第15話 この世界についての知識と罪悪感
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あれから、40分後に漸く椿が再起動したので、今はさっきまでと同じく椿に抱えられながら洞窟を進んでいる。
〈先程は取り乱してしまい申し訳ありませんでした。〉
〈いや、別に気にしなくても大丈夫だよ。〉
《ええ、マスターも私もそのような小さいことを気にしたりしませんので。お気になさらず。》
〈・・・ありがとうございます。〉
お気付きになっただろうが、現在僕たちの間での会話は全て『念話』で行われている。理由はスキルレベルを上げるためだ。『念話』スキルはレベルが上がると念話で話せる距離が長くなり、不測の事態に陥った時に離れ離れになってしまったとしても、直接連絡を取り合うことが可能になる。
それと、椿が再起動する前に決めたことだけど、レベルアップ等の報告はしなくていいと伝えてある。五月蝿かったし、本来はないものらしいから。
〈本当に気にしなくて大丈夫だからね。話は変わるけど、サナは何で僕にレベルアップの報告とかしたの?〉
《はい、それは昔世界を管理していた六柱の神のまとめ役をしていた方に頼まれたからです。》
『昔』?ああ、今はルリナ様とかいう女神様が管理しているんだっけ?何でそうなったか少し気になるけど、今は僕がどれくらい強いのか知りたいから後回しでいいや。
〈へぇー、そうなんだ。ところでさ、僕って世界でどれくらい強いのか知りたいんだけど?〉
《はい、マスターの今の強さは大体Aランク下位ほどだと思われます。》
〈ふむ、人族の一般的な大人のステータスは?〉
《こちらになります。》
Lv:1
HP:100/100
MP:100/100
STR:100
VIT:100
INT:100
MND:100
DEX:100
AGI:100
〈・・・AGIの値が意外と高いな。僕は種族を選択した段階でも252しかなかったんだけど。〉
《それはマスターが生まれたてなのと、選択した種族のせいではないでしょうか?》
〈え、そうなの。〉
《はい。スライムは言わずともお分かり頂けるようにとても遅く、成体でもAGIは8~10しかありません。龍もステータスの中ではAGIが最も低ため、幼龍ならなおさら低いです。レッサーウルフはウルフの中でも若い個体のことなのでやはり低くなります。このようなことが重なり、マスターのAGIが低くなっていたのだと思われます。》
〈なるほどね。それじゃあ、生まれたてにしては強かったってこと?〉
《・・・『にしては強かった』では済まされないレベルの強さです。》
〈流石主様ですね!!〉
〈ありがとう。それでさ、ランク別で魔物のステータスがどれくらいなのか教えてくれないかな?〉
《承知しました。それではまず、ランクはFからSSSまであります。初めにFランクからですがこれに属する魔物はとても弱く、ステータスが平均120未満です。Fランクの中で一番強い魔物のでも一般人に毛が生えたレベルの人が複数人でかかれば退治できるレベルで、スライムに至ってはうまくやれば子供でも倒せます。》
子供に負けるって・・・・よ、弱い弱すぎる。どうやら僕の想像以上にスライムは弱かったようだ。
《Cランクまでは一気に行きます。Eランク120~200、Dランク200~500、Cランク500~1000となっております。Bランクからは被害の大きさも含めてご説明させていただきます。Bランク出現した場合、運がよくない限り小規模の町なら滅び、ステータスは平均1000からとなっていますが、そのほとんどが2000はあり、平均1000~2000までをBランク下位、2000~4000をBランク中位、4000~6000をBランク上位と細かく分けることができます。次にAランクです。こちらも6000~9000をAランク下位 、9000~12000をAランク中位、12000~15000がAランク上位と分けられており、大規模な街をも滅ぼす力を持っています。》
〈・・・なぁ、人間の平均ステータスとあまり離れていなくないか?これなら、誰でも頑張ればBランク下位を討伐できそうなんだけど。〉
《はい、マスターの疑問は正しいものです。なぜこのようにステータスが低いのかというと人族などの成長度が低いのが一点。もう一点は亜人族や魔族を含めたすべての人種がレベルアップし辛いからです。》
〈レベルアップし辛い?〉
《そうです。相手を殺すと吸収できる『魂の器』、俗に『経験値』と言われるもので相手を殺した時に艇に入る手『魂の器』の量は一割ほどなのですが、人は吸収効率も悪いので『経験値』は本来の100分の1程になってしまうのです。》
〈それじゃあ、取得経験値増加とかってもしかして・・・。〉
《はい。正確に言うと『魂の器』を『経験値』へ変換する効率を上げているだけです。》
