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第10話 アクシデントとこれからの方針

 僕は多少の息苦しさを感じて目を覚ました。


 ・・・ん?なんだろうこの状況は?何か柔らかいものに挟まれてる!???息が苦しいけど呼吸ができない!?なんだかいい匂いがしていつまでも居たいような場所だけど、今は息苦しくてそんなことをしている余裕はない!クッ!!この柔らかいののせいで空気が全くない!抜け出さねば!!


 僕は決心してやがて柔らかいものに手をつき起き上がろうとする。無論、僕はこの膨らみの正体に薄々気が付いているが、あえて意識はしない。意識してしまった瞬間にDOUTEIの僕は脱出できなくなってしまう可能性が高いからだ。意識の範疇外にある内にこの状況を打破しなければ!


「・・・ん。」


 ギュッ!


 グハ!やばいぞ・・締め付けられているせいでさらに押し付けられて・・・こ、呼吸が・・・!仕方ない、スライムになって脱出しよう!!善は急げだッッ!!!体の状態を人間からスライムに変える。後は脱出するだけだ!!そして僕は移動を開始したのだが・・・


「あっ♡」


 ・・・・・・・・ボクハナニモキカナカッタ。ハヤクダッシュツシナイト。


 僕は無心になりこの現状を打破することだけを考え、スライムの体で移動した。極力刺激を与えないようにゆっくりと。・・・途中、喘ぎ声が聞こえたような気がしたが全て気のせいだ、と自分に言い聞かせて・・・・・。


《スキル『冷静』を獲得しました。》


《椿の好感度と忠誠度が250%に上昇しました。》


 なぜ!!??


 ―30分後―


「ハァ♡ハァ♡・・・・あるじさま~♡・・・エヘヘヘヘ♡・・・だいしゅきです♡」


「どんな夢見てるんだ?」


 若干ジト目になりつつ、彼女を観察する。彼女は少しだけ汗ばんでいた。艶めかしい状態だ・・・何のせいだとは言わない。絶対に。もう少しまともな服を作らないとな。ところどころ見えてるし。そろそろ起こすか。


「おーい、起きろ椿。」


 声をかけつつ、軽く椿の体を揺する。その振動で二つのたわわが揺れる。眼福です!!


「んっ・・・・・あ、主様お目覚めになられたのですか!」


「ちょっ!まっ!ごふ!!」


 椿は僕を見たとたん、感極まったように飛びついてきた。そのせいで僕は地面に倒れこんでしまったが、頭が柔らかい双丘に包まれたおかげでダメージは無かった。柔らかくて気持ちいいな。だけどやはり息が・・!


「良かった!!本当に良かった!!!」


「キイブ!!ギイフ!!」


 僕が目覚めたことを彼女は泣いて喜んでいるようだが、はっきり言って今のほうが危機的状況だ!このままだと僕が窒息死しちゃうから!!そんな俺の様子にも気付かずに抱きしめ続ける椿・・・何だか息が荒くなってないかなこの子・・まさか、自分の世界に入ってるんじゃ!?うお、だ・・だんだん・・・い、意識・・が朦朧と・・・・・して・・・・・・きた。さっきから、息ができないことを伝えようとして椿の腕を叩いていた僕の腕にもだんだん力が入らなくなっていく。そ・・う・・だ。ス・・・ライ・・・ム・・化・・・・だ。僕はスライム化しようとするが、意識がしっかりしていないせいか、スライム化がうまくできなかった。


「うう・・う・・う・・・・。」


 僕の手から完全に力が抜けて腕が地面に崩れ落ちた。


「あれ?主様!?しっかりしてください!主さ・・・!!・・るじ・・ま・・・・!!!」


 僕は今回学習したことを整理しようと思う。巨乳さんは殺人兵器だった!相手が小さければ小さいほど効果は絶大!!そんなくだらないまとめのために気力を振り絞ったため、僕の意識は急速に闇に落ちていった。


◆◆◆☆☆☆◆◆◆

「んあ・・・ふわあぁぁぁぁ。」


 おはよございます!今現在どうやら椿に膝枕されているようです。いやー、椿の肌はもちもちのすべすべできもちいいなぁ~。ん?なぜこんなに冷静なのかって、HAHAHA『冷静』スキルのおかげですよ。どうやら、『無心』スキルは精神状態を安定させる効果があるみたいだ。しかし、スキルレベル1のせいか、恥ずかしさや胸の動悸はなくなっていない。耐えるんだ僕っ!これも『冷静』スキルのレベルを上げるためなんだ!!


