第18話 修行と椿の進化
「グギャッ!」
ズバッ!
気持ちのいい音を立ててゴブリンの首が飛ぶ。ゴブリンの血が付くのが嫌だったので風属性魔法『ウィンド』を使用した。
「お見事です主様!」
《ええ、私もスキルレベル相応の技能を身につけたと思います。》
「そうかな?そう言ってくれると嬉しいよ。」
僕たちは今第8階層の天井なども広い開けた場所でで刀術の修行をしている。武術スキルは戦闘補助スキルのようなものらしい。そのため、魔物を討伐してスキルレベルを上げただけの人と鍛錬と魔物の討伐を両立してスキルレベルを上げてきた人が同じレベル、同じスキルレベルで戦った場合は圧倒的に後者が勝つ。
というわけで、サナ師匠の指導の下鍛錬と討伐を並行しているのだ!・・・・まあ、こんな感じで修行中です。因みに今日で生誕10日目になりました。
「椿、そろそろご飯にしよう。」
「はい!」
そう言うと僕はまた手からスライムを生み出していく。ん?何故スライムを生み出す必要があるかって?それは勿論これが椿のご飯になるからだよ。えっ?おかしいだろって?まあ僕もそう思うんだけど、ゴブリンを食べるよりはマシだと僕は思う。だって、あれを吸収してたらあまりの不味さに『悪食』スキルが手に入っちゃったレベルだ。そんなものを食わすわけにはいかないでしょ!
それに他の種族が幼体であるせいもあって姿が変わってないように見えるけどスライムは食べれば食べるほど少しずつ大ききなっていくから結構余裕があるのだ。もう六階層の段階で椿用の刀モドキは作れたし、少し食べられても問題はない。
「毎度毎度思うのですがやはり主様の一部を食べるというのは・・・。」
「いや、ゴブリン食べさせたくないし。となると食べるものが無くなっちゃうしね。」
《そうですよ椿お姉様!それにいつかマスターにほうs「はい、アウト―!」・・・・むぅ。》
・・・・何でサナはこんな変態染みているんだろう?とりあえず僕は椿の手にスライムを乗せる。椿はそれを飲み込んだ。
「ふぅー、美味しかったです!」
《う~ん、これで白かったら完璧なんですけどねぇ。マスター、『変色』スキルを「絶対に覚えません!!」そうですか・・・・それは残念です。チラッ》
「いくら残念がったって覚えないからね!?」
《・・・・いつか説得して見せます!》
「おい、サナ!主様を困らせるなといっただろう!!」
「ま、まあまあ、落ち着いて・・・ね?」
「主様が・・・そう仰るなら。」
《私も羽目を外し過ぎたようです。すみません主様。》
「うん、以後気を付けてくれれば別に構わないよ。」
《さて、修行を再開しましょう。マスターは目標を達成されたので、次は椿お姉様ですね。》
「ああ、ドンと来い!」
椿はそう言うとサナに教わりながら型の練習を始めた。僕はというとゴブリンを誘導するために洞窟ダンジョンを探索しに行った。
―3時間後―
「ふっ!」
「グギッ!」
スパン!!
槍を持ったゴブリンが槍ごと頭から縦に真っ二つになる。
「お見事!」
「勿体なきお言葉ありがとうございます!」
《お疲れ様です椿お姉さま!これで椿お姉さまもスキルに振り回せられることは無いでしょう。》
「ああ、サナの指導のお陰だよ。サナもありがとう。」
《いえいえ、偏に椿お姉さまの努力の賜物です。そろそろ進化してもいいこr》
フラ、ドサッ!
