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自己肯定感の低い女子を褒め続けたら人気者になったので距離を置くことにした  作者: シゲ ノゴローZZ
鳩山視点

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第39話 早朝チェックイン

 夏休み初日……厳密には前日だろうか? とにかく終業式の日、晴家さんは大人しく自宅に帰った。買い漁った本やゲームを俺の家に置いていったってことは、明日から本格的に泊まるってことだろうな。

 泊まらずとも普通に遊びに来ればいいだけだと思うんだけど、彼女なりに考えがあるのだろう。個人的には、あれだけ大切にしていた本を俺の部屋に置いていったことのほうが気になる。信頼されてるってことかな? 部屋のスペース圧迫するから迷惑といえば迷惑なんだけど、嬉しいといえば嬉しい。

 彼女の読書ペースは知らないが、これって数日で読み終わる量じゃないよな? それともラノベって、一日に何冊も読めるもんなのか? 普通の小説の話だが、俺は頑張っても二冊、毎日読むとなれば一冊さえ厳しいかな。

 今日泊まらない理由を聞いたら『日陰者扱いを受けているが、抜け駆けをするほど落ちぶれてはいない』と、答えにならない答えをいただいた。彼女の言葉は、きっと深く考えるだけ無駄だろう。俺も小さい頃は、意味もわからないままアニメとか特撮の名言を真似してたし、そういうもんだろ。




「おはよう。随分と深い眠りのようだったが、夜ふかしでもしていたのかい? それとも昨日の買い物デートが響いたかな?」


 ……アラーム何時にセットしてたっけ? 昼夜逆転防止で、長期休暇であっても七時までには起きるように努めていたはずなんだが……。


「俺の一人暮らしならまだしも、両親がいるんだよ? 早朝から来るかね、普通」

「父君は六時過ぎには家を出るし、母上殿もその時間には起きているだろう? 調査済みさ」


 調査方法と意義が気になるし、両親の呼び方が統一されてないのも気になるし、早朝から押しかける理由になってないのも気になるし、寝起きでさばくにはツッコミどころが多すぎるな。


「インターホンの音やノックの音で起きないなんて、野生なら死んでいるよ」

「野生で生きる予定はないから、別にいいよ。それよりどけてくれないかな? 寝起きで膀胱がキツいんだ」


 美少女がまたがって起こしてくれるなんて、とんだ果報者だよ。ラジオ体操の時間じゃなければね。


「私でよかったね。雨宮さんなら、失禁と精力を天秤にかけるハメになっていたよ」


 別に嫌がらせ目的ではないのか、案外素直にどいてくれた。

 『雨宮さんをなんだと思ってるのさ』というツッコミを胸にしまい、お手洗いに向かう。この人相手にいちいちツッコミを入れると、長引くからね。これだけお喋りなのに、何故一人ぼっちなんだろうね。女子って会話量が多い人ほど、重宝される生き物じゃないのか? オチがなくてもいいから、とにかく喋るのが正義では?


「私は読書タイムに入るから、私に構わず朝の準備を済ませてきたまえ」

「言われなくても構わないよ」


 この人がいなければ、後三十分は眠れたんだよな……。もう過ぎたことだし、早起きするに越したことはないから別にいいんだけどさ……。




 母さん、おかしくなっちまったのかな。更年期にはまだ早いはずなんだけど……。

 俺は『晴家さん連泊するみたいだけどいいの? 父さんに迷惑かからない?』と聞いたはずなんだが、『何してもいいけど、妊娠だけはさせちゃ絶対ダメよ』って返答されたんだよ。母さんが旧式のテレビだったら、斜め四十五度でチョップしてるよ。


「お待たせ」

「ん。別に待っていないが、おかえり」


 朝食から歯磨き、その他諸々で一時間近く部屋をあけていたが、全く気にしていない様子。仮に責められたとしても、改める気はないけどね。俺の意思を問わず、転がり込んできたわけだし。


「後一時間半もすれば読み終える。キミは宿題なりなんなり、静かに過ごしてくれ」


 俺の部屋なんだが、なんで晴家さんに過ごし方を決められなきゃいけないんだろ。


「じゃあコンビニでも……」

「おっと、それはダメだ。可及的速やかに行かねばならないのであれば、断腸の思いで読書を中断するよ」


 え、晴家さんが同行しないと外出もできないの? 俺、実は要人だった?

 納得いかないけど、説明を求めたところで無意味だろうし……大人しく宿題でもするか。昨日は疲労でスタートダッシュを切れなかったし。


「読書ぐらい自分の家でもできるだろうに……」

「静かにしたまえ。読書の妨害は宮刑に値する」


 そうなんだ……人間の尊厳って、そこまで軽いんだ……。


「そう縮み上がることもない。私に猟奇趣味はないから、実際に切り落とすことなんてしないさ。審美性も失われるしね」


 晴家さん的にはチャームポイントなんだ。俺からすれば、子孫繁栄のための物でしかないのだが。


「そういう馬鹿話はさておいて、なんで泊まりにきたのさ。早朝から人を叩き起こしてまで、読書って……」

「キミが広げてるそれは、夏休みの宿題じゃないのか? お喋りに花を咲かせて私の怒りを買うよりも、それを消化するほうが賢明だと思うが?」


 別にいいんだけど、なんで上からなんだろうね。っていうかキミも宿題したら?

 まあいいか、宿題……おや? 今気づいたけど、雨宮さんからメッセージがきてるぞ? ……昼頃、我が家まで遊びに来るだって? 俺、今日暇なんて一言も言ってないよね? 別にいいんだけどさ……。

 ……まさかとは思うけど、雨宮さんも我が家に滞在するなんて展開ないよね? 彼女は人気者だから、そこまで暇を持て余してるはずないんだが……。妙な胸騒ぎがするぞ。あはは、まさかね。

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