〈じゃあ、魔物は本来と同じ『経験値』を手に入れているってこと?〉
《いいえ、種族や個体によって異なります。しかし、Sランク以上になってくれば大抵の場合変換率は100%以上だと思われます。》
〈・・・・よくそれで人は生き残ってこれたね。繁殖力のおかげかな?〉
《それも理由の一つとして挙げられますが、他にも知恵と多様なスキルのおかげと言えますね。》
〈ふむ、なるほどね。そういえば、椿は話に入ってこないけどどうしたの?〉
〈・・・・主様とサナの会話は私には少々難しいので、ついていくのに精一杯といいますか・・・。〉
〈ああ、そういうことか。〉
うーん、あまり無理をさせるのは良くないよね。
〈うんと、それじゃあ僕とサナが話している間、周囲の警戒を頼めるかな?〉
〈はい、お任せください!〉
《そうですね。それが良いと私の思います。ツバキお姉様は人型になったのはつい最近ですし、少しずつ理解できるようになっていければ良いのではないでしょうか?》
〈うん、そうだね。さっきから気になってたんだけど、何で椿に『お姉様』って付けているの?〉
《はい、それはツバキお姉様が私よりも先にマスターの配下になったからです。しっかりと序列は今の内に作っておかなければ、後々大変になってきますから。》
僕はそう言われて『ソウルテイム』の効果を思い出し、悪いことをしたのではと罪悪感が心の奥底からにじみ出てくる。
〈いや、そんな増やそうと思わないよ!?なんていうか、『ソウルテイム』も『侵食』も罪悪感がすごくて・・・・。〉
《本当にマスターはお優しいですね。私は別に気にしてしていませんよ。・・・・・あんなにキモチイイのは初めてでしたし・・・♡》
〈でも、それはテイムした後の話でしょ?〉
《その通りかもしれませんが、『暴虐と快楽の侵食』は最終的には相手の判断に委ねる部分もありますし、相手を殺さずに済むなら、それが一番ではないでしょうか?》
〈サナの言う通りです!主様はお優しすぎます!!本来負けたものは自然界では死ぬのが掟。それにもかかわらず生かされているのならば、その者に従属するのが当たり前なのです。主様が気にすることはどこにもありません!!》
〈・・・・ありがとう、椿、サナ。少し気持ちが楽になったよ。それでもやっぱり積極的には増やしたくないかな。〉
《別に積極的に増やして欲しいなどとは言っておりません。ただ、増える可能性があると考えているだけです。》
〈そっか。うん、わかった。それじゃあ、話を元に戻してもらっていいかな?〉
《承知しました。それでは、今人の中で100レベルを超えているものは魔族に5人、人族に3人、亜人族に2人しかいません。》
〈魔族が圧倒的に多いな。これなら、魔族の天下になっていてもおかしくないんじゃないか?〉
《いいえ、『勇者』によってそうはなっていません。》
〈『勇者』ねぇ。魔族ってなんか悪いことをしているのか?〉
《それもまた答えはノーです。魔族とは女神ルリナを信仰していない種族たちの総称です。》
〈はっ!!?な、何もしていないのに勇者に殺されいるの!?そんな理不尽な!!〉
《そうです。しかし、それだと勇者に魔族が根絶やしにされてしまうので、代々魔王が討たれると、その魔王が最後の力を振り絞り勇者を魔族領から追い出し、結界を張り外部からの侵入を防いでいます。》
・・・・・そんな!耐えるだけだなんてっ!!まるで、前世の僕みたいじゃないか!!
〈・・・・僕にはそんな理不尽許せないッ!この迷宮を出たら真っ先にルリナとかいう女神を懲らしめてやるッ!!〉
《お、落ち着いてくださいマスター!お気持ちはわかりますが、女神ルリナと戦うのは現時点では無謀すぎます!!》
っ!!スキル『明鏡止水』発動ッ!!!
〈ふぅー、ごめん取り乱した。女神ルリナはどれくらい強いの?〉
《はい、女神ルリナは上位神の中でも上位に入ります。そもそもどんなに低位の神でもSSSランクの魔物よりも強いものです。神々に匹敵する魔物は通称『神害級』と呼ばれ、神話大戦時に敵味方共に滅んでしまっています。例を挙げるなら『カイザースライム』ですね。》
〈ああ、あのチートスライムね。〉
《ええ、そのチートスライムです。さらに、女神ルリナは元は他世界の神なので詳しいステータスはわかりませんが、上位神のステータスの平均は50億です。ルリナは上位に位置しているため、まあ、スキルなどにもよりますが・・・・最低でもステータスは平均70憶だと思われます。》
〈・・・・・・絶望的なまでに差があるな。〉
〈・・・・・・・・むぅー。〉
《そこでマスターに提案がございます。》
〈どんな提案?〉
《はい、マスターは『悪魔王』になるのを目指してはいかがでしょうか?》
〈ふーん、『悪魔王』かぁー・・・・・・・・・・・えええええええええええええぇぇぇぇ!!?〉
僕たちの脳内に僕の叫び声が響き渡る。・・・・・・我ながらとても五月蠅かった。




