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東州にいた理由

翌朝。


 瑶月の前には、朱雀と玄武が並んで座っていた。


 その横には劉晟。


 さらに、その後ろには青龍と白虎が控えている。


 昨夜までの和やかな空気とは違い、今はどこか張り詰めていた。


 瑶月は二人をじっと見つめた。


 そして、ゆっくりと口を開く。


「そしたら……そろそろ説明してもらいましょうか」


「……」


 朱雀と玄武が顔を見合わせる。


 瑶月は二人を指差すようにしながら、続けた。


「あなたたちは、この四年間――」


 そして。


 隣にいる劉晟を睨む。


「この人のもとで働いていたってこと?」


「……」


 朱雀と玄武は、ちらりと劉晟を見る。


 劉晟は何も言わない。


 ただ、右手の親指と中指で目の端を軽く押さえた。


 まるで、どう説明したものかと考えているようだった。


 やがて。


 朱雀が口を開く。


「俺は、ずっと滄瀾さまの側近です」


 瑶月が黙って見つめる。


「そして、沈家の人間でもあります」


 玄武も続けた。


「俺も同じです」


 瑶月は小さく頷いた。


「そう」


 一呼吸。


「そこは疑ってないわ」


 瑶月の視線が、再び劉晟へ向く。


「私が聞きたいのは――」


 まっすぐに劉晟を見る。


「どうして、あなたたちがここにいるのかよ」


 劉晟はしばらく黙っていた。


 そして。


 ほんの少しだけ視線を逸らす。


「……拾った」


「……」


 瑶月の眉がぴくりと動いた。


「また?」


 思わず呆れた声が出る。


「武器も簪も……」


 瑶月は腕を組んだ。


「何でも拾えばいいと思ってない?」


 後ろで白虎が吹き出しそうになる。


 青龍が肘で白虎を小突いた。


「……」


 劉晟はしばらく黙っていた。


 どうやら、その答えではもう誤魔化せないらしい。


 やがて劉晟は椅子へ腰を下ろした。


 そして、瑶月をまっすぐ見た。


「……四年間」


 低い声だった。


「俺はずっと、犯人を調べている」


「……え?」


 瑶月の表情が変わった。


 あまりにも突然だった。


 劉晟は続ける。


「あの日、東州で何が起きたのか」


「……」


「誰が沈家を襲ったのか」


 一つ一つ。


 静かに言葉を重ねる。


「なぜ、あれほどの山賊が東州へ入り込めたのか」


 瑶月の目が揺れた。


 あの日の記憶が蘇る。


 炎。


 血。


 悲鳴。


 そして、家族。


「俺は、ずっと調べていた」


 劉晟の声は、どこまでも静かだった。


 けれど。


 その一言は、瑶月の胸へ重く落ちてきた。


 ――四年間。


 自分が家族を失ったあの日から。


 この男もまた。


 同じ日を追い続けていたのだ。


 瑶月は、何も言えなかった。

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