↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自己肯定感の低い女子を褒め続けたら人気者になったので距離を置くことにした  作者: シゲ ノゴローZZ
鳩山視点

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/109

第64話 お転婆

 今日もあの三人は休みかー。もちろんメッセージを送ったけど、ただのちょっとした体調不良らしい。三人同時に体調不良なんて変な話だと思ったけど、よくよく考えたらそこまで不自然じゃないかもしれない。

 だってあの三人、女子会してたじゃん。それで風邪がうつったんじゃないか?

 お見舞いには来なくていいって言われたし、彼女達が学校に復帰するまで俺も辛抱するか。うん、辛いけどそれは彼女達も一緒だもんな。うん……。


『死ね』


 机の中に、直球な暴言が書かれた紙が入ってたけど、辛抱すべきだよな。机に油性ペンで落書きされるよりは、ダメージ少ないわけだし。

 しっかし、誰の仕業だろうなぁ? 例のごとくふにゃふにゃの文字だし、筆跡から導くのは無理だな。


「ちっ……」


 は? え? 何今の?

 たまたま目があった女子が、舌打ちをしながら胸元を隠しだしたんだけど、一体どういうこと? 別にキミのことなんか見てないんだけど?

 うわぁ……こっちをチラチラ見ながらヒソヒソ話をしてるよぉ。内容は聞こえないけど、どうせ『アイツ、キモくない?』みたいなこと言ってんでしょ? 別にいいんだけどね? 俺には雲倉さん達がいるし。


「マジ汚らわしくない?」

「女の敵だよねー」

「なんで生きてんのかなー」


 ああ、絶対俺の悪口だ。決して自意識過剰ではないよ。明らかに俺に向けて言ってるよ。わざわざ俺の後ろに来て話してるもん。陰湿だなぁ……。一体なんなのさ、女の敵って。どっちかと言えば味方でしょ。女の敵ってのは、女心を弄ぶ最低な女たらしのことを言うんだよ? 俺と真逆じゃん。

 ああ、そうだよ、真逆だよ。うん、俺の話じゃないな。たまたま俺の近くで話してるだけだよ。盗み聞きはよくないし、無視無視。


「雨宮さん可哀想だよねー」

「反撃すればいいのに」

「あんなのでも男だし、怖いんじゃない?」

「かわいそー……」


 雨宮さん? いや、無視だ、無視。まったく、雨宮さんがいないからって、叩き棒みたいな扱いしやがって。

 どうせアレでしょ? 俺と雨宮さんを引き離そうとしてるんでしょ? 姑息にもほどがあるよ。とことん陰湿だね。




 陰湿な嫌がらせは一日中続いた。いやぁ、イジメ問題が明るみになると、手口が陰湿になって表面化しづらくなるだけってのは、事実なんだねぇ。

 個人的には露骨なヒソヒソ話がメンタルにくるね。物証がないから教師に報告しづらいし、被害妄想だと言われればそれまでだもん。

 もうね、本当に無関係な人達の会話でさえ悪口に思えてくるよ。このままいくと、その辺の通行人でさえ敵に見えるようになるんじゃないか? なんて考えてるうちはまだ平気かな、ははっ。




「いやー、心配かけたねー」

「ははっ、元気そうで何よりだよ」


 落ち着く……雲倉さんと話してるとマジで落ち着く……。本当に体調が戻ってよかった。しかし三人同時に復調するとは、どこまで仲が良いんだ。


「相変わらず仲良いわねー、アンタ達」

「さっさと付き合いなさいよ」


 雲倉さんの友人が、肘をグリグリと押し付けてくる。これは俺のクラスのクソ共がしているようなイジメではなく、愛のあるイジりだ。ああ、この三人以外の生徒が普通に接してくれるなんて……このクラスあったけぇ……。


「……ところで善吉君、なんでスリッパなの?」


 あっ、まずい……。


「え、あー……まあ、色々と」


 どうするべきだろう。隠し事をするのはよくないし、かといって正直に言っても心配をかけちゃうよな。くそっ、事前にどうするか決めておけばよかった。


「あー、鳩山君イジメられてるんだっけ?」

「えー? 酷くない? 鳩山君悪い人じゃないのにー」


 すげぇ、女子が心配してくれてる。不覚にも泣きそう。この子、先日ケツで突き飛ばしてきた子だけど、男らしく水に流そう。根は悪い子じゃないみたいだし。


「へー? それは許せないなー」


 穏やかな笑顔でポキポキと関節を鳴らす雲倉さんは、どことなく大物感がある。ほら、怒らせたら怖いタイプの紳士キャラ的な?


「あの、俺は平気だから……」


 とりあえず落ち着けよう。陰キャモードを長く見すぎたせいで忘れそうになってたけど、この人って結構……。


「皆、犯人とっ捕まえてタマ潰そうよ」


 ヤンチャなんだよねぇ……。別に不良ってわけでもなければ、暴力的ってわけでもないんだけど、度を過ぎたお転婆なんだよ。そこが可愛いところでもあるんだけど、感情的すぎるというか。


「そ、そこまでしなくても……」

「イジメとか女々しいでしょ? じゃあ問題なくない?」


 どういう論法なの?


「雲倉センセー! 女のイジメっ子はどうすればいいですかー?」


 キミ達も乗らなくていいんだよ。こういうのって、集団心理的なものが働いて大事になったりするからさ。


「口に石とか釘を詰めて殴ろう」


 そんな爽やかな雰囲気でするような回答? 語尾に〝☆〟が見えた気がするよ。イジメっ子をお星様にするってこと?


「まーまー、さすがに冗談だけどね」

「冗談かー。雲っさんならやりかねないと思ったんだけど」

「さすがに停学くらうもんねー」


 停学で済んだら御の字だよ。退学どころか少年院コースだよ。


「いい? 蹴りは潰れる可能性があるから、掴むこと。手のひら全体で掴むより、指先で掴むほうが効果的に痛めつけられるからね」


 人差し指を立て、制裁をする上での注意点を説明する雲倉さんだが、これも冗談ということでいいんだよね? 取り巻きの女子達がうんうんと頷きながら、ペンを走らせてるんだけど、冗談でいいんだよね?


「こらこら、証拠になるからメモは残しちゃダメだよ」

「あっ、ごめん! メモはフェイク以外で残しちゃダメなんだよね」


 え、何? 闇バイトの話でもしてるの? この空間、怖いんだけど。


「雲倉さん、気持ちは嬉しいけど、俺は平気だから。ね?」

「そう? こういうのって早めに対応したほうが……」

「うん、いざって時はお願いするよ! キミが真剣に考えてくれただけで、俺は嬉しいよ! 本当にありがとう!」


 雲倉さんの手を取り、勢い任せに犯行を中断させる。

 ちょっと恥ずかしいけど、こういうのは勢いでなんとかしないとね。


「そ、そんな……愛してるなんて……」


 言ってないけど? いや、愛してるけども。


「とにかく暴力はダメだからね? 俺はそろそろ自分の教室に戻るけど、犯人探しとかしなくても大丈夫だからね? 大事なキミを、危険なことに巻き込みたくないし」


 一方的に言いたいことをぶちまけ、そのまま離脱した。

 よしっ、なんとか丸く収まったな。なんか黄色い声が上がってた気もするけど、まあいっか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。