急に椿がふらついてから倒れた。僕は慌てて椿に駆け寄る。
「・・・っ!?つ、椿大丈夫!!サナ!状況は!!」
《マスター慌てなくても大丈夫ですよ。これは進化の時の副作用ですから。》
「えっ!?そうなの?」
《はい、そうです。ほら、マスターも種族を選択した後気を失われたでしょう?それと同じ状況です。》
「確かに。」
《という訳で・・・椿お姉さまの進化先を決定しましょう!!》
「え?」
《椿お姉さまの進化可能な種族を表示します。》
〇ブラックウルフ
・シャドーウルフ
・バーサークウルフ
・ヘマタイトウルフ
「・・・・サナのおすすめは?」
《私のおすすめですか?それならば、シャドーウルフですかね。バーサークは論外だとして、ヘマタイトも悪くはないんですけど、最終進化先のことを考えるとシャドーウルフになります。》
「へぇー、それじゃあ両方の最強の最終進化先を教えて。」
《はい。まず、ヘマタイトウルフはSSSランク級よりも強いとされているランク外の『神獣級』の『アダマンタイトウルフ』になります。次にシャドーウルフですが、こちらは『神害級』の『ラ・ファンウルフ』ですね。》
「ら、ラ・ファンって、フランス語で『終焉』って意味の『la fin』!?」
《はい。と言っても限度がありますけど・・・確か新種だったので神話対戦時代に召喚された日本の大学生が勇者である彼らでも全く歯が立たなかったから『会ったらあるのは終焉だ!』とか言って、付けたはず・・・・実際、強さ的には上位神にも匹敵するレベルでしたので強ち間違っているとは言えませんが・・・その正体は同じ神害級の『ナイトメアウルフ』が進化したものだと断定されました。》
「絶対その人厨二病拗らせてたよね!!?それにあまり語呂はよくないな。何なら『ファンウルフ』でも良かった気がするけど。・・・それでも、上位神級かすごいね!それなら、シャドーウルフにしようか!」
《はい、それでは椿お姉さまをシャドーウルフへ進化させます!!》
・・・・・・・・特に何も起こらなかった。
「・・・・・ねぇ、特に変わった様子はないんだけど?」
《当たり前です。人化している状態なんですよ?まあ、変化と言っても体が大きくなっただけだと思いますが。》
「そういうものかな?」
《そういうものです。あっ、それと『ラ・ファンウルフ』から『ファンウルフ』に種族名変えときますね。》
「へ?そんなこと出来るの!?」
《出来ます。何と言ってもステータス表示は『世界目録』から名詞などを抜粋し、それを応用して作られてますから。しかも、(仮)がついて登録されてますから誰の許可も取らずに余裕で変えられますよ?実行します?》
その時僕は『ファンウルフ』だとどんな感じに思われるのかのか自分なりに想像してみたら、アイドルファンの格好をした狼が出てきて危うく笑いそうになった。
「っ・・・・やっぱりなしで!『ファンウルフ』だと英語の『fan』に聞こえちゃうから!」
《わかりました。では変更は無しということで。》
「うん、その方向でよろしく。」
取り敢えず、椿が目を覚ますまで何してようかな?
《何をしようかとお悩みでしたら、『毒調合』スキルを使ってみたらどうですか?》
「いや、『毒調合』スキルは『毒生成』スキルと違って原材料がないと作れないんじゃなかったけ?」
《確かにそうですが、ゴブリンは血液感染する病原菌のキャリアになっているので、材料ならそろっていると思います。》
「病気まで運ぶとか本当にゴミだな!」
《まあ、とても弱い細菌なのであまり発症しませんが、確かにゴブリンを殺した後は水浴びするか『クリーン』を使うことが推奨されています。》
「それなら、毒調合するか。」
《あと、同時並行で『明鏡止水』しながら魔力を対流させてください。『魔力操作』のレベルアップには効果的です。ああ、忘れてましたけどマスターはスライムを含んでいるキメラの姿をしているので核を突かれない限り大ダメージはほとんど食らいません。ですので核を動かす練習もしましょう。》
「えぇー、そんなに沢山やるの?」
《はい。強くなるためですよ。》
「はぁー、仕方ないか。」
これも強くなるためと自分に言い聞かせながら僕は作業に没頭していった。




