第71話 理性ブレイク
色々と危なかったぁ……よくもってくれたよ、俺の理性。
生着替え始めた時点でわかってたけど、雨宮さんって天然だよね。パンツを脱いで、そのままシャツを脱ぎだしたんだよ。普通、先に水着を着ない? もう少しで見えちゃいけないものが見えかけたよ。
そしてこれは男性諸君ならわかってくれるだろうけど、ギリギリ見えなかったからこそ逆にエロい。恥ずかしながら、勃起してます。さすがに百パーセントフルパワーまではいってないけども。
「見えてないよね? 大事なところ見えてないよね?」
「もちろん大丈夫」
俺がしゃがめば見えただろうなぁ……。ちょうど雨宮さんの視界塞がってたし、その気になれば見えただろうなぁ。
「もう少し、もう少しで全部脱げるから……」
「……ごゆっくり」
わざわざ全裸にならなくても……。まあ、余計なことを言って事故が起きちゃいけないし、静かに見守ろう。
……床に衣服転がってるのエッチすぎるだろ。下着水色なんですね……。シンプルなデザインを予想してたけど、なんか色々装飾がついているね。着心地悪そう。
「なんかいけないことしてるみたいだね、あはは」
「……顔真っ赤だよ? 大丈夫?」
「へ、変なこと言わないでよ! もー!」
変なのは雨宮さんじゃない? ご両親が不在だからって、さすがにはっちゃけすぎじゃないかな?
しっかしわからんなぁ。男子に水着見せるの恥ずかしいんでしょ? いくら仲が良い相手とはいえ、着替えを見せるのって水着の比じゃなくない?
「今更だけど、俺が来る前に着替えるって考えはなかったの?」
「……迷惑だった?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
なんていうかシュールな光景だよね。罰ゲームさせてるみたいで申し訳ない気持ちになってくる。
「よしっ、これでオッケー……のはず」
「おっ」
「いくよ? タオル外すよ? みっともなくてもバカにしないでよ?」
てるてる坊主状態で何を言ってるのさ。今よりみっともない格好はないよ。
「実に楽しみだよ」
「あ、ありがとっ……。じゃあ、いくねっ」
「おー……」
意を決してラップタオルを脱ぎ捨てる。本人曰くみっともない水着姿らしいが、実際は言うまでもなく美しい。晴家さんの不健康な体を見慣れているのもあって、若干太ましく見えるが、まあ許容範囲。いや、むしろ最高。晴家さんには悪いけど、色気という意味では雨宮さんに軍配が上がるだろう。だが……。
正直前座が凄すぎて、インパクトに欠けるなぁ。
「ど、どうかな?」
「いや……なんで直立不動なの?」
なんかのオーデイションかな?
「が、我慢してるの……。本当は今すぐしゃがみこんで体を隠したいけど……」
「へー?」
本来なら刺激しないように細心の注意を払うところだけど、前座でテンションおかしくなってるから、イタズラ心が湧いてきたよ。
「雨宮さんのへそ出しレアだなぁ」
「ち、近いって!」
「ほらほら、直立不動、直立不動」
「うー……」
律儀に直立不動を保っている雨宮さんは、せめてもの抵抗にと顔だけを必死に背けている。羞恥に悶える表情は、俺のイタズラ心を育む太陽足りうるだろう。
「ふー」
「ひゃんっ!?」
「あっ、大丈夫かい?」
あらら、やりすぎたかな? ちょっとヘソに息を吹きかけただけで、尻もちをつくとは思ってなかった。
……色っぽい声だったな。勃起収まらないんだけど……。
「もー! エッチー!」
「あはは、今の雨宮さんの体勢のほうがエッチじゃない?」
「ふぇ?」
わざとやってるのかと言いたくなるぐらい、見事なM字開脚だ。個人的にM字開脚は下品だから、あんまり好まないんだけど……このレベルの美少女がやると破壊力ハンパないね。俺、M字開脚大好き! 一番好き! 手の平ドリルしちゃう!
