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景国城

翌日。


 瑶月と劉晟は、景国城から遣わされた使者に案内され、景国城へ向かっていた。


 やがて馬車が止まる。


 瑶月が外へ降りると――


 目の前には、巨大な朱色の門が聳え立っていた。


 見上げるほど高く、重厚な門。


 その姿を目にした瞬間、瑶月の脳裏に朔国城の記憶が蘇った。


 あの時も、城門をくぐった。


 けれど――


 あの時の自分は、罪人だった。


 傷だらけの身体を檻に入れられ、民に囲まれながら運ばれていった。


 あまりにも多くのことが起きたせいか、朔国城そのものについては、ほとんど記憶に残っていない。


「……」


 瑶月は小さく息を吐いた。


 今は、あの時とは違う。


 そう自分に言い聞かせるように、目の前の門を見つめる。


 やがて――


 重い音を響かせながら、朱色の大門がゆっくりと開いていった。


「お進みください」


 使者に促され、瑶月と劉晟は門の内側へ足を踏み入れる。


 その先には、さらにいくつもの門と広大な庭が続いていた。


 奥へ。


 奥へ。


 一行は静かに進んでいく。


 そして――


 瑶月の目の前に、ひときわ壮麗な建物が姿を現した。


 屋根を覆う瓦は、深い黄色。


 晩秋の銀杏を思わせるような、重厚で美しい色だった。


 朱色の柱。


 金の装飾。


 幾重にも重なる屋根。


 そのすべてが、景国という大国の威厳を物語っている。


 瑶月は思わず息を呑んだ。


 さらに奥へ進み、建物の中へ入る。


 長い廊下を進んだ先で、使者が一室の前に立ち止まった。


 そして、扉へ向かって声を張る。


「劉滄燼さまご一行が到着いたしました」


 しばしの沈黙。


 やがて、扉の向こうから低い声が響いた。


「入れ」


 たった一言。


 それだけだった。


 瑶月は無意識に息を呑んだ。


 ――いよいよ。


 景国皇帝と対面する。


 これまで何度も耳にしてきた名。


 劉安。


 景国を治める皇帝。


 扉がゆっくりと開かれる。


 その先に広がっていたのは、広大な謁見の間だった。


 中央には、玉座へ続く紅い絨毯がまっすぐに伸びている。


 その両脇には、数多くの臣下たちが整然と並んでいた。


 そして――


 その最奥。


 玉座に、一人の男が座っていた。


 景国皇帝――劉安。


 瑶月は、その姿を初めて目にした。


 劉晟とは、どこか似ている。


 けれど、その身から放たれるものはまるで違っていた。


 静かで。


 重く。


 ただそこに座っているだけで、この場にいるすべての者を従わせるような威厳がある。


 瑶月は緊張を表情には出さなかった。


 背筋を伸ばす。


 視線を落とし、礼を失わないように歩く。


 そして――


 劉晟の一歩後ろを歩きながら、謁見の間へ足を踏み入れた。


 いよいよ。


 瑶月は、景国皇帝と対面する。

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