止まらぬ過保護
瑶月が目を覚ましてから、数日が経った頃。
瑶月の部屋は、今日も賑やかだった。
酷な拷問を受けた影響で、両脚の骨にはまだヒビが入っている。
そのため、歩くことには少々不自由があった。
――とはいえ。
小雪は目の前の状況に、眉間に皺を寄せる。
お嬢様がまだ不自由だからといっても……
これは、やりすぎなのでは!?!?!
ここ最近、瑶月の身の回りのことは、ほとんど劉晟が世話をしていた。
椅子に座る時も、庭へ出る時も、何かにつけて瑶月を抱き上げる。
「部屋の中なら、自分で歩けるわ」
「だめだ」
「劉晟さま、私がお嬢様を――」
「問題ない。俺がやる」
「……」
瑶月の言葉にも、小雪の申し出にも、一切揺るがない。
青龍と白虎は、もう見ていないふりをしている。
朱雀と玄武に至っては、すでに諦めていた。
そんなある日のこと。
小雪から粥を受け取ろうと、瑶月が手を伸ばした。
しかし――
横から伸びてきた手が、先に椀を受け取った。
劉晟だった。
何の疑問も抱いていない様子で粥をすくうと、さも当然のように瑶月の口元へ匙を運ぶ。
「……いや。自分で飲めるわ」
「まだ腕に傷が残っている」
瑶月は自分の腕へ一瞥を落とした。
確かに傷跡は残っている。
けれど、傷はもう塞がっている。
「傷はもう塞がっているわ。問題ないわ」
「それは俺が決める」
「…………」
瑶月の顔が、明らかに引き攣った。
目の前にいるのは、かつて感情をほとんど表に出さなかった男。
あの冷静沈着な劉晟が――
信じられないほど過保護になっている。
瑶月は、目の前に差し出された匙を見つめた。
これ、いつまで続くのかしら……。
そして隣にいる小雪へ、助けを求めるように視線を向ける。
小雪と目が合った。
しかし小雪は、申し訳なさそうに、ゆっくりと首を横に振った。
味方はいなかった。




