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滄燼

景国将軍・劉晟が東州を鎮定した。


 その知らせは、瞬く間に朔国中へ広まった。


 東州。


 半年前、沈家が滅び、数え切れないほどの民が命を失った土地。


 その惨劇を生き延びた者たちにとって、東州という名は今なお癒えぬ傷そのものだった。


 そんな東州を――


 あの劉晟が鎮定した。


 その知らせに、朔国の民は怒りを募らせていった。


 そして、東州屠城から一年。


 その怒りをさらに煽る知らせが、景国から届いた。


 景国将軍・劉晟。


 冠礼の儀を終えた彼が、自らにつけた字名。


 ――滄燼(そうじん)


 滄。


 それは、沈家三兄弟――滄岳、滄瀾、滄海を表す字。


 そして、燼。


 燃え尽きた後に残る、灰。


 まるで――


 沈家を灰燼に帰したことを誇るかのような名だった。


「劉晟……字名、滄燼」


 その知らせを聞いた朔国の民は怒り狂った。


 あまりにも屈辱。


 あまりにも傲慢。


 沈家を侮辱し、東州の民を嘲笑うかのようなその名は、瞬く間に朔国中へ広がった。


 やがて人々は、彼をこう呼ぶようになった。


 ――劉滄燼。


 そして。


 この知らせをきっかけに、屠城後から緊張状態にあった朔国と景国の間で、ついに戦の火蓋が切って落とされた。

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