「鳩山君…………? 目が怖いよ?」
「え? ああ、ごめん……。もうわりと……いっぱいいっぱいでさ……」
日曜日から金曜日までの六日間、一切自慰してないんだよ? 男子高校生がだよ? もう辛抱たまらんですたい……。
「……あの、鳩山君……」
「ん……? なんだい?」
座り直すなり、体を隠すなりすればいいのに、雨宮さんはM字開脚のまま会話を続けようとしている。目のやり場に困るとはこのことだろうか。
足……もいいけど、お腹かな? 立ってる時とは違う膨らみ方というか、スジの張り方? 程よくプニプニな腹が視線を奪ってくる。
「その……なんか一周回って冷静になったっていうか……気付いちゃったんだけど」
「気付いた? 何に?」
「……えっと」
言葉に詰まった雨宮さんは、声の代わりに指を差してきた。あー……なるほど、気付いたってそういう……。
「無意識にそうなることもあるって聞いたことあるけど……それって偶然……たまたまこのタイミングでそうなっただけ…………ですか?」
「……キミが悪いんだよ」
えっと、もうさすがに許されるよね? 俺と雨宮さんの仲って、だいぶ進んでると思うんだ。他のクラスメイトより遥かに進んでる。この子はあまり男子を信用してないみたいだけど、俺だけは信用されてる。信用っていうか……好きでしょ? 今更拒んでこないでしょ?
「鳩山君……?」
「ごめん、ちょっとズボンが窮屈で痛いんだ」
「え……? え、えっ……」
ズボンのベルトを緩める俺に戸惑っているけど、計算の内でしょ? きっと最初から、こういう展開を望んでいたはずだ。だっておかしいじゃん、全てが。晴家さんと性交するの禁止とか、明らかに今日のためじゃないか。多少の嫉妬もあるんだろうけど、俺が手を出すのを待ってたんでしょ? 据え膳食わぬはなんとやら……ここで俺が欲を解放しても、責められることはないだろう。
「あー……くそっ……ちょっと下着汚れちゃってるよ……」
「……っ!? はわわ……」
まだズボンを脱いだだけだというのに、凄い顔をしてらっしゃる。当然のことなのでもはや言うまでもないが、その表情はとてもそそる。
「雨宮さん、一緒にシャワー浴びない?」
「……しゃ、シャワー……? ちょっ……なんで、パンツに手をかけてるの?」
「なんでって……手を使わずに脱ぐのは難しいでしょ」
「ま、待って……落ち着こ? 鳩山君……一旦落ち着かない? あはは……」
落ち着けるはずがない。嫌よ嫌よも好きのうちってね。
ほら、口ではあれこれ言ってるけど、ガン見してるもん。俺が脱ぐのを期待してる目だもん。胸に耳を当てずとも、心臓バクバクなことが見て取れるよ。
「雨宮さんが脱がしてくれるかい?」
「ふぇ!? わ、私がっ!?」
ははっ、言葉とは裏腹に手を伸ばしてるじゃないか。呼吸も荒いし、雨宮さんの処女は今日で喪失確定だね。
「先に雨宮さんが脱ぐかい?」
「わわわ! ま、待ってぇ」
口では制止しようとしているが、体は一切無抵抗だ。むしろ、早く脱がせてくれという声が聞こえるよ。
「ち、近いって……こ、これ……ハグじゃ……」
「ん? あはは、そう見えるね」
もう少し水着姿を眺めたいところではあるけど、ここは一思いに脱がせたほうが雨宮さんもスイッチが入るってものよ。
「んっ……。鳩山君……」
「どうしたんだい? か細い声を出して」
「その……私……小さいし……多分、形とか色も……」
俺の背中に手を回し、抵抗する素振りを見せる。
……意外と魔性の女だなぁ。そういう態度を取れば取るほど、俺が止まれなくなるということを、本能的にわかってるんだろうね。
「見る前からわかる。きっと俺は、美しいと感じるさ」
「もう……。絶対、鳩山君だけだよ……」
……結論から言うと、想像以上に美しかった。どれぐらい美しいかだって? そうだね、シャワーの前にフライングしちゃったといえば、お察しいただけるだろうか。




