罪の根源
――図書館の奥
ホコリの積もった本が積まれた部屋で――の少女は嬉しそうに、
床に置かれていた白紙の本を拾った。
「また新しい物語が始まるのね」
――の少女はそう言って、
白紙のページに書き足された文字を読む。
――姉は血を吐く、妹は火を吐く。
―― ――は宝玉を吐く。
ひとり地獄へ堕ちゆく――。
「また変なのを拾ってきたな、ダンテ」
「仕方ないよ。溺れてたんだ」
頭が曇る。
どこからか、知らない声がする。
まぶたを開き、声の聞こえる方に目を向けると、
「ダンテ」と呼ばれる人物と目が合った。
「起きたんだね。僕はダンテ。君は?」
「えっと……トミノです?ダンテさん……ここはどこですか?」
ダンテは少し考えてから、こう言った。
「ここは……どこだろうね?」
大きなため息が聞こえた。
「私はウェルギリウス。ダンテに変わり私が答えましょう」
「ここはゴミ山。
忘れられ捨てられた物語が積まれた場所です」
「ゴミ山? 捨てられた物語?」
「ごめんね。ウェルは言い回しが独特なんだ」
ダンテは笑いながらそう言った。
「ほかに知りたいことある?」
「えっと……ダンテさん達は何をしてるんですか?」
「いろんな場所を巡ってるんだ。罪を理解するために」
「なぜ罪を理解しようとするのですか?」
「それはね。自らを理解するために罪を理解する必要があるから」
何故だか「罪」という言葉が火に触れたみたいにヒリヒリと残った。
何故ひりつくように熱いと感じたのだろう、わからない。ただ知りたい、
自分を知るために罪を、
知らなきゃいけない気がする。
「あの……その旅、僕もついていってもいいですか?」
しばしの沈黙の後、
明るい声でダンテが答えた。
「いいよ。ここに落ちてきたばかりで、何も知らないみたいだし、それに……」
ウェルギリウスが話を遮るように大きなため息を吐いた。
「私は答えていないのに、決めるのだな、ダンテ」
「でもだよウェル、ベアトリーチェなら置いてかないよ」
ウェルギリウスは深く考えてる、まるで信仰している神に言われたように。
「ベアトリーチェならそうだろうが、私は私だその少年を連れる意味はあるのかダンテ」
少し低い声でダンテは話す。
「トミノ、君は罪が何か自らが何を犯したのかわかるかい?」
その問が何を意味するのかわからない、
罪を考えると体の節々が熱くなる、
まるで鞭に打たれたあとのように、ひりつく。
遠くから音が聞こえる。
「わかりません……それでも……」
何か聞こえる。
――無限地獄はひとつみち。
――暗い地獄の案内を頼む、
金の羊に、鶯に。
何処からか、知らない声が聞こえる。
「大丈夫?」
ダンテが心配そうにそういう。
ウェルギリウスのため息が聞こえる。
「まだ休ませてをいた方がいいんじゃないか」
意識が朦朧とする。
気がつけば見知らぬ所にいた、
落ちている感覚がするのに、
景色は変わらない。
空には青い星。
下に目を向けると。
一本の蜘蛛の糸に救いを求める、
亡者が集まる阿鼻叫喚の地獄が広がり。
ただ振り返る。
地獄から天まで届くほどの、
巨大で樹のような塔。
目の前には巨大な門、
門にはこう刻まれている。
――この門をくぐるものは、一切の希望を捨てよ。
序盤だけは上手くできてる気がする