《『冷静』がLv1からLv2に上がりました。》


 よし!スキルレベルアップだ!!ふむ、少し心が落ち着いたね。


「主様お目覚めになりましたか!!」


「うん。」


 僕は椿に返事を返した後、彼女に膝枕をされている状態から起き上がった。すると、椿は瞬時に僕の正面に回ると、僕に対して土下座をした。


「先ほどは感情に呑まれ、取り乱し、主様のお言葉に耳を傾けぬばかりか、そのお命まで危険にさらしてしまい、誠に大変申し訳ありませんでしたっ!この罰はいかようにも・・・!!」


 ・・・お、重い!話が重過ぎる!!これも無駄に好感度と忠誠度が高いせいだ!!あの状況なら人によっては、死んでもいいっていう人もいるだろうから、あまり気にしなくてもいいと思うんだけど・・・。いや、マジで天国でしたあれは。


「椿、顔を上げて。僕はそんなこと気にしてないから。ね?」


「し、しかし・・・ッッ!!」


「はいはい、僕は気にしてないって言っているんだよ?だから君も気にしない。いい?これは命令だよ。」


「はッ!承知いたしましたッ!!・・・主様は本当にお優しい方ですね。このツバキ、不肖の身ながら、精一杯主様を支えていく所存にございます!!」


《椿の好感度と忠誠度が250%から300%に上昇しました。》


 ・・・・・・・・・・すっごくチョロい!・・・大丈夫なのかないろんな意味で。


「う、うん。よろしくね椿。」


「はい!!お任せ下さい!!!」


 す、すごいやる気だ。椿は凄まじくキラキラした目で僕を見つめてきた。ま、眩しすぎる。さてと、今思ったんだけど椿同様僕も衣服が龍の鱗でできた外套だけなんだよな~。本当にどうするべきか・・・。うーん。今考えても解決しないからとりあえず後回し。となると、今いる場所がどこなのか調べた方がいいかな?それじゃあそこら辺の壁を鑑定!


『アリシアの封印迷宮の壁』:大賢者アリシアが色欲の悪魔王を封印する際に創られた迷宮の壁。上層は擬装用としてただの洞窟と化している。ただし、悪魔王が発する瘴気と魔力によって現在ではダンジョンと化してしまっている。


 ・・・ッ!?・・・・・えーと、ここって結構やばい場所?周りは洞窟ぽいし此処は上層だと思うから大丈夫か。・・・う~ん、地上を目指すべきか、それとも攻略するべきか。地上を目指すにしても人とはあまり会いたくないんだよなぁ~。ん?此処がダンジョンってことは椿はダンジョンの魔物なのかな?


「あのさぁ、椿。」


「はい。何でしょうか主様?」


「椿ってさぁ、このダンジョンで生まれたの?」


「いいえ、違いますが・・・どうかしたのですか?」


「いや、椿がどこで生まれたのか気になっただけだよ。ダンジョンで生まれてないってことは、外から此処に入って来たってこと?」


「はい。その通りです。何やら、濃い魔素がたまっている洞窟があったので、強者と出会えるのではないかと思いまして。」


「なるほど。ところで椿は地上に出るべきだと思う?それとも此処にとどまるべきだと思う?」


「そうですね。できればとどまったほうがいいと思います。主様は確かに強いと思いますが、それは私の主観でありますので、この世界全体から見れば弱い部類に入るのかもしれません。ですので、ここでさらなる鍛錬を積み、力をつけておくのが賢明だと愚考いたします。」


「確かにその通りだね。とても参考になったよ。ありがとう。」


「はッ!恐悦至極にございます!!」


 とりあえず、椿の頭をなでなでする。身長的に手が届かなかったが、椿が頭の位置を下げてくれた。本当に気が利く子だな~。表情がデレデレになっているのが若干残念な子っぽい。椿をなでなでしつつ、今後の方針を決める。椿もああ言っていたし、自衛のためにもある程度のレベルになるまでこのダンジョンの攻略をしたほうがいいだろう。それにダンジョンなら、宝箱とかもあるかもしれないし、そこで服を手に入れられるかも。よし!断然やる気が出てきた。今後の方針が決まった後、撫でられて表情が緩み切っている椿を見て可愛いなと思っていると、


《スキル『撫で技』を習得しました。》


 ・・・・・こんなスキルこの世にあって意味があるのだろうか?とあきれているとさらに、


《ツバキの好感度と忠誠度が300%から320%に上昇しました。》


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・椿さんの好感度と忠誠度上がりやす過ぎじゃないかな。僕の中で椿は完全にチョロインに認定されたのだった。



 ―スキル紹介―

 『冷静』:パッシブスキルの一種で使用者の精神状態を安定させる。また、精神系攻撃や異常状態の耐性が上昇する。それに加えて、MNDの成長度にわずかながら補正がかかる。


 『撫で技』:撫でることで相手の気分を上げたり、心地よくさせるスキル。また、レアスキルとしていられている。このスキルを持っていたとしてもスキルレベルを上げることが難しく、役に立たないくそスキルとも呼ばれている。ただし、過去にこのスキルを極めたものは荒ぶる龍を一撫でで失神させたといわれているため、最凶の無力化スキルとも言われることがある。





 

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