060 巾着袋
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第60弾です」
礼子「今回は洋裁ですか」
仁「うん。作者は、今年の春から神社の御朱印を集めることにしたらしい」
礼子「それで御朱印帳を入れる袋作りですか」
仁「これも巾着、っていうのかな」
礼子「紐を引いて口を締めるわけですね」
仁「小学校の体操服ってこういう袋だったなあ」遠い目
* * *
仁「まずは設計図だ」簡単な手順も
礼子「作り方がわかるのはいいですね」
仁「作者も、縫い物は久々々々だったようだからな」
礼子「綿のツイルですか」
仁「ツイルというのは『綾織』のことで、生地の表面に斜めの筋が出るんだ」デニムなんかは代表的
礼子「ああ、確かにジーンズはそんな感じがします」
仁「で、中に入れる御朱印帳だ」
礼子「小さいと入りませんし、大きすぎても不格好ですよね」
仁「だから寸法は大事だぞ」縦180横125厚さ14
礼子「きんざくら神社ですか?」
仁「かなざくら神社、って読むんだ」甲府の北、昇仙峡の更に奥にある神社だ
仁「まず、生地のシワを伸ばす」普通は畳んでしまってあるから折り目がつくんだよ
礼子「テーラーなどでない限りどうしても……」
仁「なのでアイロンがけをして平らにする」
礼子「その方が印付けも楽になりますね」
仁「そういうことだな」
仁「で、裏表を判別する」
礼子「わかりにくい生地が多いですよね」フリースなんかはわかりいいんですが
仁「ツイルの場合はツヤがある方が表だが、大抵は生地に表面の斜め線が『ミ』のように右下りになっている側が表だな」生地としての縦、つまり織物としての経糸は画面の上下になってます
礼子「裏は『ノ』ですね」左下がりです
仁「ではまず印付けだ」木工や金工でいう『ケガキ』のことです
礼子「筆記具は何を使いますか?」
仁「一般には『チャコ』というものだが、作者は今回、0.5ミリ4Bのシャープペンシルだ」
礼子「細いから細かな作業時にいいですね」
仁「他にも水性のサインペンみたいな専用のペンもあるし、『ダーマトグラフ』という色鉛筆も使える」
礼子「生地が明るい色だから黒でいいんですね」
仁「そうだ。黒い生地なら白のチャコペンだな」
礼子「どうでもいいですがどうしてチャコっていうんですか?」
仁「英語のチョークから来た、という話だ」寿子とは無関係だぞ
礼子「ああ、なるほど」寿子さんってチャコ、っていう愛称で呼ばれやすんでしたっけ
仁「とにかく、物差しや定規を使って、正確に印付けをするんだ」海岸物語……
仁「カットして、きっちりと折り曲げ、まち針を打つ」
礼子「留め針、という場合もありますね」
仁「そうだな。縫うまで布を待たせるからまち針、っていうらしい」諸説あります
礼子「見えている側と反対側の縫い線が一致するように留めます」
仁「できれば、しつけをしておくとより正確に縫える」まち針だけだといじくっているうちに時々刺さったりも
礼子「しつけ、って何ですか?」
仁「しつけ糸で仮縫いをすることだな」主に和裁で使うらしい
礼子「しつけ糸って弱いですよね?」
仁「弱いな。強く引っ張るとぶちぶち切れる」
礼子「縫った後は引き抜くんですね?」
仁「ミシンの糸で押さえてしまったらそのままでもいいらしい」
仁「ミシンの準備だ」
礼子「作者さん、ミシンも持っているんですね」
仁「2001年に2001円で買ったミシンだ」渋谷にある魔法使いの名前みたいな店で
礼子「2001年記念でしたっけ」
仁「並んで買ったんだよなー」ぎりぎり3人目で買えたんだと
礼子「だとすると25年目ですか」物持ちいいですね
仁「あまり使わないからな」厚物は縫えないし
仁「生地は薄い青紫色なんだが、同じ色の糸がなかった」水色の糸を使います
礼子「下糸の用意がなかったので下糸をボビンに巻いていきます」ミシンには専用の機能があります
仁「で、上糸も通して準備完了」
礼子「糸の通し方って複雑ですね」
仁「作者もなんとか覚えていたようだ」
仁「縫い始めだ」
礼子「ミシン針を手動で下ろし、生地に刺したらアームを下げ、押さえ金で生地を挟むわけですね」
仁「そうそう」その後スタートスイッチを押すわけです
仁「縫い終わりだ」丁寧な仕事をするなら、上糸と下糸を結び合わせてほつれないようにします
礼子「縫い始めも同様にします」
仁「この時点でプレスする」アイロンがけのことです
礼子「左右(画像では上下)の縫い代を折り曲げてクセを付けるわけです」設計図の②ですね
仁「今度は紐を通す部分」③です
礼子「ヘラでこすって折り目をつけます」
仁「折ったあとプレスすればなおよし」
礼子「このヘラ、作者さんが小学生の時の裁縫用具なんですよね」物持ちいいですね
仁「あまり壊れるものじゃないしなあ」使う頻度も低いし
礼子「刃のついていないペーパーナイフやバターナイフも代用に使えます」
仁「③のように、巻き込むように折っていく」これもプレスするといいです
礼子「まち針で留めますが、しつけておくとミシン掛けがより楽です」
仁「ミシン目がやや粗い気がしたので2度縫った」もちろん1度で大丈夫ですが
礼子「作者さんは安全係数を大きく取るのがお好きですからね」
仁「この時④のように、手縫いで補強を入れておくとなおよし」開くような力が加わるとミシン目がほつれやすいのです
仁「表返す」
礼子「底の角が丸まりやすいので定規の先などを使って押し出し、形を付けます」
仁「ここも、プレスをするとなおよし」
仁「紐の準備」
礼子「明るい青色の紐ですね」
仁「買い置きがあったんだ」素材は不明、多分レーヨン
礼子「銀色のピンセットみたいなのはゴム通しですね」紐通しともいいます
仁「うん。ジャージのズボンとか、パジャマのズボンとか、ゴムが伸びたらこれを使って交換できる」
仁「で、通していくわけだ」
礼子「注意することはありますか?」
仁「ゴム通しの口を閉じているリングな、あれが緩むと中で紐が外れるから、それに注意だな」9割方通ったところで外れると悲惨です
礼子「わかりました」
仁「片方通った」
礼子「反対側へも通します」
仁「通し方は⑥の通り」
仁「で、両側に紐が通って、結ぶとこうなる」
礼子「紐を左右に引くと口が閉じるわけですね」
仁「そうそう」
仁「御朱印帳を載せてみた」
礼子「大きさはちょうどよさそうですね」
仁「中に入れて口を閉じるとこうなる」
礼子「持ち運ぶ際、他の荷物と擦れて御朱印帳が傷むのを防げますね」
仁「そうそう」
仁「おまけの写真は金櫻神社の御朱印だ」
礼子「六角形の御朱印は巨大な水晶でできています」
仁「あれは圧巻だったな」
礼子「水晶製の『生涯守り』というお守りもあります」
* * *
仁「ということで今回は『巾着袋』でした」
礼子「お疲れ様でした」
仁「作業時の怪我にはご注意ください」
礼子「針で指を刺さないように」
仁「手を切ったら流水で洗い流しましょう」
礼子「アイロンでのやけどにもご注意を」
仁「趣味は楽しく、安全に」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。




