっきからおかしいんだけど・・・心当たりある?〉
《マスター、まるで私を疑っていらしゃるようなその言い方はお止め下さい。》
僕が疑いをかけて聞いてみたところ心外なとばかりにサナが声を上げる。・・・・君、前科があるのを忘れてない?
〈いや、疑っているから聞いているんだけど・・・・。〉
《そ、そんな!?》
〈そんなに驚くことでもないと思うんだけど。〉
《兎に角!私は今回何もしていません!!椿お姉様が勝手に発情しているだけです!!》
「さ、サナ!!?わ、私は、発情などしていないぞ!!!?」
どうやら、サナはわざわざ念話の回線をオープンにしたらしい。椿の全身がゆでだこのように真っ赤になった。
「えーと、えーと、あっ!そんなことよりも主様、階段の終わりが見え参りました!」
これ以上追求されない為か椿は無理やり話を変えた。・・・・椿、目が泳いでたら誤魔化しが効かないよ?
《椿お姉様、話題を変えようとしても無駄です!さあ、本能の赴くままにマスターを性的な意味で襲いましょう!!》
此奴は僕にも話の内容が聞こえているのを忘れているのだろうか?取り敢えず、サナに対して唯一通じるあの鬼畜スキルを使って躾をしよう。
《いいですか椿お姉様、マスターは押せばイケるタイプの方だと私は推測しています。だからこそ、椿お姉様にはぁん♡ぎゃんばってんん♡いちゃだきはいのでしゅ♡はう♡このかんきゃくはぁん♡ますたーにぃぃん♡しんしょくしゃれてるん♡まえよりしゅごいのぉ♡これい―》
僕の理性がガリガリ削れていくのがわかったから回線は切らせてもらった。この判断に対して絶対に誰にも文句は言わせない!・・・・あと、ヘタレって言うのも禁止だ。
「主様、階段の終わりに到着しましたが・・・」
おっと、そうこうしている内に無事にたどり着いたようだ。しかし、その部屋には豪華そうな装飾がされた宝箱が中央にポツンと置いてあるだけだった。見るからに怪しくて近づきたくない。それに僕の直感が告げているこの宝箱は駄目だと。そこで僕は椿の方に振り返り質問をする。
「椿、この宝箱だけど・・・・椿はどう感じた?」
「そうですね・・・命の危険はないですが下の階層に行くには開けてはならないと言ったところでしょうか。」
椿は少し考えるそぶりをした後にそう答えた。
「そっかー、やっぱり僕よりも詳しく把握できるんだね。うーん、スキルレベルだけは高いから、もう少し詳しくてもいいと思うんだけど。このダンジョン妨害の魔法とか隠蔽の魔法とかで上手く仕掛けを隠してるのかな?」
「そのような物の類に関しては私は疎いので何とも言えませんが・・・サナに聞けば何かわかるかもしれません。」
サナかぁ。まだ躾が続いているかな?だとすると使い物にならない可能性が高いんだけど・・・駄目元で試してみようかな。回線復活!
《イk―》
・・・やっぱり駄目だったか。『暴虐と快楽の侵食』の効果時間ってどれくらいなんだろう?ログさんをまた表示させればいいんだろうけど何かと視界の端に映るから気になって仕方がないんだよね。
「・・・サナは今使い物にならない状態だからこの質問は後回しにしよう。取り敢えず、何処かに入り口があるはずだからそれを探そう。」
「はっ!お任せください!!」
さすがに探すのに胸に挟まっていては無理なので椿の胸の間から出て、飛行をしつつ天井なども調べ始める。椿は「あっ」とか言って僕が出たあと少し落ち込んでいたがすぐに探索を開始した。因みにこの部屋は100m四方の正方形で天井までの高さは10m程だったので、探すのに時間が掛かった。・・・天井までが高過ぎるでしょ。
「おっ!これじゃないかな?えい!」
僕は天井の中で直感が指示した部分を全力で押し込んだ。少し『ズガンッ!!』みたいな音が聞こえて少し天井にめり込み過ぎているように見えたけど、たぶん気のせいだ。無事に階段も出現したし、問題はないだろう。階段が出現した場所は宝箱の真下。肝心の宝箱はというと階段ができる前に落とし穴のようなものに落ちていった。・・・・お宝欲しかったなぁ。
「流石です主様!!」
「これを見つけるのは空を飛べないと難しいね。」
椿の賞賛の言葉に僕は思わず苦笑した。空を飛べればこのくらい誰でもできるのに。っと思わなくもなかったが今回も面倒さくなるのは目に見えていたので何も言わない。
「主様、あれから30分は経っていますし、そろそろサナが復活しているのではないでしょうか?」
「あー・・・・忘れてた。」
僕は地面に降り立ってから「主様!?御御足が汚れてしまいます!!?」・・・再び翼を広げて飛行する。回線復活!パート2!!
《おはようございます、マスター。サナ再起動いたしました。》
出来るメイドさん風の声が返って来たので、サナが正常モードに戻っていることが確認できた。
「うん、おはよう。調子はどう?何処か変なところはない?」
《特に異常を来しているところはございません。》
「うむ、元気そうで何よりだ!だが、これに懲りたら主様へ対する言動と私を誑かそうとするその性根を直すことだな!」
椿もサナに何も無かったことを喜んでいたが、きっちり釘を刺した。
《はい、承知したおります椿お姉さま。(他人を嗾けるのではなく、やはりマスターの初めては私が受肉し貰い受けましょう。ああ♡マスターの初めてをもらうことを想像すると疼きが止まりません♡先程の浸食のお陰か『世界目録』のスキルレベルは9になりましたし、受肉まであと僅かです!)待っていてくださいね?マイマスター♡》
「な、何を!?」
何か分からないけど凄い悪寒が!?
《ああ、そうでしたマスター、先程の浸食のお陰で『世界目録』のスキルレベルが9になったのでこのようなことが出来るようになりました。》
「うわっ!?」
「む?」
突然僕の視界に黄金の瞳で銀髪ショートのメイドが現れた。
《どうですか?我ながら良い肉付きをした体と思うのですが?》
良い肉付きをしている―確かにその通りだ。胸の大きさは椿に勝るとも劣らない。まさにモデル体型というやつだ。それにしても椿と同じ透き通った綺麗な瞳をしている。
《瞳に関しては椿を姉様の妹という要素を加えるために同じ色にしてみました。》
サナが心を読んだようにそう言った。
「ああ、椿もサナも綺麗だ。」
《~~~~~~ッ!ふ、不意打ちは卑怯です!!》
「き、綺麗・・・主様が私のことを綺麗って!」
率直な感想を僕が述べると椿たちが赤面し悶え始めた。だが、僕はさっさと次の階層に行きたいのでそんなのに付き合っている時間はない。
「ほら次に行くよ。」
「《はっ!》」
余談だがこの後こんな感じの部屋が9回も出てきた。しかもだんだん部屋の大きさは広くなり、最終的には一辺200mの立方体になった。ここで僕は一つ物申したい。
――大賢者様用心深すぎでしょ!!?
主人公の晴人の『直感』スキルはLv7ですが使っていなさ過ぎて実質Lv4と同じになっています。




